來編 会いたかった
『今からそちらに迎えを寄越しますので、すいませんが三十分ほど待っていただけますか』
その俺の言葉に、
「迅速な対応、感謝します。私もいろいろと準備をしなければいけませんので、時間の猶予があるのは助かります」
と応えた。
その上で、
「この体の異変を見るだけでも、尋常ならざる事態が生じていることは分かります。どうやら今の私にはあなた方の助けが必要なようだ。私が提示できるものはすべて提示します。力を貸してください」
とも。
自分の能力を過信せず、できないことはできないと認めた上で素直に『力を貸してください』と口にできる。
これだけでも途方もない胆力だよ。俺には絶対真似できない。
そんな彼に、
「
と話しかけたのは、シモーヌだった。
すると
「あなたは? 私を知っているのですか?」
そう問い返してくる。シモーヌはあくまでエレクシアの口を借りてしゃべっただけなので、声はエレクシアのものなんだ。有名メーカーの上位機種によっては喋った本人の声をそのまま再現してくれるものもあるものの、残念ながら中小メーカー製のエレクシアにはそこまでの機能はない。
だから、シモーヌは、
「私は、
簡潔に答えた。
それだけで
「そうか。シモーヌ、君だったのか。ビアンカもいるとなれば、私にとっては大変良い報せだな。
しかし、三人目ということは、少なくとも今の時点では他のメンバーは一緒ではないということだね。
その辺りの詳しい状況についても確認したい。
それも含めて、君達との再会を楽しみにしている」
シモーヌがやり取りをしている間に、俺はローバーの準備を済ませ、シモーヌと一緒に乗り込んだ。
するとその時、
「
いつものように調査に出ていて、でもタブレットを通じてこちらのやり取りを傍受していたであろうビアンカが、そう言ってきた。
「ああ、もちろんだ」
当の
それと同時に、エレクシアも対応してくれる。
「少佐! ビアンカ・ラッセです! 会いたかった!! 私は…私は……!」
そこまで言ったところで、彼女は声を詰まらせてしまった。
そういえばビアンカは、
となれば彼女にとってはこれ以上ない再会になるということか。
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