蔵王チーズ

 この前の土曜日、カミサンと一緒に蔵王のバラ園に行ってきた。


 ここは昨年も訪れた所で、日本有数、沢山の種類のバラが植えられており、この時期とても綺麗な姿を見せてくれる。


 今回、もちろんバラが楽しみではあったのだけれど、もう一つ楽しみなことがあった。それが、この前手に入れたデジタル一眼レフミラーレスのカメラと、数十年前に作られて今もまだその価値を落としていない、単焦点のアトムレンズによる、写真の撮影である。


 とりあえず適当に知識を入れて、三脚にカメラを据え付けて持って行った。


 いつのころからか、人々は手に持った自分のスマートフォンで、気軽に写真撮影を楽しむようになった。場内にいる半分以上の人が、バラにスマホを向け、写真を撮影しているように見えた。


 昨今のスマホの性能は目を見張るものがある。特にカメラは、某メーカーなどはカメラ業界からの撤退を余儀なくされてしまったほど性能が上がり、身近な物となった。


 それこそ何の設定をすることもなく、ただ被写体とアングルを決めてシャッターボタンを押せば、とても綺麗な写真を撮ることができる。これはもちろん素晴らしい。


 去年は私もスマホとデジカメで撮影したのだが、やっぱり何か物足りなさを感じていた。誰でも撮れる物を撮っているということに、自分の本能ではないけれど、違和感を感じていた。私は人とは違うことをやりたいという思いがいつもどこかにある。


 ということで、今回少し手の入った写真を撮ってみようということで、この機材を持ち込むことになった。


 カメラはマニュアルモードでの撮影だ。被写体とアングルを決め、どの位ボケさせるかの露出を決め、シャッタースピードを決め、ピントを合わせて撮影する。単焦点のレンズなので、ズーム機能はない。花を接写するだけなので、ズームは必要ない。


 最後のピントを合わせる所が難関で、カメラのアシスト機能を使いながら合わせていくのだが、花を接写する場合は三脚が必須で、手で持っていたのでは上手くできない。


 ここのバラ園は歴史があり、場内に数百ものバラが植えられている。その中からどれを撮影するかが、これまた難関だったのだけれど、ここはカミサンに登場願って、彼女がかわいいと言ったバラを、撮影することにした。


 どのような感じで、どのような角度から切り取るか、というアングルの設定は、これはもう自分の感覚でやるしかない。感性にまかせてやってみた。


 このミラーレスの一眼レフカメラは、中古で安く買った物だったが、充分に使うことができた。レンズも同様だ。


 全てが決まり、シャッターを切り、独特の音がして写真の撮影が完了した時、とてもいい気持ちになる。被写体が花だからかもしれないが、とてもさわやかな気持ちになれる。


 一枚撮るのに時間がかかるのと、カミサンのペースにも合わせながらというのもあり、十数枚しか撮影できなかったが、とても満足することができた。


 家に帰ってパソコンで見てみると、それなりに撮影できていて嬉しくなった。望んでいた背景のボケの感じは予想以上のもので、この感じはスマホでは出せない、見ただけで、ちょっと高めのカメラで撮影した物だとわかる写真を撮影することができた。


 中にあったお土産販売店の中に、写真のコンテストを開催しているとの知らせがあったので、今回試しにこれに応募してみることにした。


 特賞は一人で、蔵王チーズの詰め合わせ3万円分、佳作が五人で、蔵王チーズの詰め合わせ1万円分、だそうである。


 蔵王チーズは有名で、品物もとてもいいのだが、やはり観光地お土産価格で販売されていたので、手を出すことができなかった。


 今回、万が一でも、佳作にでも入選する事ができれば嬉しいなと思った。


 作品には一言を添える事ができると書いてあったので、ちょっとここで「ずる」をしてみた。さすがにそう甘い物ではないだろうけれど、頭のどこかで、もしかすると、というような淡い期待を抱いている。


 とにかく楽しみがあることは、いいことである。


 これからも、写真の撮影をしていこうと思う。


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