あんぱん

 健康診断が近づいてきた。


 健康だとは思うのだが、数値が悪いといろいろ面倒なので、健康診断前はそれなりに気を遣うようになった。


 体重や体脂肪なども問題ないとは思うのだが、一応、数値を良くする、悪くしないために、カミサンにお菓子を買ってくるのをやめて下さいな、と、お願いした。


 カミサンが病気をしてから、食事内容は健康を考えたものを食べるようにしている。野菜を中心に、塩分は控えめに、全ては薄味で、などなど。


 しかし、食後に、カミサンがスーパーで買ってくる菓子パンやお菓子などを食べてしまう事があり、自分ではこれが数値を悪くすると思っている。


「だんごが目に入ったけど、我慢したよ」

「パンが安かったけど、買わなかったよ」

「ピカチュウのグミがあったけど…」


 カミサンはいつもの置き場にこれらのお菓子を置いておくと私が食べてしまうので、それを申し訳ないと思い、結局自分もお菓子を我慢することになってしまう。


 お菓子を辞めるまでに何日かかかったが、ここ数日は守ってくれているようで、間食をしないで済んでいる。このまま行けば、健康診断の結果も良好だろう。


 毎日弁当と一緒に持って行く水筒の飲み物は、かつてはカミサンが作ってくれていたが、病気をしてからは私が出勤前に作るようになった。


 コーヒーに入れる三温糖がなくなったので、しまってあるトースターの下の収納から出して補充をしようと扉を開けた。


 すると…


 カミサンの好物である、セブンプレミアムの「あんぱん」を発見した。三つ入っている内の一つを食べたようで、セブンプレミアムの袋には二つのあんぱんが入っていた。


 いつもの場所に置いておくと私が食べてしまうので、ここに隠して、ひっそりと食べていたのか。考えると可愛いやら、申し訳ないやらである。


 さあ、見つけたことを言うべきか、言わぬべきか。


 砂糖の残量を見れば結局はわかってしまうと思うのだが、とりあえず黙っておくことにしようか。


 お菓子禁止令、申し訳ない。



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る