閑話休題 アリスとドライツェン
新暦〇〇三〇年九月二十六日。
こうしてビアンカは晴れて
「ああ……尊い……」
一方、そんなコーネリアス号で暮らすビアンカのサポート役として試作機を運用しデータを蓄積、改良を加えていったことにより、遂にアリスシリーズとドライツェンシリーズの初号機がロールアウトした。
「初めまして。アリスです」
当初の予定通り、
とは言っても、あくまで一見してロボットと分かるデザインだけどな。四本の腕、四本の脚、シルエットが人間のそれとはかけ離れているからあまり人間そっくりに作ると逆に違和感が強くなると思ったからだ。
「……」
反面、ドライツェンの初号機は<寡黙な軍人>をイメージしてるのもあり、敬礼だけを行ってきた。
こちらも、ドーベルマンDK-aや試作機の、カメラやセンサー類をただ組み合わせて何となく<顔>にも見えるようにしただけのシンプルなそれと違って、ゴーグルを着けた人間の頭をイメージしたデザインが施された頭部を持ち、さすがにアリスほどの愛嬌はないにせよ、若干、人間に近くはなったかな。
「よろしくお願いします」
ビアンカも丁寧に応えて、こうしてビアンカとアリス初号機とドライツェン初号機での暮らしが始まった。
と同時に、お役御免となったそれぞれの試作機は、今度は新しい集落でのデータ収集のために、メイフェアがメンテナンスのためにコーネリアス号に行った時に回収してもらい、俺とエレクシアが集落へと運び込んだ。
この時点では、外見以外はほぼ必要な性能も備えたそれらを、<試作機>から、改めて<アリス零号機>及び<ドライツェン零号機>と呼称することにした。
「アリゼとドラゼだね」
それを聞いた
「アリゼ、ドラゼ、じゃあビアンカの家の設計図を基に、家を建ててくれ」
俺が命令すると、
「承知しました」
と、完全な機械音声ながら声を揃えて、エレクシアが改めて作ったビアンカの家の設計図を基にして家を建て始めてくれた。
アリゼは本来、家事をメインに担当することになるんだが、大工仕事などもこなせるように、パワー重視のマニピュレータも備えていることで、重作業用のドラゼと共に淡々と作業を行う。
さすがにエレクシアの速さや正確さには及ばなくても、人間よりはずっとスムーズだ。
そうして、新しい集落の予定地に、仮設ではないちゃんとした最初の<家>が建ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます