走・凱編 戻らないのなら
一方、ビアンカは、家が、設備も含めてほぼ完成したことで、自分のことを自分でし始めた。特に食事と洗濯は彼女にとっては人任せにしたくないことだったようだ。
なにしろ食事の量が半端ない。それを用意してもらうのが恥ずかしい。
そして洗濯物の量も半端ない。クモ(に似た部分)に着ている服の体積は、キングサイズのベッド用のシーツをも上回るからな、それもまた恥ずかしいとのこと。
この辺りは俺にはピンと来ないので、敢えて何も言わない。彼女に任せよう。
それでも、そういう部分以外については、少し落ち着いてきたそうだ。
<コーネリアス号乗員ビアンカ=ラッセ>としての記憶が戻る気配はないものの、別に戻らないのならそれはそれでいいと思う。彼女は<コーネリアス号乗員ビアンカ=ラッセ>じゃないから。
でもそれと同時に、もし戻った時に彼女がそれで苦しむなら、それもまた受け止めなきゃな。そういう部分も含めて彼女を受け入れると決めたんだし。
そうしてビアンカが服も着てここで普通に生活し始めると、
よかった。
さすがにあの大きさのものが急に動くと怖いようだ。
唯一、
そういうことも考えられる以上、全員が一様に気を許してしまうのは危険と考えることもできると思う。
それに、
全てが自分の思い通りになることはない。それは
社会を思い通りに操っているように思えるのがいたとしても、そういう者に反発するのも必ずいるだろう? そういうことだ。
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