第12話 未汝の成績を見て

 6月下旬。

 あれから何度か王宮へと足を運び、少しずつ慣れつつある。


 りなは相変わらず不愛想ぶあいそうで、しかし職務には忠実ちゅうじつだった。


 最初は宿題の分からない所を教えてもらっていただけだったが、中間テストの成績を見るや絶句ぜっくし、とりあえず基礎から復習しましょうと問題集を抜粋ばっすいしては未汝を机に向かわせる。


 期末テストが近くなれば、復習はそこそこにテスト対策に移った。

 これがまた的確なのである。


 テストに出そうな重要ポイントを見事に抑えて問題を解かせ続けた結果、毎度平均点ギリギリを行く未汝の成績は、教科によっては9割取れるところまでアップした。教師も驚きの成績アップである。


 だが、アップしなかった教科も当然ながらあるのであって、短冊たんざくになった順位表と解答用紙を見なかったことにしようとしたら、「返却されたら見せて下さいね」とりなに頼まれて(妙に眼力が強く、隠してないで出しなさいと強制的に提出させられた)、処分する間もなく、復習させられる始末しまつである。



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