第119話 北高祭2日目 覗く生徒会長
「一般入場が始まりました。校内巡回を行います。合奏同好会ばかりを気にして他の事を見落とす事がないように気を引き締めて見回りましょう」
生徒会の面々は校内巡回に出た。
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「宮子、漫研大丈夫なの?」
「うん、当番変わってもらったからね。午後は戻るけどね~」
渡り廊下の近くまで行くとカーテンで包んだ電子ピアノを壁に立て掛けて親衛隊が待機していた。カーテンで包まれていることで怪しさが醸し出され、かえって目立っている。ここに生徒会が来たら職質を受けることになりそうだ。さっさと撮影場所を決めてまわりを警戒しよう。
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生徒会長は合奏同好会の部室へと向かった。
まずは合奏同好会の部室。さっきの部外者が今はどうしているのか確認しておきたい。ついでに今日も部室でライブをやるなら、そろそろ1回目の演奏かも知れない。彼らの演奏はかなり上手いから何度でも聴いてみたい…。
「おかしい」
人の声も楽器の音もしない。まさかさっきの第三者が何かを?!
会長は警戒しながら部室に近づいた。女子の声がする。
「まどろみさん、起きてください。そろそろ行きますよ」
扉に隙間を開け覗くと、男子の胸に顔をうずめた女子が、立ったままいびきをかいている。その横では別の女子が、なんとかして起こそうとしている。
そろそろ行きますよ?と言っていた。一体どこへ?
見える範囲には電子ピアノが無い。暗幕の裏?まさかね、今日はライブをしないなんてことは有り得ない…そうね、
会長はそっと部室を離れた。
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「ええ?!まどろみさんが寝てるってどういうこと?」
北高祭用グループにお嬢から来たメッセージにはそう書かれている。
「疲れが溜まったんだね~」
宮子は呑気に言うけど、ここで時間のロスは致命的だよ、包んでるとは言え電子ピアノは目立ってるから、ライブの前に見つかる可能性が高くなる。
「状況がよく分からないっ、あたし部室見に行ってくるよっ」
「あっ、美咲待って!私も行くよ~」
あたしたちが部室に向かうと、向こう側から生徒会長が歩いて来た。まさか部室の中を見られた?
「あなたがたは校内ライブを行うおつもりですね」
はっきりと確信に満ちた声で言い切った。駄目だ、これはもう誤魔化しが効かない。
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