アリニドラニ村編 技術の継承
新暦〇〇三十二年十月七日。
こうして
<アリニドラニ村の住人第一号>
となった。本当に鍛冶職人になれるかどうかはまだまだ未知数ではあるものの、ドラニに、高炉で作った鉄の鍛造も始めてもらってる。
鍛造用の炉も造り、そこで焼いた鉄をハンマーで打って鍛えていく。これでまず、鍬や鋤といった農機具を作っていってもらう。農耕も文明の基礎だからな。
アリスやドライツェンやドーベルマンMPMらがいればわざわざ人間が鍬や鋤を振るって畑を耕す必要はないものの、やっぱり万が一の際の技術も継承していってもらいたい。ただただロボットに頼るんじゃなく、人間自身でもそれができるようになっていれば、何かの理由でロボット達が稼働できなくなっても自力で生きていけるしな。
だから、
こうして、まずはドラニが作った鍬と鋤を、俺達のところと
「ほえ~、これが鍬かあ……」
鍬を受け取った
「僕も実物を見るのは初めてだ」
「私もです。実家ではちょっとだけガーデニングもしてましたけど、本格的に畑を耕すのはしてませんでしたから」
例の<不定形生物の中の世界>では、人数もそれほどじゃなかったこともあって基本は狩猟と採集で賄ってたそうだしな。
加えて、ドーベルマンDK-aやドーベルマンMPMらが耕してる畑も、ロボットのパワーを当てにして、コーネリアス号に装備されていたシャベルとかで代用してただけだし、そもそもそんなにしっかりとした畑じゃないし。
あと、農耕は、ある程度以上の規模で行わないとかえって効率が悪いとも聞く。だからこれはあくまで技術の継承を目的としたものであって、効率はこの際、二の次とする。
あまり専門的なものまではさすがに網羅してないが、基礎的なものであれば、
植えるのは、コーネリアス号のプラントで栽培してた、トマト、キュウリ、ナス、白菜、キャベツ、インゲン辺りからかな。
米は、水田を作るのがさすがに大変だから、しばらくはこれまで通りコーネリアス号のプラントで作る。
ただ、
いやいや、でも、『技術の継承』が目的なんだから、特定の能力持ちを頼ってたんじゃ意味がないだろう。
アリニドラニ村でも、ドーベルマンMPMが畑作りを始めている。
が、
これから彼がどう成長していくのか、大変に興味がある。
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