量産化(それなりに役に立ってくれたらいい)
『自然の中では全てが壊れて然るべきもの』
そう考えれば、
その上で、既に設計されていた初号機に続き、
そしてその制作の為の資材についても。セシリアに用意してもらった。
「ただいま戻りました」
昼を少し過ぎた頃に、セシリアとイレーネが帰ってきた。
あれほどの姿になってたイレーネもすっかり元通りになっていて、俺もシモーヌもホッとする。
「おかえり。本当にご苦労だったな」
そう言って出迎えた俺達に、それでもイレーネは無表情のままで、
「いえ、それが私の役目ですから」
と素っ気ない。
だが、その様子がかえって胸に迫ってくる気もする。抱き締めて『よ~しよし♡』としたくなるの辛うじて堪えて、俺は、
「まあそう言うな。俺達の正直な気持ちだよ」
などと言いながら苦笑いを浮かべていた。
新暦〇〇〇九年四月二十九日。
設計もできていたし、ドーベルマンDK-a零号機を制作した際に段取りも出来上がっていたから、<ドーベルマンDK-a初号機>については、製作を開始してから二日と掛からず完成した。なんて言って、実際にはそれなりの設備を持つメーカーなら、半日と掛からない程度のシロモノなんだけどな。それ専用に作られた訳じゃない汎用の工作室だからこれだけ時間が掛ってしまっただけだ。
だから、ドーベルマンDK-a初号機もそれ以降のも、ある意味では『壊れて当然』という存在として運用することになる。そもそも『ただの道具』と割り切る為にというのもあって徹底的に簡素化したんだし。零号機については、初めてのってこともあってちょっと思い入れが強くなってしまっただけだな。
デザイン上は零号機とほぼ同じで、やっぱり割り切った。
それから続けて弐号機以降も同時進行で制作。肆号機、陸号機、漆号機については、セシリアとイレーネにローバーで運搬してもらってこちらに配備した。
が、見慣れない不気味な<何か>を前に、
でもまあ結局、それも慣れの問題だと思う。しかも散々俺達と一緒に暮らしてきた
そういう形ででも距離を取ることができるなら無駄な衝突も避けられるだろう。
武装も、万が一の暴発事故を想定して、実弾ではなく圧縮空気で樹脂製のスタン弾(ホントにその辺に生えてる木の樹脂から作った、メチャクチャ固いゴムボールみたいなもの)を撃ち出す形に変えた。
それで逃げないような奴は、それこそエレクシアに<処置>してもらうことになるだろうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます