第146話 ヴァンパイア3
2/19 誤字修正しました。
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古城跡地下のホール。
薄暗い室内に4人の影。
1人は王座に座り足を組む。
美男の男。上等な貴族服を着こなす。
歳は若く見えるがその目は、悠久の時を過ごした知性と落ち着きが浮かぶ。
永年の時を過ごし、何人も敵わぬ覇者の1人、ヴァンパイア真祖ヴァラカ。
無言で目を閉じている。
そして真祖の側で寄り添う、美しい女性騎士ヴァンパイアナイトのヴァンリ。
無言で真祖ヴァラカを見守る。
王座の下で下卑た笑いの貴族服の男、ヴァンパイアのスッケベン。
「げへ、ヴァース様が戻って来ませんな」
向かい合う難しい顔で、何かを考えている黒いマントの男、ヴァンパイアアルケミストのヨシゾー。
「うむ。急激な魔力反応でこの城が覆い尽くされた。そしてこの雰囲気、ダンジョン化されたのは、間違いあるまい」
「げへ、生意気な虫ケラで御座いますな」
「魔力反応も一瞬で消えた。ただの虫ケラではあるまい」
そこに突如現れる4体の影。
『疾風』エルフのエリ。
『風刃』ハーピーのハルカ。
雪女のユキ。
象サイズで登場、ドラゴンのドラム。
「げひぃ」
「お前等がダンジョンマスターの一味か?」
驚き戸惑うスッケベンを尻目にヨシゾーが落ち着いて尋ねる。
絶対の自信が窺えるその所作。
「そうじゃ」
エリが答える。
真祖ヴァラカは興味なさそうに目を閉じており、女性騎士ヴァンリは身動き一つせず、しかし視線をエリに向け、苛立ちを滲ませる。
「虫ケラどもが、何用だ?」
ヨシゾーはエリを見て、街で声を掛けられた時の様に、自然な感じで問う。
よっぽどの自信があるのだろう、気負いも恐れも無く平然としている。
「用件は二つじゃ。隣のスッケベンの命を貰うのじゃ。もう一つはここは妾達の土地となった、出て行くが良いのじゃ」
「げふぅ、なにい?」
スッケベンが目を見開く。
「スッケベンは僕が殺す!」
ハルカが宙に浮かび、スッケベンを睨む。
「げへ、ハーピーか・・・。ん!あの時の奴隷だな。げへへ、また犯して欲しいのかな」
「キモい事をいうなああ!お前は許さない!」
「げへげへ、たっぷり血を吸ってから、犯してやろう。ヴァンパイアは良いぞ。げひひ」
「ふむ。此奴は我々の眷族だ。おいそれとは渡せんな。それにこの土地は我らが貰う、ダンジョン化を解除するが良い。虫ケラどもの言う事を聞くつもりは無いぞ」
俺は気配を消して、ドラムの影に隠れているが、ダンジョン化もバレてるのか、侮れないね。
「話し合いでは解決出来なさそうじゃな」
その時、予備動作も無く、ヴァンリが突然エリの前に飛び掛かり、大剣でエリを袈裟斬りに振っていた。
「閣下の御前で無礼な!」
エリの前面で強風が発生し魔神パズズのバズが現れ、大剣を爪で受け止めた。
「跪け!」
ヴァンリは大剣に力を入れるが、バズはびくともしない。
バズから数百の風刃が放たれ、ヴァンリは細切れに切り刻まれた。
しかし切り刻まれたヴァンリの身体は、闇となって、後退すると、元の姿に戻った。
「む、何やつだ!」
ヴァンリがバズを睨む。
服まで復元するのか?すげえ。
どうなってんだろう。
「ほぅ、異界の魔神か?」
真祖ヴァラカが目を開ける。
金色の右眼と赤い左目のオッドアイ。
言葉とは違い、驚きの表情は無い。
真祖ヴァラカから邪悪な気配が拡散し始めた。
圧倒的な強者の威圧にも似た、濃厚な魔力を伴う圧力がホールに満ちる。
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