第162話 ゴウタを殺した

孤児院で俺を苛めて、崖から落として殺そうとしたゴウタの前に4つの死体が転がる。


矢が数百本刺さって、ハリセンボンの様になった死体。


バラバラに切り刻まれた死体。


全身が凍り付いて固まった死体。


闇の触手に締め付けられて肉と骨の塊になった死体。


ほんのちょっと前に一緒に行動してた仲間の、凄惨な様子に恐怖で怯え、許しを請い続けるゴウタ。


「ほ、ほめんなはい、ゆ、ゆるひてくらはい・・・」


「さて、ゴウタはどんな死に方を望むのかな?」


「ひ、ひぃ。たふけてくらはい」


「此奴らはゴウタの仲間だったから殺されたんだよ、ゴウタと一緒にいなければ殺さなかったかも知れない。それなのにゴウタだけ助ける訳無いだろう」


「ほめんなはい、ゆるひて・・・」


「おい、あんなに苛めておいて許す訳無いだろう。孤児院でお前にされた事を忘れた事は無いぞ。まさか、お前は忘れてるって事は無いよな?」


「ひぃ」


「手出しが出来ない奴を、好きなように甚振るのが大好きだったよなぁ?」


「うううう・・・」


俺は両手の手甲を握り締める。


ゆっくり近付くと、動けなくなったゴウタを無言で殴りつけた。

ゴキッ!ドカッ!バキッ!・・・。


何時までも何時までも・・・。

ガキッ!ゴカッ!バシュッ!・・・。


何時の間にか涙が流れていた。

ドゴッ!ボグッ!グシュッ!・・・。


泣きながら殴り続ける俺。

ゴンッ!ドコッ!メキッ!・・・。


そしてゴウタの顔は変形していて、血が肉が飛び散り、撲殺していた。


それでも殴り続ける俺。

ブシュッ!ドシュッ!・・・。


後ろからエリが抱きついて俺を止める。

「もう死んでるのじゃ」


ハルカも抱きついてきた。

「復讐は果たしたよ」


ペロが俺の両手を握る。

「良く遣ったにゃ」


ユキが俺の頬を両手で触る。

「帰りんしょう」


「先に帰ってショータをゆっくり休ませるのじゃ。妾は後片付けをしたら直ぐに戻るのじゃ」


エリはそう言うとサラマンダーを召喚した。


その後、俺は借家にどうやって帰ったのか覚えていない。


薄ら覚えているのは、家に着いた後、ハルカとペロとユキが俺の服を優しく脱がして、ハルカとペロが俺を風呂に入れた。


エリも風呂に入ってきて、3人で俺の身体を洗って、替えの服を着せた。


エリもハルカもペロも全裸だったけど、何もする気が起きなかった。


俺は言われるがまま、手を動かし足を上げて、服の脱着をして貰った。


その後、大きなベッドで5人で寝た。

はず・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


次の日の朝。


目を擦り半身を起こす俺。


ユキとペロとエリが一緒に寝ていた。


ハルカは朝食の準備かな?


「起きたのかにゃ」

ペロが顔を手の甲で撫でている。


「起きたよ。昨日は有難う」


エリも半身を起こした。


裸!


「朝食を食べるのじゃ」


俺、何もしてないよな?

覚えが全くないぞ。


あれ?

俺って服を着せて貰ったはず・・・。


俺も全裸だった。


隣のユキも全裸でまるまってるぞ。

「ん、ん~。朝でありんすか?」


この子達、全裸でも全く気にしてない様子だ。


ん~。聞くに聞けないなぁ。


何かしたなら覚えていたいと思うよねぇ。全く覚えてねええええええええ!

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