たんぱく質

 バイトだけれど、会社では社会保険に加入させてもらっている。そのおかげで毎年健康診断がある。


 年に1回、2月に健康診断があり、お決まりの項目が診断される。


 今までは数値が悪かろうが何も言われなかったのだが、ここ最近、何だか厳しくなって来ている。今年、かなり悪い人は、医者に行って診断してもらって来なさいと指示が出た。泊まりがメインの運送会社の勤務などめちゃくちゃで、健康であるのがおかしい、というのが現実だ。おそらく、誰一人、診断書など提出していないと思う。


 もう一段階下の人は、外部組織の方と面談し、健康指導、健康アドバイスを受けることになったようで、私は血圧だかBMIだかの数値がこれに該当してしまった。


 一ヶ月ほど前にアポイントの方から電話があり、先週の土曜日がその面談日だった。面談の方法として、直接の面談、パソコンやスマホを使った、リモートの面談から選ぶことができたので、私も時節の波に乗ってみようと、自宅のパソコンから面談しますと伝えておいた。


 予定時刻の10秒後位に、管理栄養士の方から電話があり、その会社のホームページ経由でのリモート指導がはじまった。私の後ろには、商品と称して、骨董品が入った段ボールなどが山積みになっているので、あらかじめ毛布とタオルケットで隠しておいた。


 しがない運転手には縁がないと思っていたリモートワークなるものを、こんな所ではじめて体験した。かつての仕事でスカイプを使ったことはあるが、画像と音声が出てくるものは初めてだ。


 管理栄養士の方はとても真面目な方で、これはきちんとやらねばならないと思い、聞かれることに答えて行く。でも、私の場合は、先方からすればかなりやりやすいと思った。


 7月の末にカミサンが入院してしまったので、心労とストレスだか何だか、体重が7-8キロ減っている。元々野菜が多かったが、カミサンが極端に血圧を気にするようになっているので、拍車をかけて野菜ばかりを食べている。


 仕事をすれば、トラックからの乗り降りでそこそこ身体は動いている。


 カミサンが血圧を毎日計っているので、私も計っている。データでは150とかになっているけれど、私は採血やあの雰囲気がダメで、採血などしようものなら、床に倒れ込んでしまうという特別の体質を持っている。採血は、いつも床に寝て行うということもあるので、当然このストレスから、血圧は通常よりも上がっている。家で計れば、上110、下68、脈拍63位の健康体だ。


「んー、今の状態を維持してもらえればいいですね」


 栄養士さんは、こう言ってくれた。しかしさすがプロ、私の食生活の穴を見事に見つけ出し、指導が入った。


「タンパク質が少ないようなので、一日に何か一品、食べるようにすることはできますか?」


 私は大型車に乗るときは、どうしても神経質になってしまう。途中でうんちをしたくなったら大変なので、仕事の日は、3時間くらい前に起きて、うんこを出すようにしている。


 肉を食べた翌日は、たいてい腹の調子が悪くなるので、肉は極力食べないようにしていた。


 栄養士さん曰く、肉でも魚でも、卵でもいいので、一日一回どこかにプラスしてみて下さい、との事だった。


 カミサンは卵にアレルギーを持っており、これを毎日食べ続けることは気がひける。魚は高いし、缶詰でもいいようだが、ゴミが出るし、毎日の汁の処理も面倒だ。


 考えた挙げ句、昼の弁当に魚肉ソーセージをプラスする事にした。スーパーで見てみると、魚肉ソーセージはカルシウムも摂れ、価格も安く、持ち運びも便利で、私向きだということで、採用となった。


 今日で四日目だけれど、お昼に一品追加されたことで、お昼の時間が楽しくなった。これから死ぬまで、魚肉ソーセージを食べ続けて行こうと思う。


  

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