誉編 気を付けたい

『子供が大人を舐める理由』


としてあと考えられるのが、


『ニュースなどで<大人のダメな部分>というのがあまりにも明るみに出てしまった』


というのもあるかもしれない。


本当にもう、


『<ダメな大人の実例>を見ない日はない』


というくらいにダメな大人が世の中に溢れすぎていて、大人がいくら偉そうに振る舞ってもその実情が子供に見抜かれてしまっているというのもある気がするんだ。


大人が偉そうにすればするほど、現実の大人の実態とのギャップが鮮明になり、尊敬するどころか逆にますます子供に呆れられる始末。


だから俺は、子供達の前では偉そうにはしないように心掛けてたな。特にひかりあかりは人間としての知能も発達してるから、俺がいくら上辺を取り繕っても見透かされる気しかしなかったし。


『偉そうにしてるくせに実は』


っていうのが一番信頼を損ねるもんな。


俺がこうして話をしてるのですら、


『偉そうにしてる!』


と感じる人間はいるだろう。偉そうにしているから反発する、というのは。


だがそれは翻って、俺の言ってる、


『偉そうにしてる大人やつは信頼できない』


って話を裏付けることになるんじゃないかな。


俺自身は別に偉そうにしてるつもりはなくても、確かに大した人間じゃないし、それが相手から『偉そうにしてるように見える』だけでもうアウトなんだろう。


だから親も、子供から、


『大した人間じゃないクセに偉そうにしてる』


って見られてしまうと、もう、みるみる信頼を失っていくんだろうなという実感が、自分が親になったからこそあるんだ。


って、なんか以前にも似たようなことを言った気がするな。


まあいいか。


これは結局、子供達の前で自分が<信頼できない大人>になってしまわないように俺自身が自分に言い聞かせるためにやってることでもあるわけで、だからことあるごとに何度でも言葉にしなきゃいけないんだ。


人間ってのは、忘れる生き物であると同時に成長もし、しかし成長することによって時には<変質>していく生き物でもある。


どんなに高い志を持ってても、歳を経るごとに変質して見る影もなくなってしまうということもあるからな。


だからこうやって自分の考えを言葉にして、自分が今、何を考えているのかを確かめることも必要だと思うんだ。


子供に信頼されたいとか尊敬されたいとかそういうのを抜きにしても、子供の立場からしたって嫌じゃないか。


自分の親が<ただ偉そうなだけの大人>なんてさ。


そう考えたら、やっぱり気を付けたいとも思うんだ。


今では、ほまれをはじめ子供達の多くも<親>になった。


人間ほどはあれこれ面倒臭いことを考えちゃいないにしても、皆、立派に親してくれてるからな。


誇らしいよ。


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