日本の悪いところ

 日本は素晴らしい国だと世界から言われている。


 確かに基本的には真面目な国民なので、間違いはないと思う。


 一方で、真面目が悪い方向へ発展して、あまりよくない状況になってしまっている事案もある。


 私は海外へ日本の文化を象徴するような商品を販売している。海外と取引をすると、いろいろと違和感を感じることがある。


 最近よく聞くようになったeBayという世界最大級のオークションサイトでは、送料の他に、ハンドリングチャージと言って、取り扱い手数料を計上する事が当たり前になっている。日本人から見るなら、許されている。


 一方で、Yahoo!や楽天をはじめとする日本のプラットフォームでは、かかる送料意外に手数料を計上することは認められていない。


 商品を管理するのにも費用はかかるし、送料として運送会社に支払うお金以外にも、段ボールやガムテープ、パッキングの資材などの費用は必要だ。商品と箱があれば商品が発送できるかといえばそうではなく、人の力があってこそ、商品は発送となる。海外ではこの一連の作業に対し、費用を計上することが認められている。私は実際にかかる送料に加え、10ドルを上乗せして販売しているが、何ら問題はないし、世界のマーケットではこれが当たり前なのである。


 送料を払えば、商品は来るものだという感覚が普通であろう。世界に名だたる巨大企業Amazonの台頭によって送料無料が当たり前になってしまい、メルカリでは出品者が送料を負担する仕組みが当然となってしまい、私達は送料プラスハンドリングチャージを支払うなどもってのほかだという感覚を植え付けられてしまった。どこまでもサービスを受ける側が優遇されてしまうという状況が作り出されてしまった。


 同じ事が運送業界の運賃でも起こり、問題になっている。燃料はかつてない程の高騰を見せている。それに加え、タイヤもオイルも何もかもが値上げとなっている。サービスを受ける側、荷主側は、今までの運賃が当たり前という認識が消えず、運送会社は運賃の値上げができないと嘆いている。


 世界のマーケットでは、燃油サーチャージという仕組みがあり、サービスを利用する私達荷主は否応なしにチャージの支払いを強いられる。先日も書いたが、例えばDHLの燃料サーチャージは2022年6月、34%となった。10000円の送料に対して、支払いは13400円となる。世界ではこれが当然なのだが、日本はどうだろう。


 今朝のニュースで、フィリピン政府がバナナの価格を値上げして欲しいと言っている話題が放送された。スーパーは客寄せでバナナを販売しており、これが値上がりになってしまうと困ると言っている。バナナを作るにも肥料は必要だし、冷蔵保存するための燃料等様々な物が値上がりしていて、このままではバナナ農家が廃業してしまう危機に陥りかねない状況となっている。日本の消費者は、このような現実を理解する事ができず、「値上げになったら困る」と、自分の事ばかりを考えている。


 100円ショップでは様々な商品が100円という低価格で販売されている。この裏には、発展途上国の低賃金労働がある。私達は商品を低価格で購入できるという恩恵を受けているが、裏を返せば、これに苦しんでいる人がいる。


 ティッシュやトイレットペーパーやペーパータオルにしてもそうだ。私達はこれらの製品が当たり前に存在していて、使うのも当然だと思っている。しかし裏を返すなら、これらの紙製品は発展途上国の木を伐採したチップで作られている。彼らは貧しく、これが生活の糧となってしまっているので仕方なく伐採しているのだとは思うが、この先の事を考えるなら、決していい状況ではない。


 日本人は、相手の事を考え、思いやる気持ちを人一倍持っている民族だと思う。人に対してこれができるのだから、各種製品やサービスにおいても、同様に向き合って欲しいと思っている。


 これこそがこれから先、日本が世界の中で生き残るための、基本的な考え方ではないかと思う。


 値上げは仕方ないのである。そうなったらどうしなければいけないのかを、一人一人が考えて、実際に行動しなければいけないだろう。



 

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