別れがあると思うからこそ(余計に大切に)
と言っても、
生きている状態での体の機能などの確認もできるからな。遺伝子があればそれを基にAIがデジタルデータを再現し、シミュレーションもできるものの、シミュレーションと現物との差異を確認するのも、学者などにとっては重要な仕事である。つまり、俺の仕事としてはシモーヌの手伝いだな。
それから後はこれといったトラブルもなく、調査を終え、帰ることにする。すると、河に出た時、木の上から
追いかけてはこないところを見ると、
『エレクシアのことが実は好き』
なんていう話ではないんだろうな。あくまで自分の縄張りに入ってくると放っておけないというだけで。
俺達の周りには、そういう変わり種が集まるということでもあるのかもしれない。
こうして家に帰ると、俺は、
ローバーから降りると、まず、
ちなみに、俺が今、調査に使ってるローバーも、コーネリアス号のものだ。元々の俺のはすっかり
「ただいま、
俺が声を掛けるとこちらをちらっと見て、しかしそのまま、また毛繕いを再開する。今日はそういう気分じゃないようだが、甘えたい時には俺が帰ってくると近寄ってきて、頭をすりつけてくる。
次に、夜行性で活動を始めている
それから家に入って、
「ただいま、
と声を掛けると、
「あ~」
って感じの鼻にかかった声を上げながら彼女は俺に抱きついてきて、甘えてくれた。それからふんふんと匂いをかいでくる。
エレクシアによると、彼女の方も俺の様子に変わりがないかを確かめているらしい。で、変わりがないのが分かると安心して自分のパーソナルスペースへと戻っていく。特に甘えたい時なんかはそのまま離れようとしないけどな。
これまでもずっとこの感じだったが、最近では特にこのスキンシップを大切にしてる。俺の中に、彼女達の感触や匂いや声をしっかりと刻み込む感じか。
いつか来る別れの為に……だな。
もちろん別れは悲しい。辛い。寿命なんてなくなればいいと俺も思うし、人間はそれを目指して様々なことを試行錯誤してきた。それによって老化抑制技術は進歩し、二百年以上、健康なままで生きられるようにもなった。
だけどそれでもいつかは別れの時が来る。
だが、別れがあると思うからこそ余計に大切に想えるんだというのも、最近では特に実感してるんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます