おもちゃ屋さん
今度東京へ行くとき、皆で集まる予定のお店をチェックしてみた。
街道に面した所にある、バス停近くの小さな居酒屋だった。
料理はオーナーが丹精込めて手作りしているようで、魚介類を中心に美味しそうなメニューが揃っている。
飲み物にもこだわりがあり、様々な種類と銘柄があるようだ。魚介料理と合う日本酒には力を入れているようで、父が元気だったら喜びそうな、ちょっとだけ高級な飲み屋さんといった感じ。
私には、外を飲み歩いてストレスを発散したいとか、美味しい物を求めて外食したいという欲望がない。私の中では、このような趣味は一番お金がかかってしまうものであり、贅沢であり、ここにお金を費やすことには、未だに罪悪感を感じてしまう。
このお店も「お一人のご予算3500円~」というように書いてあったが、どうも勿体ないという気がしてならない。しかし今回は久しぶりなので、この感情を殺して、楽しんでこようと思っている。
お酒が好きな人が集まるお店なら、我が宮城県の美味しいお酒を持っていってあげようかな、なんて気持ちにもなる。人が喜ぶ顔を見るのは、お互いに気持ちのいいものだから。
お店も楽しみなのだけれど、このお店の隣にある、昔ながらのおもちゃ屋さんがいい味を出していて、こちらが私にとってはたまらなく魅力的なのであった。
これまた小さなお店の中に、30-40年ほど前のお店のデッドストック商品がずらりと並んでいる。ガンプラ、トミカ、TAMIYAのプラモデル、ファミコン、そしてリカちゃん人形…などなど。
よくあるユーズドのお店ではない。かつて営業しており、しばらく休業していたお店がまた始まったみたいな感じなので、全てデッドストックの新品なのだ。店番はおばあちゃんかお母さんか孫がしており、今の時代に強い孫がツイッターやメルカリなどを使って情報発信し、最近になって販売を再開したのだという。
このようなおもちゃを見てしまうと、私は見境いなく、あれもこれもを欲しくなってしまう。海外へ転売したいという気持ちもあるが、それ以上にコレクションとして自分の物にしたいという欲望が湧いてしまうのである。
このようなおもちゃ屋さんは、かつてどこの町にもあった。かつて住んでいた下高井戸にも(あらよ)、玉電を一駅乗った松原にも(ももや)、おもちゃを売っているお店があった。
大きなジャンボジェットのプラモデルは何歳の誕生日になっても買ってもらうことができなくて悔しかったし、ラジコンカーはお年玉を集めても買うことができず、結局は右にしか曲がることのできない代物しか手に入れることができなかったが、これでも最大級に嬉しかったのだ。
今の子供達は、何かときめく物があるのだろうか。ゲームなのか、カードなのか、スマホなのかよくわからないが、少なくとも私達の時代は貧乏だったけれど、心を動かされる不思議なものやおもちゃがいろいろとあったように思う。
おもちゃ屋さんが気になったので、グループのラインに独り言の如く、隣のおもちゃ屋さん、まだやっているのかな?などと書き込みをしてみたところ、現地在住の女子が今朝、早速散歩がてらに写真を撮影し、LINEに投稿してくれた。
嬉しいのではあるけれど、何だか時代の進行が早くなりすぎて、距離を感じることができなくなっているようで、未だに私は戸惑いを隠せない。
さてさて、お店に行くとき、こちらのお酒を買って行ってあげようかな。そうなると、オヤジにも買っていけなければならないよな。面倒臭いし、金もないからいいかな。
とにかく、今回の事で頭が刺激されていることは確かなので、このような、人間として有意義な事をこれからも続けて行きたいと思っている。
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