リスク(有り得る話だもんな)
だから俺としても、正直、ホッとしてる。慣れたとは言っても、やっぱり見ないで済むならそれに越したことはないし。
「やはり、人間との間での妊娠率に比べると、有意な差異が認められると考えてもいいのかもしれませんね。二例だけでは断定はできませんが」
シモーヌの言葉に、俺も頷く。
「確かにな。ただ、ちょっと残念な気もするが、子供ができた場合にどんなリスクがあるかも分からないし、そういう意味では助かってるのもあるか」
「ですね。現時点でのデータでもし子供ができた時に生じうるものをシミュレーションしてみた結果、<先祖返り>が起こる確率が最も高いと出ています。つまり、
「
「はい。自然な状態でも、日常的な活動に支障のない些細なものを含めれば約五百例に一例の割合で何らかの形質異常が見られるようですけど、
「六パーセント以上ってことか。無視はできない数字だな」
「ええ。ちなみに、<先祖返り>に絞って言えば、すべての形質異常の中で最も確率が高く、全体のうちの四十パーセントを占める可能性があると出ています」
「六パーセントの内の四十パーセント、か」
「ちなみに、錬是さんと
「ああ…かなり高い確率だな……でも、なるほど。分かる気がする」
こうやって具体的に数字を出して説明してもらう方が、俺は腑に落ちることが多かった。理屈っぽく説明されるのが苦手な人間も少なくないらしいものの、これは感覚的な問題だからな。俺はむしろ何となくの印象だけで話をされる方がピンとこないことも多い。たぶん、俺自身が考えすぎる傾向のある理屈っぽい人間だからだろう。
セシリアに<コーヒー>を淹れてもらい、俺はシモーヌとそんな話をしながら
なお、この<コーヒー>は、調査の過程でカカオ豆に非常に近いものを見付けられたおかげで作ることができたんだ。
いやはや、探してみるもんだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます