深と彩(一応、分かるのか)
ひとしきり泣いて自然と涙が収まると、何だかすっきりしたような気分になっていた。悲しいのは悲しいし、胸が苦しいような感覚はまだあるものの、開き直りのような気分でもある。なるほど<泣く>ってのは人間には必要なことなんだと改めて腑に落ちる。
「ありがとう…少し落ち着いたよ……」
それでも、俺に寄り添ってることには変わりない。
と、その時、そんな俺達を見ている気配に気が付いた。
「
「
問い掛けると、彼女はするりと近付いてきて、俺達の隣でしゃがみこんだ。そうして地面に手を付いて身を乗り出して、花が添えられた真新しい墓に向かってふんふんと鼻を鳴らす。
母親の匂いでもするのだろうか?
「分かるか…?」
問い掛けても返事はない。俺も別に返事を期待して訊いたわけじゃないが。
ただ、
エレクシアに聞くと、昨夜もこうして
やっぱり、分かってるんだろうな。
一度は巣立ったはずが子供を連れて出戻って結局は居座ってしまって、時々
すると今度は、
で、
こうなると俺ももう酒盛りをしてる訳にもいかなくなって、
「ま、母娘水入らずってことで」
と、
「おかえりなさい」
今日も
「
「うん。見た目には傷もほとんど消えてた。データ上はもう大丈夫だって。あと二~三日で出られるんじゃないかな」
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