第59話 恋バナ ② 桜谷香風

「じゃあ次は…誰の恋バナ?あ、そうだ」


 宮子は鞄からマ○ドナルドのポテトを出した。ちょっと押しつぶされてる。


「これでくじ引きしよう。短いのを引いた人が次の番。それと引いたポテトは必ず食べてね」


 え、食べ物でくじ引きって色々とマズくない?まあ、あとで食べるからいいか?

 みんなで少し押しつぶされたポテトを引く。うーん、これ食べなきゃいけないの?


一番短いポテトは香風このか


「じゃあ次は香風の恋バナ、あ、ポテト食べてね…さっき買ったやつだから大丈夫。冷めてても美味しいけど、やっぱり温かいほうが美味しいよね~。真知子先生に頼んだら電子レンジ置いてくれるかな…」


 うむと考え込む宮子、確かに電子レンジがあったら温かいお弁当も食べられる。良いかも知れない。


「じゃあアイドル香風ちゃんの恋バナ聞かせて~、「アイドルだから、わたしは皆のものよ」とか言うのは無しでね」

「あ、え?」


 口をパクパクさせる香風。みんなのものだと言おうとしていたようだ。


「わたしは恋愛禁止のアイドルだから、浮いた話は無いわよ。わたしに惚れてるファンは多いと思うけどね」

「密かに好意を寄せる人も居ないんですか?」

「居ないわ、忙しくてそんな暇無いって感じね」


「じゃあタイプは?どんな人がタイプ?」

「好きになった人がタイプでーす」

「と、言っておくとファンの人が俺にもチャンスが有ると思うから良いんだよね~」

「そ、そんなこと無いわよっ」


「クラスは?クラスにいい感じの男子居ないの?」

おない年の男子は子供っぽく見えてダメ。年上が良いわ」

「仕事してると、大人の人が多いからそうなるんだよね~」


「見た目は?どんな人が良いの?例えば背が高いとか?」

「ビジュアル?そうね…背が高くて、足が長くて、引き締まった体系で、清潔感があって、やっぱりイケメンが良いわ」

「やっぱり~、好きな人がタイプと言っても好きなタイプはあるよね~」


 宮子って香風をからかうのが好きなのかな。


「そ、そりゃあるわよっ。わたしばかり言うのって不公平よ、あんたの好きなタイプ教えなさいよっ」

「私?黒衣をまとい大きな剣を持ってる強い人がタイプ」


 宮子はポテトを頬張ほおばりながら答えた。ごめんね宮子、ちょっと馬鹿っぽく見えるよ。


「もういいわっ、私の話はお仕舞いよっ」


 アイドルしている香風は、当分恋愛は出来なさそうだ。ちょっと可哀想。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る