第102話 獣人国の酒場にて
酒場にて狐獣人と鼬獣人の女性2人と相席になって、最近の殲滅の旅団について聞いた。
近々大きい仕事があり、人数を集めてるそうだ。
ハーピーのハルカの仇であるリーダーのパーティーは、周辺の都市を回って勧誘しているので、今都市にはいない。
王都には冒険者が増えて、問題も発生している、殲滅の旅団が大手を背景として指名依頼で依頼をほぼ独占。
殲滅の旅団以外の冒険者に回る依頼が少なくなっている。
初級の冒険者は殲滅の旅団に入って下働きする人が増えている。
仕事が少なくなって荒れてる冒険者も多い。
一部の冒険者は殲滅の旅団を快く思っていない。
そんな話を聞いていたら、後ろの席で冒険者同士の喧嘩が始まった。
「てめぇ! もう一度言ってみろ!」
「弱小パーティーが俺達殲滅の旅団に喧嘩を売るのか?」
「てめぇらの
「詫びて頭を下げれば、下働きで使ってやっても良いぞ。」
「うるせぇ!」
殲滅の旅団らしき虎獣人の男に殴りかかる熊獣人の男。
それを躱しながらカウンターで顔を殴る虎獣人。
殴り飛ばされた熊獣人が俺の方に倒れて来た。
かなり背が高く、ガッシリした体格、体重も有りそうだ。
俺は立ち上がり、グラスと椅子を掴んで避ける。
テーブルにぶつかる男。
「きゃああああ」
狐獣人の女性の悲鳴。
テーブルとその上の料理がひっくり返る。
狐獣人の女性が椅子ごと倒れた。
「大丈夫ですか?」
俺と鼬獣人の女性が駆け寄る。
「
涙を浮かべる狐獣人の女性。
倒れた熊獣人は女性を気にもせず、立ち上がり叫ぶ。
「くっそおお! やりやがったな」
また、虎獣人を殴りに行こうとした、握った右拳の手首を掴んだ。
「ちょっと待て!」
熊獣人は俺を見て睨む。
「何だてめえ! ひっこんっでろ」
「おいおい、テーブルをひっくり返してお詫びも無しか?」
「どけ! 邪魔だ!」
熊獣人は手を振り払おうとする。
俺は気を纏い掴んだ手に力を入れた。
熊獣人は手を振り払えない事に驚く。
「な、何者だ」
掴んだ手はビクともしない。
狐獣人は俺に声を掛けた。
「お詫びなんて良いよ。大丈夫だから」
俺は左手で金貨1枚を鼬獣人の女性に渡す。
「情報有難う。食事代の差分は情報料だ」
「あら、こんなに貰って良いのかしら、有難う。兄さん太っ腹ねぇ」
俺は熊獣人を向いて、
「ここでは周りに迷惑だ。外でやれ!」
熊獣人の手を強く握り、そのまま外に向かって歩き出した。
熊獣人は抵抗しようとしたみたいだが、引き摺られる様に付いて来る。
手首の骨が軋む嫌な音がする。
「くっ、は、離せ!」
俺は無視して、熊獣人を外に放り出した。
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