水筒
水筒が増えてしまった。
これまたケチの節約根性で、仕事中は外で飲み物を買う事に抵抗がある。
運転手になってからは毎日飲むだけの分を水筒に詰めて、持っていく事にしている。
少し前まではカミサンに作ってもらっていたが、夜に作ってもらうと昼間は既に冷めてしまっているので、水筒だけは私が作るようになった。
標準は、弁当用の熱いお茶を一本と、これまた熱いインスタント珈琲を一本、それに最近では薬を飲む用の極小の水道水一本が加わり、合計三本である。
夏の間は、30度を超えるようになると、グリーンDA.KA.RAなどの水分が更に増える。かつては大きな水筒に氷入りの麦茶を作ってもらっていたが、これは作るのが面倒だと言われてしまったので、今はやめている。次にカミサンがスーパーで買ってきてくれたペットボトルを凍らせて持って行っていたが、グリーンDA.KA.RAの場合、甘い成分だけが先に溶けてしまい、最後の方になると水でもない、DA.KA.RAでもない、中途半端な飲み物になってしまうので、これも辞めることにした。
考えた挙げ句、収納をひっくり返したら出てきた中小の水筒二本に、冷蔵庫から出したグリーンDA.KA.RAを詰めて持って行くことにした。プラスして、中くらいのプラスチック製水筒に、水道水を半分くらい入れて予備とし、これもラインナップに加えた。
この強烈な私のエゴが、カミサンにかなりのストレスを与えてしまった。小さな水のものまで入れれば総勢六本もの水筒を、毎日洗わせてしまうことになった。家事終了後、置き場に並んだ水筒の列を見て、さすがの私もこりゃまずいかな、と思った。
一昨日。
「何で洗ってくれているの?」
仕事から帰ると、私はすぐに水筒を洗い始めた。
「いや、洗うの大変だと思ってね」
「悪いわね」
これでとりあえずは大丈夫だろうと思った。
昨日はとても暑く、へろへろになって家に帰ってきた。朝の作業でツナギがびしょびしょになり、パンツとシャツまでグチャグチャになったので取り換えて、これらを自分で予備洗いしたのち、洗濯機にかけた。タイヤ交換の現場のピットに転がった際、つなぎには小さな砂粒がついてしまったし、グリスのようなものもついてしまったようなので、この洗い物をカミサンに任せる訳にはいかないと思った。
洗濯用の物干しにツナギを吊るし、散水用のホースで水をかけ、つなぎについてしまった砂を落とした。グリスもへばりついていたので、ペーパータオルを持ってきて拭き取った。下着のシャツにも汚れが浸透してしまっていたので、何度ももみ洗いをして、汚れを薄くした。ここまでやっておけば、カミサンが大事にしている洗濯機に入れても大丈夫だろう。
このような準備をしたのち、手で絞って、洗濯機にかけた。普段のジェルボールではなく、私のちょっとした洗濯用の液体洗剤を入れた。
台所ではカミサンが洗い物をしていた。
「洗っておいたよ」
お互い、阿吽の呼吸で察し合っているという表現が適切かどうかはわからないが、今日はカミサンが水筒を洗ってくれた。
私も根を詰めるとケンカの時に大爆発する恐れがあるので、これからもできる範囲で家事を手伝っていこうと思う。
夫婦円満の秘訣である。
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