翔編 邂逅
予定よりはやや遅れたものの、無事、アリニドラニ村へと到着した。村は小高い丘の上に作ったので、途中の坂道に差し掛かるとトレーラーを引き上げるのにやはり時間がかかってしまった。
「やっぱり、せいぜい半分までって感じかな」
「ですね」
その様子に俺とエレクシアはそう判断する。
材木を集めるペースの見直しを迫られたので、村ができていくペースもそれに合わせて見直さなきゃならないだろう。しかし、どうせ急ぎでもないんだから何度でも見直せばいいさ。こうして村ができていくことそのもののシミュレーションでもあるんだし。
で、木材を下ろすと、今度は、アリニとドラニだけで伐採と運搬をしてもらうことにした。もっとも、今回の便は、先ほど下ろした木材を再度積み込んで持ってきてもらう形になるけどな。
すると、坂道についても何とかスムーズに上がることができた。
そうして木材を下ろし、再び伐採と運搬に向かってもらう。
その間に俺とエレクシアは、木材を保管するための倉庫作りだ。
俺も一応、木材の長さを揃える程度のことはする。その程度しかできないが。
もっとも、俺が一本切る間にエレクシアは五本こなす。電動チェーンソーの性能が同じだからその程度の差で済んでるが。
こうして材料がある程度揃ったところで、いよいよ丸太小屋を組んでいく。
エレクシアが一人で丸太を運び、まるで
が、さすがに夕暮れまでには完成しなかった。
そこで、後はアリニとドラニに任せて俺とエレクシアは帰ることにした。
帰りのローバーの中でも、タブレットでアリニとドラニの様子を見守る。
ロボットだからまったく休むことなく淡々と作業を続けてた。
と、完全に日が落ちた頃、アリニとドラニのセンサーが何かを捉える。闇の中にいくつもの小さな光。アリニとドラニが発する赤外線が反射してるんだ。それは、獣の目だった。
俺はそれに心当たりがあった。
「
思わず呟いたとおりだった。
密林と草原の境や、アリニドラニ村のある荒野などを生息域にしてる
日が完全に落ちる前に俺がいつも帰っていたのは、これもある。夜行性の
これまではそうやって意図的に避けてきたこともあってまったく接触もなかったが、アリニとドラニがこうやって夜も作業してることで、姿を現したんだ。
だが、彼らは遠巻きにアリニとドラニを見ているだけで、襲っては来なかった。向こうも警戒してるんだろう。これまで見たこともない得体の知れない<動物>の存在に。
万が一、襲われたとしても、アリニとドラニなら大丈夫なはずだけどな。
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