來編 要救助者
俺は今、シモーヌのことを愛している。<コーネリアス号乗員、
ただ、同時に、シモーヌがどちらを選ぶかは、彼女の判断を尊重したいと思う。
『本当に愛していたらそんな聞き分けのいい、いい子ちゃんでいられるわけがない!』
と言うのもいるだろうが、俺も、別に、聞き分けのいい人間になるつもりもないが、彼女を愛しているからこそ、彼女を認めたいと思うんだよ。俺の気持ちを一方的に押し付けて縛ることが<愛>だとは思わない。
そもそも、ここでハーレムを築いて何人もの<女性>を愛してきた俺がシモーヌを縛り付けるなんてのがおかしいだろう。
ハーレムに属する雌は、あくまで自身が選んだ雄だからこそそこにいるんだ。ハーレムのボスである雄に、<一緒にいるだけの価値>がなければ、雌はそこに留まってはくれないらしい。
選択権はあくまで雌の方にあるんだよ。
その現実を認めたくないからって駄々をこねるような雄はそれこそ雌に愛想を尽かされるだけなんじゃないかな。
そういう意味でも、俺は現実と向き合いたいと思う。
だが、そんな俺の<覚悟>は、空振りに終わったようだ。
「
メイフェアがシモーヌを助けるためにクロコディアの群れの中へ飛び込んだように、エレクシアも全速力のまま密林から河へとダイブ。やはりクロコディアに襲われていた<人間>を救出しようとした。
で、その際に、エレクシアのカメラに捉えられた映像を見たシモーヌが叫んだんだ。
確か、<
かつて、シモーヌはクロコディアに襲われて完全にパニックになっていたようだったが、そのシモーヌと同じようにクロコディアに襲われながらも、そいつは、襲いかかってきた奴の腕を取り、逆関節に極めて投げ飛ばしていた。
素人の俺でも分かる、達人レベルの体術。そして、この異常な状況でも冷静に対処する途方もない胆力。間違いない。こいつは、マンティアンにおける
とは言え、さすがに多勢に無勢。続けて襲い掛かろうとしていたクロコディアを、空中から落ちてきたエレクシアがそのまま踏みつける。
が、いくらエレクシアでも水中戦闘は得意とするところじゃない。そのままではメイフェアと同じく<泥仕合>になるだけだ。
なので彼女は、躊躇せず自分に抱きついてきた<
メイフェアは、エレクシアがシモーヌを保護するまでの間、クロコディアを足止めする必要があったから泥仕合も演じたが、今回はエレクシアしかいない。
となると、要救助者を確保すればさっさと離脱するのが正解だろう。
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