第90話 晴れてめでたく大円団!…じゃないの?
「それにしてもお前たちは本当に良くやった。千歳の愛情が憎悪に変わってしまわないか心配してたんだが、恐らくはもう大丈夫だ」
「憎悪…」
「そう。憎悪から生まれるものは闇だけだ。そこに明るい未来は無い。さっきまでは千歳が闇の中で壊れてしまい、桜谷や日之池も深く傷を負うという未来も存在してたんだ。でもその未来は無くなった」
お嬢がフフンと笑った。
「ターニングポイントは私が千歳さんを抱き締めたところですね!先生が抱き締めていたらどうなっていたかわかりません!だってお胸が固…」
「こ~し~み~ず~…それ以上言ったら…泣くぞ」
「そしたら私が先生を抱き締めてあげます!」
「いらんっ」
お嬢、それ冗談だよね?中学の時に女の先生と付き合ってた事を知ってるから笑えないよ。
「今日のことで君たちの未来は変わったと思っていい。今の出来事が未来の自分を形作っている。その事をいつも頭に置いて無駄な高校生活を送らないようにしろよ」
「先生…たまに良いこと言いますね」
「たまに?そうだな、日頃から
『だから怪しい宗教みたいなこと言わないでくださいっ』
「あっはっはっ。さて、私は学校に戻る。気を付けて帰れよ」
先生は
「亮、過去の呪縛から解放されたか?」
「うん、これで区切りがついた」
「そうか、良かった…」
「あれ?大丈夫?眠いの?」
「うん?…あ、うん、眠い…」
「そっか…じゃあもう帰ろう」
「まどろみさん、ふらふらですね。皆で支えて行きましょう」
今から2人きりで告白タイムかも知れないから、あたしたちはお邪魔だよ、と思っていたんだけど…まどろみさんの様子が変だ。
眠そうなのは確かだけど…千歳のことが片付いてもっと喜ぶと思ってたのに、その勢いで付き合うかもって思ってたのに。
分からない、何がまどろみさんをそうさせているの…?
まどろみさんは家に着くと「ありがとう、寝たいからこれで…」と言って家の中に入って行った。
あたしの思ってた筋書きでは、亮が過去の呪縛から解放されたら、すぐにどっちかから告って、晴れて2人は交際開始。
そして北高祭でのゲリラライブも盛況のうちに終わって、晴れてめでたく
過去の呪縛を解き放ち「まどろむ女子高生」は終わって、今度は新たな未来に進んでいく「まどろむ女子高生②」に続く…という筋書きだったのに。
呪縛から解き放たれて、そんな未来が来ると思ったのに…なんで?
このまま大円団にはならないの?
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