海
海が見える。
東日本大震災後、私達の住む地域のほぼ全ての海岸線には、防潮堤が建築された。甚大な被害があったし、国を挙げての対策であるから有り難いのではあるけれど、海が見えなくなってしまった事により、寂しくなってしまった感は否めない。
今私が仕事で待機している場所は、かろうじて防潮堤が建築されていない海のそばで、ここには東北一いい波が立つと評判の砂浜が広がっている。
仕事中や待機中、時々この海を見ている。
真冬の海の中はとても寒いだろうに、どの時間でも何人かがサーフィンをしている。
海の下の形状がいいのだろう。素人目に見ても、とても綺麗な波が立っており、それを見ながら日頃の疲れを癒している最近である。
「どうして屋久島に来たのですか?」
屋久島に住んでいた頃、事あるごとによく聞かれた。
「海と山と自然が好きで、水が美味しいし、島だからです」
というような答えを返していた私。
ここ最近では自然を楽しむ時間的、経済的、精神的余裕もなく、ありたきりの毎日を過ごしていたが、こうして一日に僅かな時間でも海を見ることができると、心が落ち着く。
仕事は大変だけど、朝日に照らされてキラキラ輝く水面と、綺麗にブレイクしている波を見ていると、日々の疲れも癒され、今日もがんばろうという気持ちになる。
ほんの僅かな期間ではあったけれど、海を仕事場とする漁師をしていた。この海も屋久島と繋がっているのだと思うと、当時のことなどが思い出されて感慨深い。
いろいろと大変だけど、今日も、これからも、がんばって行こう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます