翔編 ワイバーン一型
新暦〇〇三十一年九月一日。
とにかく、電力についてもしっかり確保できるようにしていかなきゃいけないな。
が、それと同時に、
「やっぱ、輸送網がしっかりしてないと厳しいよな」
とも思う。
ローバーで週に何回もとなると、今はあくまで試験的にやってるだけのことだから別にいいんだが、これで固定されるとそれはそれで辛い。
「で、せっかく、開けた場所があるんだから、アリニドラニ村への物資輸送は、マイクロプレーンでと思うんだが、どうだろう?」
と、シモーヌ、
すると、
「いいんじゃない、それ」
と、シモーヌ。
「私は別に反対する理由ないし」
と、
「なになに? それ!?」
<マイクロプレーン>を知らないことで興味深そうに身を乗り出す
「小さな荷物を頻繁に運ぶということなら、いいかもですね」
と、ビアンカ。
あと、エレクシア、セシリア、イレーネは揃って、
「異論ありません」
とのことだった。
ちょうど、新型母艦ドローンで運用試験中だった<惑星
<輸送用ロボットマイクロプレーン>
を製作することになった。
新暦〇〇三十一年九月三日。
ドーベルマンDK-aがベースだし、新型母艦ドローンで試験してたAIをそのまま転用し、いくらでも手に入る植物の繊維を使った布製の翼なら簡単に作れるということで、二日で完成だ。
「というわけで、<ワイバーン一型>と命名してみた」
ぱっと見の印象が、伝説上の生物<ワイバーン>っぽいと感じたので、思い付きで決めたんだが、
「おお~っ!」
タブレットに映し出された、コーネリアス号の前で静かに佇むそれを見た
「積載重量は四十キロ程度だけど、まあ、今のところはそれで十分だしな」
滑走用に車輪を大きくしたこともあってドーベルマンDK-aとはかなり見た目の印象は異なるものの基本構造はほぼ同じロボット部分は、箱を抱くような形状をしている。その箱の中に荷物を入れるわけだ。
「これで空を飛ぶのか~! そうか~っ!」
「じゃあまあ、早速、試験飛行といこうか」
あれこれ言ってても始まらない。万が一墜落しても修理すればいいロボットマイクロプレーンだから、とにかく飛ばしてみるだけだ。
AIを搭載したのは、コーネリアス号からも
こうして、ワイバーン一型は、プロペラを回転させ、草原を数十メートル加速しただけでふわりと宙に舞い上がったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます