集まり

 私が久しぶりに東京へ行くということで、同級生の小さなグループの有志が、早速飲み会を企画してくれた。


 男女合わせて10名程度のグループだが、男性のメイン一人は札幌出張で欠席、女子も三人ほどが欠席で、六人のグループになるようだ。


 場所は、かつて通った、京王線仙川駅近く、某都立高校のほぼ隣に位置する隠れ家的なお店。まだ地元に住んでいる女子が見つけてくれ、グループのラインに食べログのリンクが貼られた。


 地図を見てみると、かつて通った景色が思い出されて懐かしい。でも、角にあった教科書を買った文房具店はコンビニになり、お店もいろいろと変わっている。それはそうだ、既に卒業から38年も経過しているのだから。


 そのお店は、音楽で有名な某学校のすぐそばで、この学校の文字面を見てもまた、懐かしさが込み上げてきた。


 高校一年生の時、吹奏楽部に入ってバリトンサックスという楽器を担当していたのだが、この楽器は高価なので自分達の高校では所有することができず、ここの学校から借りて私が吹いていた。


 一年生での担当が終了し、いよいよ次の二年生になるという時に、お前は指揮者をやれ、と言われて楽器を離れ、言われるがままに指揮者をやっていた。しかし、部活の運営をする上でのごたごたに嫌気が差してしまい、少し名残惜しさもあったものの部活は辞めてしまった。


 しかし、ここの学校の音楽部の人からは、あそこの都立高校の吹奏楽部の指揮者という目で見てもらっていて、そこの学校で音楽鑑賞後に生徒に書いてもらうアンケートの草稿などを頼まれ、今では信じられないが、これを書いたりしていたのだった。これがただの高校ならそんな思いにもならないのだが、かなり全国的にも音楽で有名な学校なので、こんな事を私がやってもよかったのかと、今でも思っている感じなのだ。


 多感期だった高校生の三年間は、かなり重要な時代だった。今の高校生達はコロナがあったりでとても大変だと思うけれど、何とか知恵を出して頑張ってほしいものである。

 

 通っていた都立高校は、数年前に建て替え工事が完了し、昔の面影はなくなっている。グループでは最後の見学会に行っていたようだが、私は行くことができなかった。


 遠く離れた所で暮らしているので、ちょっとのハンデはあったものの、もうこの歳になってしまえば同じだ。


 まだ何とか、自分で車を運転して行くことができるし、実家もかろうじて存在しているので、これを機会にかつての想い出を楽しんでこようと思う。


 でも、ここ数日東京は電力が逼迫しているようで心配だ。計画停電などにならないことを、今から祈るばかりである。


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