誉編 責任の所在
新暦〇〇二八年八月十一日。
新たな<
もしあの
「こちらに近付いてくる様子がなければ、手は出さない。だが、万が一こちらに近付いてくるようなら、排除する。
ということでいいかな?」
シモーヌ、
回りくどいことをあれこれ言ってても始まらないからな。
「はい、それでいいと思います」
シモーヌが真っ先に応えてくれた。
「私は反対する理由がないよ」
とは
「私も。これは生存競争だよ。躊躇ったら死ぬのは私達だからね」
俺を真っすぐに見詰めて言う。
「私達メイトギアは、人間を守る為に存在します。脅威に対処するのは本来の機能ですので、マスターの決定に従います」
メイトギアを代表して、エレクシアが応えた。実はそれまでの僅か数秒の間にメイトギア同士で通信し、互いにインストールされている法規を精査。規定上問題がないことを確認した上での返答だった。
「分かった。
現状の俺達の装備では、あの巨大生物を生かしたまま台地の麓に送り届ける方法はない。なので向こうがこちらを避けてくれない限りは、こちらとしても断固とした対処を行うしかない。
正直なところ、こっちに来ないことを祈るだけだ」
その俺の言葉で、<会議>は僅か十五分ほどで終了した。正直、ただの<アリバイ作り>と言われてしまえばその通りだろう。ロクに反対意見も出ないようなそれじゃな。
だがこれは、
『判断の責任は俺にある』
ということを改めて確認するためのものでもある。
法律上、とやかく言われる可能性は現状ではないものの、今後、ここにできてくるかもしれない<人間の社会>において『判断に責任を持つ』ということを蔑ろにしてほしくないから、俺が率先してそれを示さなくちゃいけないと思う。
今回の会議の内容は、エレクシア達がしっかりと記録してくれている。
『昔のことだから仕方ない』
では、済まされないんだよな。
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