なんだか(小さい子供みたいだな)
新暦〇〇二三年八月二十日。
そうして
表情が分かりにくかった
そして、自分の<巣>でいる時よりも、俺に甘えるようにすり寄ってることが増えた。
『なんだか、小さい子供みたいだな……』
とか思ってしまう。
人間は歳を取ると子供に還っていくとも聞くが、これもその一種なんだろうか。
ああでも、それがどういう理由でも構わない。俺を頼ってくれてるのなら、それを受け入れるだけだ。
人間の場合は、甘えたくなっても『いい歳をしてみっともない』とか思ってしまってついつい我慢してしまうのかもしれないが、彼女達にはそういう体裁に拘るメンタリティはないからな。甘えたいと思えば素直にそうするんだろう。
不思議だ。遠目には子供のように見えつつもやっぱりよく見ると<おばあちゃん>って感じになってきてるのに、俺は今でもちゃんと
たぶん、ずっと素直でいられてきたからだろうな。
変に体裁や体面に拘って自分を押し込めて、素直な気持ちを表すことを『みっともない』とか言って見栄を張って顔をしかめていなくてよかったからか、表情が穏やかなんだ。
確かに気性の荒いところはあったものの、それはあくまで野生で生きていく為に必要な気質であって、そこに悪意はなかった。悪意で相手を傷付けようという醜さが、彼女達にはない。
そうだ。人間の場合は、『自分の気持ちに素直になる』というと、『悪意や害意に基いた気持ち』にまで素直になる場合も出てきてしまうが、彼女達はたとえ攻撃的な時でもそこに<悪意>はないんだ。ただ単純に、生きる為に必要なことをしようというだけで。
だから、攻撃的でいる必要がなくなれば、すごく穏やかな表情になる。それも道理というものか。
「
飾り羽のような柔らかい羽毛に包まれた彼女の頭を撫でながら、俺は囁くように問い掛けた。
「……?」
もちろん、
するとそこに、
「ママ……」
と小さく呼びかける声が。
声の先に視線を向けると、
それでも、ずっとここで顔を突き合わせて生きてきた<仲間>ではある。
だけど別れは辛いものなんだろうな。
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