森の魔女、砂の少年を飼う

作者 水凪 らせん

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★★★ Excellent!!!

読了したとき、最初に思い浮かんだのは好かれるコミュ障と嫌われるコミュ障の違いでした。他人様の作品紹介でいきなり何を語り始めているんだコイツは──とさぞお思いでしょうが、まあ落ち着いてどうか続きを聴いて(と云うか読んで)いただきたく。

好かれるコミュ障と嫌われるコミュ障。何が両者の明暗を分けるかと云いますと、それは感情表現が上手く出来ているか否かなのだそうで。多少口下手であっても自分の感情や考えを素直に伝えることができていれば、「ああ、あの人ってこういうキャラなんだな」と周りから受け入れてもらえる可能性が高まる。

一方で、感情や考えを真っすぐに伝えられない、自分をわかってもらう術に乏しいと「あの人何考えてるかよくわかんないし、何か怖いよね」って下手すると勝手にネガティブなキャラ付けをされてしまったりする(もっとも情報の送信側に何かと改善が求められがちなこのコミュ障問題、むしろ受信側に問題あるケースの方が多くね──と個人的には思ってしまうのですが、この場においてそれは本題から遠ざかってしまうので。言及は控えさせてもろて)。

そう、知らないということはときに不安や軋轢、恐怖を生んでしまうのです。

たとえば──ファティの四つの目が細く形を変えるのも、それが「笑顔」であると知っているキイナからすれば好意的なものとして映るじゃないですか。知らなかったら「ヤダッ、目が多い! 怖い!」ってなっちゃう。

女性は永遠に女の子であるという未来永劫過去永劫不変の真実を知らなければ、不用意な発言で大事な人を傷付けてしまうかもしれないし、基本ぺったんこな人は真っ赤なベルベットのリボンをつけないという世のしがらみを知らなければ、大事な人を困惑させてしまうかもしれない。

無論知れば知る度、その都度僕らは前に進めるか。明るい方へと共に向かって歩けるかと訊かれたら、ことはそう単純でもなく。ただ、… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

森に住む「魔女」に贄の少年が差し出された。
少年は魔女に喰われる覚悟をしていたが、現れたのは……。

天然で優しいけど、芯が強い少女、キイナ。
壮絶な過去を持つ少年、トゥエ。

二人は共に生活するなかで、心を通わせていきます。

まるで童話のような、おとぎ話のような優しさに溢れた物語。
個人的に好きなのが、森の蔦がキイナ達にすりすりする様子。
作者様の優しさが詰まった物語だと感じます。
だけど、泣けます。

ほっこりしたいあなたにお勧めの、優しく煌めくファンタジー。ぜひご一読ください。

★★ Very Good!!

※作品は絶対評価したいので星の数はぜんぶ二つです。三つにしとけばよかった。
※最後まで読んだ感想です。

古来より、災禍災害の折には「ここはいっちょ神様あてに生贄いっとく?」が人類の歴史であって、でも、相手の好みもあるわけで、人間さんサイドがいくら『本日のおすすめ』と思っても、勝手に飯だけ出して金を払わせようとするぼったくり食堂にしかならんわけです。

ということで「人間とか食わんし生贄とかひくわー」な魔女が、お出しされた少年を飼うハイ・ファンタジー小説です。

人外との暖かな交流譚と、人の世のどうしようもなさと、こうした物語のツボを押さえた展開が続いて、非常に楽しめます。


以下、独断と偏見の人物紹介

〇トゥエ―――国が砂漠化してやべーことになっているので、森の魔女へお食事用に送られた奴隷少年。

当初はキイナ曰く「リスの方が話しやすい」というくらいで、事実、ことあるごとに「いぢめる? いぢめる?」と小首を傾げるシマリスくんムーブを続けていたが、次第に魔女を甘味で餌付けし、ダイエットにも協力するなど逞しく成長した。

薄幸の美少年といったたたずまいで、その過去も底抜けに重い。

〇キイナ―――森を愛し、森に愛され、四ツ目のパパと蔦たちに守られすくすくと育った少女の姿をした魔女。このたび手足に枷付きの、可食部分が乏しい少年をお出しされて困った挙句、飼うことに決めた。

基本的に食べなくてもいいみたいだが、町の飯テロ、甘味の暴力、糖質の絨毯爆撃に屈し、無事、ハイカロリーなおデブウィッチへと進化を遂げることになる。だんだんと主従が面白いことになっていく顛末は見もの。

なお、なかなかな神たらしだということが後に判明するし、その過去は底なしに重い。


人間さんサイドにもさまざま濃いキャラが登場します。

「オレ、ニンゲン、キライ」となってしまうそうな奴も出るし「我、人類を… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ファンタジーではあるのだが、いわゆるありふれたような設定の世界ではなく、オリジナル要素がふんだんに盛り込まれたものになっている。この設定にこそ作者のこだわりを感じた。

登場人物の心理描写が見事である。美味しいものを食べた時や愛情を感じた時、様々な場面での描写が読み手側の心に揺さぶりをかけてくる。


信仰や政といった一見重厚なテーマも取り扱っているが、それ以上にキイナとトゥエ二人のやりとりにほのぼのさせられるので読むと優しい気持ちにさせられる。

★★★ Excellent!!!

優れた物語とは読み終わった後にも、読者の胸になにかしらかを残してくれるものです。
それはきらきらと瞬き続ける星のようなひかりであったり。凍えたこころを暖めてくれるともしびであったり。心地よく、ひりひりと残り続ける傷、だったり。ああ、物語を書きたいなあと想わせる、情熱のようなものだったり。かたちはそれぞれ違いますが、物語とは幕をおろしてなお、色褪せないものだとわたしは思います。

それを踏まえて、この小説は最上級の《物語》でした。

こちらは純真無垢なる森の魔女《キイナ》と魔女に捧げられた贄の少年《トゥエ》が織りなす物語です。それぞれの恋の物語であり、彼女たちを取りかこむひとびとの愛の物語でもあります。
キイナは森を操ることができ、まわりからは魔女だといわれているものの、おそろしいものではなく、森の加護を受けた愛らしい少女です。彼女いわく、「操っているのではなく、森がお願いをきいてくれるだけ」
このキイナがとにかく、可愛らしいのです。わらっていたかと思えば、りすのようにぷうと頬を膨らまし、涙を流していたかと思えば、輝くばかりの笑顔をみせる……トゥエは奴隷としてむごく扱われてきたという経緯があり、こころを凍てつかせていたのですが、キイナと一緒に暮らすうちに段々と感情を取りもどし、「生きていたい」と望むきもちを思いだしていくのです。
そうして、ふたりのあいだには穏やかな愛が芽生える。
ですが、その愛すらもひき潰すように運命の歯車は、残酷に動きだすのです。

構成もまた素晴らしい。
緩急のつけかたといい、それぞれの登場人物の想いが余すところなく書ききられています。
時に焼きあがったばかりの菓子のようにあまく、時に胸がぎゅっと締めつけられるほどにほろにがい……水凪らせんさんの繊細にしてあざやかな筆致が随所にきらりと光り、読者の感情を的確に揺り動かしてきます。
そうして人物の書きこみ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

みなさんは、「水凪らせん」さんをご存知でしょうか。
今こうして私がレビューを書いている長編小説『森の魔女、砂の少年を飼う』の作者さんです。

らせんさんといえば、短編『君を継ぐための一万文字』(キャッチコピー:「君の世界に、僕は行く。」)を読んだことがあるという方もいるでしょう。
こちらは言わずと知れた名作で、創作に関わるすべての方に強くお奨めしたい作品です。

そして、今回ご紹介する『森の魔女、砂の少年を飼う』は、『君を継ぐ……』の主人公が書いた小説だという設定があるそうです。
なので、『君を継ぐ……』を読んだことがある方は、ぜひ『森の魔女』も読んでみてくださいね。両作品について、また違う味わいが広がると思います。


さて、ここからが本題。
『森の魔女、砂の少年を飼う』のレビューになります。

この作品は、タイトルの通り「魔女が少年を拾って飼う」話です。
基本的には魔女と少年のラブストーリーになります。
序盤のうち、少年は拾われた野良猫なみに警戒しているのですが、打ち解けていくにしたがって糖度が高くなってゆきます。

らせんさんの長編作品といえば『箱庭の旅人』という素敵な作品もありますが、こちらはパンばっかり食べているのに対し、
『森の魔女』ではケーキを食べます。いっぱい食べます。
もう、「パンがなけりゃケーキを食べればいいじゃない!」ってくらい食べます。そして太ります。

そして、ラブコメかと思いきや、ファンタジーな世界観の設定も充実しています。魅力的な人外がわさわさしている楽しい世界です。
個人的には、「魔女」という存在について序盤から揺さぶりをかけているのが興味深いです。
魔女とは何なのか。「魔女」という言葉が意味するものは。
そもそも、本当にそんなものが存在するのか。
そのあたりに注目しながら読んでみるのも面白いと思います。

そして、シリアスパートはとことん… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

まず声を大にして言えるのは

『なにこれすごい可愛い』

森の魔女キイナの一挙手一投足がこんなにも愛らしいとは!!!
そして、人物もそうですが、自然の情景を丁寧に描写しているこの作品は、まるで絵本や風景画をみているようなのです!

この物語の人物は、誰しもが行動のその裏に愛情を秘めています。
優しいながらも不器用な愛情。大きく包む愛情。それは、この物語の描写の巧みさと相まって、頬が緩み幸福な気持ちになること間違いないでしょう。

しかし、愛情とは、必ずや相手に理解され、喜び受けいれられるものだけとは限りません。時にはぶつかります。それも描かれています。
そしてそれを誰かと共に乗り越え思いを受け入れる様、そして己がなさなければならないという信念が、読むと心に深く突き刺さるのです。

どうか、森の魔女キイナと贄の少年のトゥエの優しく激しい感情を、体験していただきたい!

★★★ Excellent!!!

森の魔女キイナは、贄の少年トゥエを拾う。飼う者と飼われる者。歪な関係で始まった二人の生活は、優しい森のざわめきと共に少しずつ穏やかさを取り戻していいく。
一方その頃、森の外では穢れた砂による国の危機が迫っていて――。



ふんわり優しい癒やしライフ…と思いきや、背後でうごめく陰謀とか、キイナちゃんの絶妙な可愛さとか、トゥエくんの不器用さとか、森の主ファティの優しさとかに、ガンガン胸をえぐられてしまいました…本当に感動しました…。

キイナちゃんとトゥエ君の会話は、いつでも癒やされます。癒やされるのですが、それが話数を追うごとに、癒やし以外の側面を見せてくるのです。彼女たちを取り巻く環境が厳しいからこそ、変わらぬ会話が何よりも愛おしく思える。この点が、本当に巧みだと思うのです。

そしてなにより述べておきたいのが、この物語では様々な愛が描かれているということ。それはキイナとトゥエの間の、恋愛未満友愛以上の愛。ファティとキイナ、それに森の間の家族愛。トゥエと砂の民の間の敬愛。あるいはイスタの王と息子レイシスの間の歪な親子愛。決して美しいだけでは割り切れない、様々な愛の形を本作は丁寧に描いています。

読み終わった時には、貴方の大切な人をぎゅっと抱きしめたくなる。そんな優しい気持ちにさせてくれる本作。ぜひ一度、お読みくださいませ…!

★★★ Excellent!!!

もし恋愛ジャンルはーとか、女性向けかーみたいな理由で読まずにいるなら大変もったいないです。ともかくこのファンタジーを読んでみてください!

第一話を読み始めた瞬間に、これはすごい小説に巡り会えたなと思いました。
そしてその思いは最後の一文を読み終えるまで全く揺るぎませんでした。
どこがどう良いのか的確に伝えることができず、とても歯痒いです。敢えて言えばパーフェクト、です。うん、全然説明できとらん。
読むほどに自分の中で感情の嵐が起こってしまって、ここまで作者さんに感想を一度もお伝えできず申し訳ないです。
こんなところですみません。とても楽しませてきただきました。最高の物語でした。

私はてっきり異世界ファンタジージャンルなんだと思って読み始めました。でもある日カクヨムコンのランキングをつらつら眺めていて、ようやく恋愛部門、恋愛ジャンルだと気づきました。
おやまあ! でも確かに愛の物語ですもんね!
それで、冒頭のそれだけは伝えたくて下手なレビュー文を書くことにしたわけです。
ともかく。あなたも一緒にこのファンタジーを楽しんでください!

★★★ Excellent!!!

とてもとても、可愛いお話。
こんな可愛い子を書けるなんて、本当に羨ましい!ってくらい。
キイナの可愛さは異常です。ほんとに可愛いです。もふもふしたいです。
贄の少年を飼うと言って、お世話するのは自分だからと色々してあげようとしては失敗する。なんて可愛いのでしょうか!
そして、どんどん背筋の伸びていくトゥエを応援してしまいます。

シリアスパートでは、キイナとファティの絆に涙しました。

そして蔦、なにはなくとも蔦。
蔦の存在が、童話のような世界観をより一層引き立てている気がする。蔦を書いてくれてありがとうございます!
このレビューなに言ってるの?って思われたら読んでみて下さい。蔦、可愛い!ってなること請け合いです。

★★★ Excellent!!!

頭を空っぽにして読むのではなくて……

常に頭の中に情景を思い浮かべながら読みたい作品。
 
森も、城下町も、牢獄も、砂漠も、小洒落たケーキ屋さんも、静謐な祈りの場も、小粋な独身男の住まいも、きっと鮮明にイメージ出来る筈…………。

それだけの文章力を持っている作者さんなのに、むしろ本領は別のところに有ります。

いちいち魅力的な登場人物、そして人間以外も極めて活き活きと描かれています。

コメディとシリアスと、ほっこりと緊迫と、切なさと暖かさ……そして父と子。

恐ろしいほどのバランス感覚。

キュンキュンしたり、ハラハラしたり、ドキドキしたり、ワクワクしたり……。

おかしくて涙が出そうになったり、悲しくて涙が出そうになったり……。

ヤマモモが食べたくなったり、蔦が可愛らしく思えてきたり……。

凄い小説ですよ?

★★★ Excellent!!!

すごい作品です。もうこの一言に込めたい。すごい作品です。

魔女が贄の少年を拾って飼うところから始まる物語なんですが……

魔女は食事いらないそうなんですよ。あと世間知らずです。
なのでトンチンカンなことをやらかして、贄も贄でこじれてますので、「なに、この可愛い二人っ」とキュン殺しにあいます。

ほのぼのでほにょほにょします。デートとか会話ひとつにほっこり。

が。

ずどーーんっ、とシリアスパートで落としに来ます。
生半可なシリアスではありません。
贄の少年の過去に関わることなんですが、どシリアスもどシリアスです。

しかし、そこでも魔女ちゃんが登場すると……
ほのぼのパートでほにょほにょします。

愛の物語ですね。もう感情のジェットコースターでがんがんぶんぶん動いてすごいもの読んじゃった満足感でいっぱいになります。

濃厚濃密、そして可愛い最高超癒される。

イチ押しキャラは蔦です。え、はい、蔦ですよ。もちろん。ひょこっ。

★★★ Excellent!!!

最初はとにかく森の魔女であるキイナが可愛くて可愛くて、贄のトゥエとのやりとりがもうほほえましくてですね、たまらんなぁって読んでたんですけど、

読み進めるうちに、どんどんシリアスがやって来るんですよ。えっ、これってそんなシリアスなお話だったのね。可愛い魔女ちゃんとちょっと不器用な少年のキャッキャウフフじゃないのね、と。

でもシリアスパートに差し掛かっても相変わらずキイナは可愛いし、トゥエとのやりとりもにやにやしちゃうし、ってちょっと油断してたらキイナの父であるファティの彼女への思いやら何やらで涙腺がもうおかしなことになってしまってですね。

これ読了直後に書いてるんですけど、ちょっと興奮のあまり自分でも何を書いてるやらって感じになってるんですが、とにかく名作ですね。間違いない。私が言うんだから間違いないんです。私は一体何様なんだ。

異世界ファンタジーですけど、転移も転生もなし。都合の良い派手な魔法もありません。まぁ、森の中でならキイナはチートかもしれませんけど。俺TUEEEも当然ありません。最近そういうの流行ってますけど、だからってこの作品が埋もれて良いわけがないんです。読んでください、ぜひ! 

涙腺の弱い方は、ティッシュはひと箱用意しておきましょう。

★★★ Excellent!!!

それはケーキだったり愛情だったり、感情だったり。

貴方はこの物語を読んで、何を物語から渡されましたか?

私は――、読み進めるということによって、見守ったことで得られた幸せかな。

何はともあれ、皆様に穢れなき未来があるよう「祈り」ながらこのレビューを終わりとします。バイバイ。「またね」。

★★★ Excellent!!!

森の魔女・キイナが、贄の少年・トゥエを拾うところから物語は始まります。
最初は2人とも、距離の取り方がわからず、よそよそしい感じなんですが、一緒に過ごす時間を重ねるたびに、お互いにかけがえにない存在になっていきます。
その描写がとても丁寧で、心が温まります。

キイナは森で暮らしているが故に、かなり世間知らずです。まっすぐで、純粋な彼女は可愛くもありながら、時に強さが垣間見えます。
トゥエは何だかんだキイナの世話を焼き、キイナを守りたいという決意がとてもかっこいいです。

また、キイナの義父のような立場であるファティは、そんな2人を温かく見守っています。そこに見える愛情がとても良いです。

まあ、そんな感じで前半はほのぼのとしているんですが、後半はかなりの急展開で、涙なしには読めません。
何回も泣きました。最終回周辺は涙が止まりませんでした。
前半、丁寧に人間関係を描きキャラクターに愛情を持たせるんですが、後半それが仇となるとは!こりゃあ、泣きますよ。

キイナがトゥエに抱く『愛情』。
キイナがファティに抱く『愛情』。
トゥエがキイナに抱く『愛情』。
ファティがキイナに抱く『愛情』。

これらの書き分けが的確で、はっきりと違いを描いているところが凄いと思いました。
愛情の種類はひとつじゃないことに改めて気づかされました。

愛を持って、この物語を、キャラクターを生み出してくれてありがとう。

★★★ Excellent!!!

 深淵の森の魔女キイナは、贄の少年トゥエを拾いました。そんなん差しだされても困るわコノヤロー(意訳)と、とりあえずトゥエを『飼う』ことにします。かいがいしくお世話します。そんなある日、街に連れていったら逆に餌付けされました。

 ……概要が一部おかしいですね。でもほんとうなんです。読めばわかります。そして、キイナが異常なくらいかわいいです(ほめてます)そこかしこに笑いをちりばめたほっこりほのぼのファンタジー……ではおわりません。はい。

 トゥエはなぜ贄になったのか。
 少女のような魔女の正体は。

 自然。国。戦争。生。命。心。
 人間の愚かさ。浅ましさ。美しさ。

 それぞれが背負うもの。
 それぞれの覚悟。
 それぞれの答え。

 深い想いが胸をふるわせる。

 ふんにゃりかわいいファンタジーという包装紙でくるまれた、心と心、絆と愛情、そして生と命に真摯に向きあったどっしり骨太な物語です。

 ちなみに、ものすっごく緊迫した場面で、ものすっごくなごんでしまったりします。お宝見つけた気分です。素敵な物語に出会えました。ぜひ、読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

初めて拝読したとき、作者さまのプロフィールに戻って「プロの方……ではないの? 本当に?」と確かめてしまいました。それほど段違いの筆力です。
さらに読み進めれば、森を舞台にした童話のような美しさやほのぼの感と隣り合わせの、どす黒い思惑、戦争の残酷さ。そしてしっかりと描かれるキャラクターひとりひとりの深い背景……と、
「これが書店で売ってないのはおかしい!」
と訴えたくなるほどの重厚な感動ストーリーなのです。

ヒロインの「森の魔女」キイナちゃんは可愛くてたまらん上に芯の通った強さと優しさがあるし、彼女が拾った「贄」であるトゥエくんの、苦難にも濁らぬ誠実さと健気さ、その心に背負う荷物の重さときたらもう……涙せずにはいられません。あ。肝心なことを忘れるところでした。トゥエくん、ヤバイくらいに身も心も可愛いイケメンです。

主役二人を取り巻くキャラクターたちも、みんな魅力的! 「悪」の側まで色々考えさせられてしまう深さがあります。
「デート」のシーンの顔が緩んじゃうくらいの可愛さ、父と子、祈り、破壊、無垢な愛。
光も闇も隣り合わせ、愛のかたちもひとつじゃないと教えてくれる極上のファンタジー。
絶対読むべき作品だと強くお薦めいたします! 

★★★ Excellent!!!

森に住む「魔女」が、贄として差し出された少年を拾って「飼う」ところから始まる、幻想世界のヒューマンドラマです。

読み始めてすぐ、丁寧に綴られた情景描写に誘われ、美しい世界へと惹き込まれました。
キイナとトゥエの二人の関係性を中心に描きながら、国を襲う脅威や王家の中に渦巻く陰謀などがするりと織り込まれていきます。

登場人物もみんな魅力的です。
慈悲深く無邪気なキイナが非常に可愛らしく、初めは怯えてばかりだったトゥエが成長していく様は頼もしく、自然に二人のことを好きになっていました。
最推しは騎士のルイドです。飄々としたキャラがツボでした。

人は社会の中で生きる限り、何らかの肩書きや役割を持ちます。
それには良いものもあれば、悪いものもある。
そうしたものを全て取っ払って、ただの個と個として互いを求めるのなら、これほど確かな愛はありません。
深く傷付いた心を癒すのは、愛しかないのです。

失ったもの、得たもの、これから得るもの。
少し切なくて、どこかくすぐったい、温かな読後感でした。
素晴らしい物語でした。

★★★ Excellent!!!

ルイドですね。ルーさん。ルイドがいいですね。ルーさん。
え、脇役? ふざけんな、表に出ろ。
そんな感じで、私はルーさんイチオシです。レビューだけ見た人には何が何やらさっぱりでしょうが、ルーさんです。

物語としてはですね、小さな魔女がぷくーってなったりボッてなったりふにゃぁってなったりヤダヤダヤダって言ったりするようなアレですよ。えぇと、なんていうか、もっとミステリアスな感じを想像するじゃないですか、「魔女」って。

ところがですね、この魔女、太るんです。
あ、ネタバレ? いやいや、まだ大丈夫。たぶん。
この魔女、「かーわいーすごーいたーのしー」な感じの子なんですけど、太るんです。この時代、タピオカミルクティがなくてよかった。いや、あったのか? だとしたら致命的。そりゃぁ「蔦」も逃げる。

作品の魅力については、多くのレビューが既にあるので繰り返すのも野暮なんですけどね。なんといっても、一気読みしちゃう面白さってやつですよ。

ふにゃっとした雰囲気をまとわせつつ、剣のような背骨を持っている物語で、その背骨は文字通りに切れ味するどく物語に突き刺さってくるのです。ふにゃっとした「魔女」の雰囲気は、その背骨の剣とは一見水と油なのに、その緊迫感切迫感を殺すことなく物語の輪郭を描くのです。

物語のそれぞれの要素はドライすぎるくらいドライだし、ソフトすぎるくらいソフトなのに、何故か見事に融和している。はっ、まさかこれは、マヨネーズファンタジー!!!(※カロリー多め)

そんな真理に私は気付いたので、皆様に於かれましても、ゆで卵にマヨネーズをかけつつ美味しくいただいてみてください。

★★★ Excellent!!!

女性に養ってもらうことを「ヒモ」などと言って蔑んだ時代も今は昔。
現代では様々なライフスタイルと恋愛観があります。いいんでないでしょうか。

この物語の少年もまた魔女であるキイナに「拾われ」「飼われ」ます。聞こえは悪いですが、ここでの「拾う」ことや「飼う」ことは物や動物を扱うようにして人から尊厳を奪うことではありません。むしろ逆。

キイナはトゥエに彼が失いかけていたものを取り戻させます。

トゥエもまたキイナにかつて知らなかった何かを教えるでしょう。

読み進めていくうちにボーイミーツガールの先にある壮大な運命に驚嘆するはず。伸びやかな筆致は作中の動く蔦のようにあれよあれよという間に読者を運んでくれます。

森は豊穣なだけではないし、砂漠は不毛なだけではない。この物語が提示するヴィジョンは誰にとっても鮮烈だ。

まずはキイナ=あなたが森で少年を見つけるところからはじめてください。あなたが見てみぬふりをできぬお人好しだったなら、森もまたあなたを見つけ、物語の果てへと連れてってくれるはず。

★★★ Excellent!!!

私はあらすじを読まずに読み始めるので、最初はどんな話かよくわからず、ほんわか系かな? と思ったのです。

しかし何話か読み進めていくと、実によく練られた、心の痛みというものをしっかり描いた骨太な物語でした。

かわいい魔女と少年、そして彼らを囲む大人たちが繰り広げる魅力的な物語です。

★★★ Excellent!!!

16歳の男の子と、それより幼い魔女が、ほのぼのしたタッチのイラストで脳内再生されるファンタジーです。

主人公が優しいので、ほのぼのした印象ですが、世界観や設定がファンタジーとしてしっかり練られており、文体が詳細で分かりやすいなと思いました。
文章として真似っこしたい表現が満載です。

ファティとキイナのお話は泣きながら読んでいたので、ラストに救いがあって個人的にはよかったなと思ってます。

おもしろいお話でした。

★★★ Excellent!!!

これを読むあなたは、物語に何を期待して頁をめくるのだろう。
現実によって飢え果てた好奇心をあやすための刺激?
他を圧倒する英雄へ己を投影する、束の間の陶酔?
はたまた、必ず約束された幸福な結末への安堵感?

『だとするならその欲を、この物語はきっと、満足には埋めない』

こう私が断言するとすれば、あなたはこの物語に背を向けるだろうか?

飢えず、貧せず、今のあなたが生きているとして。
それでも何かが足りないと思ったことはないだろうか。
その欲は、刺激や陶酔や安堵感によって、一時満たされるのかもしれない。
でももし、この語りを聞いているあなたが、


『なにかを愛しむ、切ない心』に、飢え苦しんでいるのなら。


どうか、背を向けないで。
この物語を見つけてほしい。
この話の先で、苦悩と悲しみ、慈しみと応えあう想いの果てに、手を取り合って振り返ってくれる、愛おしい『彼ら』を見つけてほしい。
誰かを想い、優しさよりも儚く、強さよりも美しい心を見せてくれた、この物語の登場人物たちを知ってほしい。

あなたは『愛おしい』と。
貫くような想いに、飢えていますか。

ならばきっと、この物語はその飢えを満たすでしょう。
そしてそれはあなたの、忘れえない記憶になる。

★★★ Excellent!!!

ほのぼのとした筆致の、笑いあり涙ありのファンタジーです。

ぼろぼろの少年・トゥエは森の魔女への生贄となり、当の森の魔女・キイナに拾われ、「飼われる」ことになりますが……?

読み進めていくうちにトゥエの痛ましい過去や、キイナの生い立ちがわかっていきます。また、トゥエに絡んだ「この世界の危機」も大きな影をこの物語に落としていきます。
最後は「この世界大丈夫!?」「大丈夫なの!?」と思う中でページをめくりました。

その中でも、印象的なのが、誰かが誰かを思うこと、祈ること、です。
キイナとキイナの父がわりのファティに捧げられた祈り、トゥエに捧げられた人々の願い。


キイナとトゥエ、森の中の関係があまりに優しいが故に、外の残酷さが強く感じられ、その中で、他者に対する思い、祈りといった献身的な行為が光って見えます。

読み終わるのが非常に残念な物語です。

★★★ Excellent!!!

世界は砂嵐に飲み込まれていこうとしていた。
深淵の森で少女は贄とされた少年を拾い飼うことに……。

レビューのタイトルをどうするか、正直、今回が一番悩みました。
それは生き生きと描かれる登場人物たちを通して、この世界が砂嵐に飲み込まれてしまいそうである事実と、それを利用して大陸を得ようとする浅ましい人間への強いメッセージ性を感じてしまったからです。

贄として森の魔女に献上されたトゥエ。
彼を拾って養いながら、自らも人の子としての喜びを取り戻していくキイナ。
そして二人を途方もない広い心で包み込むファティ。

トゥエの頑なな心を少しずつ解きほぐしていくキイナが健気でたまりません。
そんな二人が心を許し合った頃、過去からの確執が彼らの運命を巻き取っていく。

すべては「人」の独りよがりな歪んだ愛情のために。

無償の優しさ、全てを包み込む愛情……。
それは何?

そんな問いかけがぴったりのファンタジーです。
完結されているので、一気読みをオススメします。

最後に。

「さぁ、祈りの時間です」

★★★ Excellent!!!

森の魔女が、生贄の少年を飼う。
これは、そんなタイトルずばりのお話であり……。

それ以上の話でもあるのですよ!

森の魔女キイナが、生贄として差し出されたトゥエという少年と出会うところから始まる二人の関係。
訳あって、世間をよく知らないキイナは、とりあえず弱ったこの少年を飼って、元気になったら森から出そう。そう思って、甲斐甲斐しく世話を焼きます。

そのキイナとトゥエの関係が!!

甘い!! とにかく、可愛い!!
町によくスイーツを食べに二人は出かけるのですが……。

もう、デートですやん!!
つきあい始めのふたりかよ、お前等っ!!
ういういしいわっ!

そんなふうに、によによしていたら……。

この作者様は、どーん、と突き放してくるわけですよ。
ふたりに忍び寄る影。思惑。穢れ。

はたして、二人が選んだ未来とは……。

甘い世界と、過酷な現実。
それが交互にやってきて、心が揺さぶられることこの上ない。

また、この作者様。
父親と娘の描き方が秀逸。
ファティとキイナの関係性がもう……。大好き!!

カクヨムコン参加作品。
十万字ちょっとで完結した物語です。
これは、お得ですよ!