晴編 見守るだけに
新暦〇〇三十二年十月十二日。
いつもと変わらずに鳥や小動物を確実に捕え、食う。
だが俺は、そんな様子にホッとする。
「人間ならやる気をなくしたりすることもあるかもしれないが、
「そうですね。バイタルも問題ありません」
エレクシアが、ドローンのセンサーで収集した
こういう時には落ち込んでくれた方が話的には面白いのだとしても、野生に生きる者にはそんなことをしている暇もないし、そんなことをしていてはそれこそ自分が命を落とす番だ。人間には落ち込んでる余裕があるから落ち込んでいられるんだっていうのが分かるな。
その一方で、ちゃんと経験として身に付けて、自分を生かすために役立てる。
実際、
しなかったんだが、
「メイフェアで懲りておけよ……」
と思うのは、俺が人間だからだな。<ロボット>というものを知らない
今日は、イレーネに襲い掛かったんだ。メイフェアがメンテナンスを受けるためにコーネリアス号に行ってる間の代理として来たイレーネに。
けれど、当然、歯が立つわけもない。
右手右脚が義手義足であり十分な性能を発揮できないイレーネは、左手の指をピンと伸ばして、まるで剣のように構えた。彼女のいつもの戦闘用の構えだ。そこから変幻自在に攻守一体の動きを見せて、
そうしていくらか相手をすると、さすがにメイフェアと同等の相手だということを悟ったのか、今回はぶちのめされる前に逃げてくれた。
いつもこうだったらいいんだけどな。
とは言え、こんな風にして実地で経験を積んで学んでいくのが彼らの生き方だ。当然、その際に命を落とす者も出るわけだが、
俺としてはそれだけで満足だ。
新暦〇〇三十二年十月十五日。
と、今度は、
「くそっ! マズいな……」
相手は、若いと言っても完全に巣立ったマンティアンだ。力では確実に
だが、ドローンはもう一人、マンティアンの姿を捉えていた。
「
そう。
「そうか……見守るってことだな……」
今度こそ、見守るだけに留めよう。
今度こそ、な。
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