トランペット
あれをやろう、これをやろうと思ってはいるものの、実際にはなかなかできないことが多い。一時的にできても、続かない事も多い。
仕事なら仕方なくやるのだろうけれど、自分の趣味とか、ちょっと儲けたいというような副業とか、人間気合いが入っていないと、なかなか続かない。
そんな中、そこそこ続いているものがある。
トランペットの練習である。
楽器が好きな私にとって、トランペットはいつか挑戦してみたい楽器の一つだった。
いつかも書いたかもしれないが、屋久島に行く前にも、行きつけの楽器屋さんで一つトランペットを買い、持って行って練習していたのだが、なかなか音が出るまでにはならかった。楽器もどこかへ行ってしまった。おそらく、屋久島のコンテナの倉庫の中あたりにあるだろう。
少し前、懲りずにもう一つ、メルカリで中古のトランペットを買った。これには訳があった。
運転手の仕事で疲れて帰ってきて、パソコンに向かっていると、どうしても眠くなってしまう。パソコンにさえ向かえない日もある。
身体が一時的に休息を求めてしまうような感じだったので、この状態の時にトランペットを練習して、半ば強制的に刺激を与えることで身体と頭と脳みそを活性化させ、その後にパソコンをやればいいのではないかと思った。
幸いにも我が家の周囲は倉庫だったり畑だったりと、それほど騒音を気にする事もない環境にあったので、これもまたよかった。
思い通り、トランペットを練習すると脳が活性化され、眠気が覚めて調子が良くなった。
トランペット自体はそんなにうまくなりたいという願望も強くはなかったので、適当に続けていた。さすがに音を出すのが難しい楽器と言われることもあって、毎日30分位、少しずつ、何ヶ月も練習しても、本当に綺麗な音で演奏するには程遠いレベルにしかならなかった。音自体も出なかった。
しかし楽器というのは不思議なもので、ある時突然にうまくなる時が訪れる。ギターや鍵盤楽器でも同じだ。しかし、大抵の場合は、ここに来るまでに挫折する場合が多い。
今回も、ここ数日、何だか音が出るようになったなと思っていたら、ちょっとしたコツが掴めたようで、そこそこできるようになっていた。ほんの僅かではあるけれど、これこそが毎日毎日やってこそ得られるという快感なのである。
ここ数ヶ月、うだうだと過ごし続けていた私にとって、毎日生産性は特にないYouTubeばかりを見てしまう私にとって、この事は少しだけ自信となった。毎日続けることが大事なのだなと。
高校生の頃、一年間だけ所属していた吹奏楽部では、いい音楽を聴きなさい、ひたすらに聞きなさい、などと先輩が言っていて、何がいい音楽なんだか、どこでそのいい音楽を探して手に入れればいいのかもわからなかったのだが、今はこの点においては素晴らしいメディアYouTubeがある。
私が産まれる前に、遥か彼方のアメリカで演奏されていた、ルイ・アームストロングが演奏するジャズトランペットのビデオを、いつでも繰り返し、簡単に見ることができるようになった。貸しレコード屋に行ったり、カセットテープを買ったり、はたまた誰かのテープを借りてダビングしたり、などという手間も必要なく、いつでもどこでも好きな時間に、好きな音楽を聴くことができるようになったことにも感謝せねばならない。
ただ、人間は不思議なもので、便利になったらなったでそれが当たり前になってしまうので、始末が悪い。このような便利な世の中に常に感謝しつつ、これからもがんばって、トランペットの練習を続けて行きたいと思う。いつの日か、YouTubeで自分のチャンネルを作り、演奏を披露できる日を夢見たりもするのだが、こんなのは全くアクセスも望めないし他の人は面白くもないだろうから、何十年か先、同窓会のカラオケ大会ででも披露できるように、頑張ってみようと思う。
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