誉編 許可
新暦〇〇二八年八月十日。
俺が<
このまま成り行きに任せるか、
早々に対処して排除するか、
どちらを取るか、だ。
今回のと同じものと推測できる事例は、すでに確認されている。
イレーネが遭遇し、<捕食>されたと見られている、今は
推定される骨格等から、まったく同じ種類というわけではないらしいが、近似種であることは確からしい。そして、
「おそらく、サイズ的にも同等以上の大きさになると思われます」
エレクシアが淡々と告げるそれに、俺は戦慄を覚えた。
「つまり、イレーネが勝てなかった奴と同程度の強さってことか……」
そうだ。まさにそういうことなんだ。
俺の呟きに、エレクシアは応える。
「イレーネの記憶領域が破損していたため、詳細な戦闘データは回収できていません。ですが、部分的に復元できたデータから推定される部分だけでも、容易ならざる相手だと考えられます」
「……エレクシアなら、勝てるか……?」
「その質問に断定的に答えるには、データが不足しています。ですが、あくまで予測ということでよろしければ、確率としては六十パーセントといったところでしょうか」
「その程度…なのか……?」
「はい。ただし、コーネリアス号に保管されている全装備の使用許可が頂けましたらその確率は九十パーセントにまで上がりますが」
「<あれ>を使うということか?」
エレクシアの言う<全装備>とは、コーネリアス号の防衛の為に装備されていた、メイトギアが運用可能なものの中ではおそらく最強の武器、<
それでも、非常に強力な武器には変わりない為、使用には厳しい規定が設けられていて、その規定に合致した上で管理者の許可が必要だった。
もっとも、その管理者も二千年以上前に(法律上は)亡くなっているから、何らかの超法規的な対応でもされていない限りは所有権も消滅してるはずなんだが、モノがモノだけに、
『所有者がいませんからどうぞご自由にお使いください』
とはいかず、やはりロボットに設定されている規定をクリアした上で管理者の許可が必要となってるんだよな。
で、今は俺が<管理者>という解釈になっているというわけだ。
「分かった。エレクシアが必要だと言うのなら許可する」
万が一、実際に使う段になって俺が許可を与えられなかったりすると困るので、今の時点であらかじめ許可を出しておく。
もちろん、その時に俺が許可を与えられる状態であれば、改めて許可を求めてくるけどな。
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