來編 新しいハーレム
『ご両親の意向もあると思う。それを窺ってからでもいいんじゃないかな…』
それまでの彼からは思いもよらない明らかに歯切れの悪い言葉にも、
三人を見守っていたイレーネが掲げてたタブレットの中に俺に向かって、
「お父さん! 私はビアンカと
きっぱりと言い切った。
そこまで言い切られたら、俺も、
「そうだな。俺は
イレーネが掲げたタブレット越しにはっきりと応えた。しかも、
「私も、母親としてあなたの決意を支持する。だから
シモーヌまで。
彼女としては、
「ええ……?」
俺としても、これまでの彼の姿からは想像もできないそれに、正直、
『大変なのに見初められてしまったな、
とも思えてしまう。
けれど、同時に、
『でも、シモーヌも言ってた通り、観念してくれ……
それに、
そんな風にも思えるんだ。
だから、
「
と頭を下げた。
ここまで言われてしまうと、彼としても腹が据わったらしく、
「……分かりました…
それまでの困惑した様子とは打って変わって引き締まった表情になり、応えてくれた。
そう。追い詰められた時の決断力はさすがだということなんだろう。
野性の直感に従って即断即決が身上の
こうして二人とも受け止めてくれることになって、
「おっしゃ~っ!」
とガッツポーズをとり、ビアンカは、
「少佐、ありがとうございます。私が必ず幸せにします!」
涙を滲ませながら笑顔になった。
普通なら<両手に花>的に、
『男にとって都合のいい展開』
とも思えるそれが、俺には少しばかり身につまされるような気がした。
何しろ、これで
『大変だな…
なんてのが頭をよぎった。
俺がここに遭難して、
まあ、彼ならきっと俺なんかよりもっと上手くやってくれるだろう。
ただそうなると今度は、<新しいハーレム>が出来上がるわけで、それが同じ場所に住んでいるというのも少々変か。
『ちょうど、アリス参号機とドライツェン参号機も完成するところだし、それがいいか……』
俺も、決断していたのだった。
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