灯は実に(容赦ない)
この惑星で群れを形成するタイプの動物の場合、近親婚を避ける為もあってか年頃になると群れから離れて他の群れへと移るのが普通のようだった。
で、それが<巣立ち>な訳だが、その巣立ちの仕方も、自分から群れを出ていく場合と、追い出される場合と、今回の少年のように、若い個体を連れて斥候に出た時に置き去りにする場合とが基本的な巣立ちのようだった。
「……」
仲間に置き去りにされたことに気付いた少年だったが、群れに戻ろうとするんじゃなく、
「お姉ちゃん、この子も一緒に連れて帰ろうよ」
日が傾き、そろそろ帰還の準備に入ろうとした時、
黙々と撤収作業をしながら
「……お父さんが『いい』って言ったらね……」
その言葉を受けて、
「パパ、パパ! 見てるんでしょ? この子連れて帰ってもいいよね!?」
と、イレーネに向かって、イレーネのカメラを通じて見ている俺に向かって、縋るみたいにしてそう言った。
するとイレーネがタブレットを掲げて、そこに俺達を表示させてくれた。だから俺も、
「ああ、いいよ。俺達の<群れ>に迎えよう」
って応えさせてもらった。
「やったあ! すっごいね! すっごいよ!!」
少年の手を握ってぶんぶんと振りながら、
こうして、<
「? …?」
さすがにローバーに乗る時にはその異様さに怯えてたみたいだが、
「あはは、おちんちん、小さくなってる~!」
などと、
まあそれはさておき、
「ようこそ、私達の<群れ>へ♡」
「ようこそ」
「歓迎します」
と温かく迎えたのだった。
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