採血で倒れる

 先週11日は会社に行き、健康診断と運転の適性検査を受けてきた。


 これらは運送業に関わる者には義務づけられている検査で、健康診断は年に2回、適性検査は年に1回行われる。


 当日私の仕事は休み。この検査のためだけに会社に出勤した。数時間とはいえ、会社のために自分の時間を束縛されるのはちょっと気に入らない感じもあったので、かつては「日給を払ってもらえるんですか?」なんて噛みついた事もあったのだが、今はもうどうでもいい、半ば諦めかけて、形態はどうであれ、雇ってもらい、働かせてもらえることに感謝して、文句も言わずに検査を受けている。


 健康診断は、よくある感じのバスが会社に来てくれるので、会社で全てを終えることができる。ただ、私にとって最大の難関である採血があるので、これがくせ者だ。


 採血をはじめるようになった高校生の頃、自分は採血をすると気分が悪くなり、倒れてしまう体質だということがわかった。これが厄介なのだ。わかってからは申告して、横になってやってもらうようになり大丈夫になったのだが、採血をする会場で一人申告をし、ベッドを用意してもらうやらその辺にマットを敷いてもらうやら、その段取りをさせてしまうのが申し訳ないなといつも思うのである。


 いつもは殆ど病気をしない、一応は元気そうに見える私が、横になって採血してもらっている姿は、あまり喜ばしいものではない。できれば普通の体制でやりたいのはやまやまなのであるが、忘れた頃に油断して普通の感じでやると、大抵気持ち悪くなってしまうのだ。


 屋久島にいたときも、お医者さんで気分が悪くなってしまい迷惑をかけたし、会社に入ってからの健康診断でも、とたんに貧血になり、顔色が悪くなり、採血を担当してくれた看護師さんがパニックになり、ドクターが大きな声を出し、というようなことになったこともあったので、もう私はこればかりはあきらめて、申告して、横になってやるようにしている。



 適性検査というのは、損保会社が所有し、運営している専用のハイエースが、これまた会社まで来てくれて、そこで受ければいいようになっている。会社の担当のおばちゃんが、「適性検査、受けて下さいね」「適性検査、受けましたか?」と、さんざんうるさいので、これもまたはじめのころは「日当もらえないのはやりませんよ」などと言いかけそうになっていたのだが、もう9年もお世話になっているので、そんな尖ったことを言う元気もなくなり、今は損保会社の担当の方と世間話などをしながら、きちんと真面目に文句も言わずに受けるようにしている。


 担当してくれた、年の頃は同じくらいの損保会社の方も本来は夏休みだろうに、「休みですよね、大変ですね。代休はもらえるんですか?」などと話しかけたらいろいろと話をしてくれて、やっぱり中堅どころの損保会社でさえも、ブラック気味の感じが否めない状況はあり、なかなか大変なんですよ、一応代休はもらえますけどね、と、教えてくれた。先日会って話をしてきた同級生の損保会社に勤めている友人もいろいろと苦労しているようだったので、やっぱり大企業と言えども、給料が高くても大変なんだなと、こんなところでも思った。



 この間中も、会社の社員の人たちはトラックを運転するでもないのに、夜が明ける前の朝早くから出社し、トラックの片付け、洗車、並べ替え、構内の整理、片付けなどをしている。私はこの作業だけは、日当が出せないのか、もったいないから渋っているのかよくわからないけれど、バイトなので免除されている。


 カミサンは私の休みを予想して、この週末の土日を休みにしてくれたのだが、もしかすると私は土曜日仕事になってしまうかもしれない。これも、ちょっと特殊な仕事なので、会社の中で私だけがお盆休みだろうが出勤して仕事をするという感じになる。


 かつて、サラリーマンだった頃のお盆休みは一週間も10日も休みで、給料も一か月分もらえていたのだが、今はもう、そんなことはない。みんなが休んでいる時も仕事をしたり、お給料は出勤した分だけであるけれど、今はこれで満足しているので、これでいいとしよう。


 もしかして明日休みだったら、カミサンとどこかへ行ってみようかな。





 

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