紛らわしい話だよ(人間にとっては、だが)
新暦〇〇二〇年七月十一日。
その中に、特に気になる例があった。
実は、
しかも亡くなっていた個体からドローンによって採取されたサンプルを解析したところ、遺伝子的には同種と言ってもおかしくないくらいに非常に近いので、どうやらごく稀に
そういう訳で、
もしそうなら、
それもこれも、こうやって地道に調査を続けてきたから分かったことだ。やっぱり、<知る>ということは人間にとっては重要な意味を持つことだと実感する。
でないと俺はいつまでもそれを引きずってたかもしれない。『なるようになる』と自分に言い聞かせてても、言い聞かせないといけないということは、そうしないと俺はやたらと気にするタイプだということだし。
これはもう、『こういう性分』な訳で、いくら『気にするな』と言われてもそうそう直るものじゃない。
むしろ、俺がもし、そういうことを気にしなくなったら、きっと、酷くドライな人間になってしまう気がする。
考えすぎるくらいに考えるから俺は俺でいられるんだろう。
なんてことを考えながら、今日も密林の中を調査する。細かいことも含めれば、毎日のように新しい発見がある。
と言っても、それらすべてが俺達にとって有益なものばかりとは限らない。
それどころか、殆どが『どうでもいいもの』だったりする。しかしその中に有益なものが含まれていることもある限りは、調査を続ける意味もあるだろう。
ただ、そんな俺達を、例の
だから俺はそいつのことを、
非常にややこしいが、それも
紛らわしい話だよ。
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