走・凱編 聞き捨てならない
「
「いいよ、それでいい!」
「私もいいと思う」
シモーヌと
いや待て! ホントに今パッと頭に浮かんだだけのだぞ!? 正直、自分でも微妙だと思うぞ!? いいのかそれで!?
って、考えてみりゃ
「私もいいと思います……」
ビアンカは視線を逸らしながらそう言った。
って、それ、完全に、
『正直、微妙だと思うけど『異論はありません』と言った以上、いまさらダメだとも言えない』
とか何とか思ってる顔だろ!? くっそう~!
でもまあ、仕方ない。そういうことになったんなら。ここは、惑星<
別に勝手に変えてくれても構わんけど……
取り敢えず仮に
いやマジに他と区別をつける必要がないから名前なんかなくても困らないんだよなあ。
なんてこともありつつ、仲間も増えて俺達の暮らしはますます賑やかになっていった。
今のところは仲間内で決定的に対立することもない。
それが何より助かってる。
ビアンカを伴って集落の建設に精を出すのもスムーズだ。
「私のような人もこれから増える可能性があるんですよね?」
「そうだな。その可能性は十分にありえる」
「となると、あらかじめ建物を作っておいたほうがいいでしょうか?」
彼女の疑問ももっともだ。ただ、今の時点では、
「いや、さすがにそれだと無駄になるかもしれないし、必要になった時には随時ってことでいいと思う。
ただ、ここは集落のシミュレーションにまず使いたいから、
「シミュレーションですか?」
「ああ、今、開発中の、アリスシリーズとドライツェンシリーズの初期ロットをここの<住人>に見立てて運営を試そうと思ってるんだ」
「なるほど」
「それに、例の不定形生物由来の生き物の中には、人間に対してやけに敵意を抱いてるのがいるんだ。ただそいつらも、人間そのものというよりも<人間の気配>とか<痕跡>とか、とにかく人間を関わりのありそうなものに対しても強い敵意を示すみたいだから、そいつらに対する<防壁>というニュアンスでのダミーの集落のシミュレーションも兼ねてるけどな」
「シモーヌから聞きました。<
「ああ。生きるために戦うことから目を背けるつもりはないが、戦わずに済むならそれに越したことはないと思うからな。
あと、それ以上に、そいつらは倒すごとにより強くなっていってる可能性があるんだ。それが本当だとすると、倒せば倒すほど危険なのが現れるってことになるし」
「……それは、防衛を預かってた身としても聞き捨てならない話ですね」
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