第8話 強盗に遭いました。

防具屋で服と革の鎧を買って、武器屋で解体用ナイフも買ったので、次は食事だな。


宿屋に行くか。

宿と飲食店を併設してるはずだ。

今夜は宿に泊まろう。

魔石も残ってる。

魔石は不足気味との話だ。

魔石払いも出来るだろう。


宿屋向かって歩いていると。

前方から歩いてきた冒険者風の男達3人に囲まれた。


ん?

何だ此奴こいつら?


「おい、魔抜け!こっちに来な。」

裏道に連れて行かれた。


戦うなら人がいない所は、俺も望むところなので、大人しく付いて行く。


裏道に入ると後ろにいた男がいきなり俺の背中を強く押した。


前の俺だったら倒れていただろうね。

無様ぶざまに転んで、悪く無いのに謝って、米つきバッタの様に何度も頭を下げて許しをう。

そんな姿を思い出して顔をしかめる。


でも気配探知で押されるのは分かってたし、気を身体に充填していたのでびくともしない。


「何の用だ。」

背中を押した男に振り向いて聞いた。


男はちょっと驚き咄嗟とっさには喋れない。


魔抜けの痩せた小僧を強く押したはずなのに倒れず、大木の様に堅くて押せない。

此奴こいつ、普通じゃないぞ、何者?

と思ってるな、・・・多分。


前を歩いていた男が振り返り、脅す様に言った。

「大人しく魔石を出しな!

命だけは取らないでやる。」


ははぁん、此奴こいつら雑貨屋の仲間か。


男は俺の腹にパンチを入れた。

全然痛くない。

気の力は凄いね。


男はパンチを入れた右手を痛めた様だ。右手の拳を左手でさすってる。


「お前、腹に何か入れてるのか?

ふざけた真似しやがって。」


俺は無言で男を注視している。


横にいた男が俺の手を掴む。

「大人しくしてろ!動くなよ。

俺達はCランク冒険者だ。

Cランクの意味は分かるだろう。

お前には何も出来ないぞ。

諦めろ!」


Cランクの冒険者は数が少ない。

町でもトップレベルの実力だった。


俺はちょっと横の男の目を見る。

その瞬間、前の男が左手の拳で俺の顔を殴る。


痛くな~い。気の力で防御だ。

前の男は左手も痛めた様だ。


男は心底驚いてる。

「お前魔抜けだよな?俺は魔力で身体強化してるのに、どういう事だ。」


男は普通じゃ無い事を感じ取り不安げな様子だ。


身体強化!

魔物でさえ倒す威力だぞ。

そんな事して殴ったら普通死ぬぞ。


これは手加減無しで良い案件だ。

俺は無言で3人の男達から気を無理矢理吸収する。死なない程度に。

生命力吸収ライフドレインだ。


3人は立っていられず膝を付く。


俺は前の男の腹を蹴飛ばした。

男は吹っ飛び転がり、腹を押さえてうめいている。

暫く起き上がれ無さそうだ。


そして横の男の掴んだ手を手首を回転して掴み返し、無理矢理立たせると、一本背負いで背中を地面にしたたかに打ち付けた。


そのまま生命力吸収を続ける。

男は意識を失い倒れた。


最後は後ろの男だ。

振り向く。

膝をついていた男は上目遣いに俺を見て、慌てている。

「お、俺は付いて来ただけだ。

何もしない。見逃してくれ。」


おいおい、初めに押し倒そうとしただろう。


俺は男の頭を右手で掴み生命力吸収。

この男も意識を失い倒れる。


初めに蹴飛ばした男の元へ無言で歩いて行く。

「ひ、ひぃ。助けてくれ!」

男は脅えて両手上げて叫ぶ。


「うるさい!」

俺が叫ぶと男は黙った。


「雑貨屋に頼まれたんだろう。」

「そうです。」


男達は全て洗いざらい喋った。


雑貨屋の依頼で俺を襲った。

魔石を沢山持ってるので強奪する。

魔抜けなので殺しても良い。

手に入れた魔石は山分け。

以前から雑貨屋の情報で強盗をしていた。


ふむ。雑貨屋はアウトだな。

どうしてやろうか。

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