來編 ライバル
「私は学者ではないものの、軍人としても、こうやって直に現場に赴いて、自分の目で自分の手で自分の五感で確かめるということの重要性を改めて感じるよ」
コーネリアス号が不時着した時にも、ドローンによる周囲の調査は行ったが、画面越しのそれとの違いに、
それは俺も感じるところだ。この台地の上については、母艦ドローンを派遣して大まかには掴んだつもりだが、やっぱり実際に現地に行って自分の目で見るのとは違うって感じるし。
その
そこで餌を奪えればそれでよし。しかしそうやって餌を奪える力のない個体は淘汰される……とは限らなくて、そこで知恵を絞って、仲間に餌を奪われないようにこっそりと狩りを行うという方向性で頑張るらしい。
弱いなら弱いなりに工夫して生き延びようとするんだ。自然ってのは単なる<弱肉強食>というわけじゃないというのがそこからも分かる。大したものだよ。
そして
その最中、
「で、
とか訊いてくる。
それに対してビアンカは、
「え? あ、あの…え、と……」
と歯切れが悪い。
「そうですね。皆さんが<不定形生物>と呼称しているあの生物内においてはお付き合いさせていただいてるつもりでしたが」
ためらいなく応えた。そんな彼の潔さに、
「お~っ!」
「いいね! いいよ! 私もなんか
って。
な、なんだとう…っ!?
いや、確かに
<放っておけない弟キャラ>
な
だが、俺達人間よりはずっと野生寄りのメンタリティを持つ
そんな
「え…と、わ、私も譲るつもりないから!!」
と、戸惑いながらも言い返した。
そうだな。変にウジウジしてるよりはこうやってはっきりとさせた方がいいんだろうな。ここでは。
すると、
「これは……素敵な女性にそうおっしゃっていただけるのは大変に光栄ですが……ちょっと、困りましたね……」
それまでの彼とは少し印象の違う、どこか戸惑ったような気配が伝わってきたのだった。
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