翔編 回収
新暦〇〇三十一年七月二十三日。
何があったわけでもない。
<乳幼児突然死症候群>
病院でなら、おそらくそういう病名が付くものだったんだろう。
医療が発達し、メイトギアが身近で救急対応も完璧な人間社会でなら滅多に死亡にまで至らないというのに……
本当に、こういうのはいつ誰に降りかかるか分からないものなんだな……
無論、ここでは死が隣り合わせであることは俺も重々承知してるし、しつこいくらいに自分自身に言い聞かせてもきた。他人が見たらきっと病的にも感じるくらいに。
けれど、そこまでやってもやっぱり割り切れないんだよな……
あの後、
死んだということを認めたくないんだろうな……
これは、サルの母親などにも時々見られる行動のようだ。パパニアンでもそういうことがあったのは確認されてる。ミイラ化した子供を連れている雌の姿がカメラに捉えられたりもしたんだ。
さすがに痛々しくて触れる気になれなかったんだが、自分の家族でそれを見ることになるとは……
しかも、
だが、わざわざ天敵であるアクシーズの巣の近くまで来てくれる獲物はそんなに多くないから、
だから、その状態が一ヶ月くらい続いた時、俺も、
「……いっそ、
と口にする。
それに対してシモーヌも、
「そうですね……」
と……
もう、
「エレクシア、すまん……嫌な役目だが、お前にしか頼めない……」
俺の言葉に、エレクシアは、
「マスター。私はロボットです。人間にとって好ましくない役回りを引き受けるのはロボットの役目です。負い目に感じる必要はありません。マスターはただ命じればよいのです。
『
と」
普段と変わらず淡々とした様子で、彼女はそう言ってくれた。
そして俺は命じる。
「エレクシア。
「承知しました」
そう言ってエレクシアが向かった時、しかし、彼女のカメラに映った
その後、周囲を捜索したエレクシアによって、ただの干物のようになった
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