第203話 アップルπ

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 


絶叫とともに二匹の龍に咥えられながら物凄いスピードでスクリュー回転しながら吹き飛んでいす。次々真下のアルプスの山々を突き進み。黒光りした竜の腕と脚を咥えている二匹の風の龍がふっと消える。途端。目の前にそびえたつ雪化粧がかかった山の山頂に激突する。


ドッオオオおおおおおおおおおおッーーーーーーーーーーーー!。


ドドドドォーーーーーッッ!!!。


雪煙が上がり。黒光りした竜の身体は山頂に積もった雪にめり込むように嵌まる。

武羅鬼竜の黒光りした鱗に覆われた筋肉も今は色褪せ輝きを失っている。


『うう。ベローゼ。生きているか·····?。』


武羅鬼竜、我怒羅は声をかける。

雪肌に深くめり込んでも竜(ドラゴン)は大丈夫だが。人間であるベローゼにかなり堪える筈である

ベローゼは運良く衝突する胴体から離れた箇所に密着していたので無事であった。

ただ連なるアルプス山脈を風のとともに龍に運ばれ物凄いスピードで吹き飛ばされていたので。肉体は息絶え絶えに疲労困憊している。


「ああ、何とか無事だ····。我怒羅、そっちはどうだ?。」

『俺も一応無事だが。身体はもう動かん。悪いがもう暫く翔べそうにない。』

「そっか。私も身体の節々が風圧のせいで痛くてなあ。ハハッ。こりゃあ、しばらくむち打ち症だわ。」


ベローゼは力の抜けた笑いが込み上がる。

周囲は雪化粧のかかった絶景の山脈がならんでいる


「敗けたな·····。我怒羅····。」


ベローゼはあぐらをかくように我怒羅の背上で大股開きで横になり真っ青な空を見上げる。

雲一つない晴天である。


『ああ、完璧なまでの完全敗北だ。でもまあ逆に清々しいがな。いつぶりか。こんな完膚無きまでにやられたのわ。』

「そうだな。悔しいと言うよりはここまでくると逆にすっきりした気分になる。我怒羅も悪い気分じゃないんだろう?。」

『ああ·····。ここまで全力出しきって敗けたのだから文句はない。しかしあのノーマル種····。」


我怒羅はさっきぶっ飛ばしたノーマル種のことを考える。


「本当に俺達よりも非常識だったな····。』


我怒羅の浅黒い竜口が皮肉交じりに緩む。


「やっぱあの龍はあのノーマル種の仕業なのか?。」


黄緑の羽毛を纏う風の龍のせいでこんな遠くの山脈付近までふっ飛ばされ運ばれてしまったのだ。もうコースに戻っても意味はない。突然現れた風の龍はやっぱりあのノーマル種が操っているのかと戦闘経験豊富なベローゼは戦闘の流れで何となく察る。


『ああ·····、十中八九そうだろう。それに一瞬奴の掌から灰銀の光の粒子が見えたぞ。』

「灰銀の光の粒子?。まさか!?銀氷の精霊?。」


我怒羅はコクりとゆっくり頷く。


「あり得ないな···。銀氷の精霊は白銀竜や銀晶竜、神足る竜しか扱えぬ代物だぞ?。」

『だが現に俺は奴の銀氷の精霊により力を無力化させられた。』


体内に循環していた気がすっぽりと抜けきってしまっている。銀氷の精霊はあらゆる元素、魔力を無に返す。それは生命エネルギーの根源である気も例外ではない。


「本当にふざけたノーマル種だよ。」

『まったくだな·····。』


一人と一匹は敗北しながらも楽しそうに語らう。

バサッ バサッ


「ベローゼ先輩!。」


六騎特待生後輩二人が二匹の聖竜族に乗って山脈上空を進んで現れる。


「おお、お前達も無事か。」


六騎特待生後輩とその騎竜は山頂のつもった雪の地面すれすれまで降下し停止する。


「はい、自分達もかなり遠くに飛ばされ運ばれましたけど。落ちた場所がベローゼ先輩近くの山脈で良かったですよ。申し訳ありません!。ベローゼ先輩のお役に立てなくて。」


一年後輩のミャルナは申し訳なさそうに頭を下げ謝罪する。


「いい、あんな規格外のノーマル種がいたのだから敗北しても仕方ない。」


ベローゼは苦笑しながらも後輩二人を労う。


「あのノーマル種。今度あったら必ず絶対にぶちめします!。」


ミャルナはノーマル種に対して闘志の炎を宿した瞳をめらめらと燃やしていた。

相当二度もノーマル種にしてやられたことに根に持っているようである。


「メレンも問題ないな。一応お前は神足る竜の巫女としても重鎮で重要な位置付けだからな。もし何かあったら大学だけでなく教会からも色々言われるからな。」


彼女の地位は教会内でも高位で高い。もし何かあればバザルニス神竜大学と神竜聖導教会の国際問題に発展しかねない。甘やかすつもりもないが。権力を持つ組織はそれほど色々面倒なのである。



「はい、問題ありません。結果は解っておりましたから。」

「結果か····。」


メレンは未来を見通す能力がある。自分達が敗けたことも確定事項だったらしい。それに関して咎めるつもりもない。むしろ気分は雲1つ無いほど晴れ晴れである。


「メレン。お前の能力ならあのノーマル種が何なのかわかるんじゃないか?。やつの主人はお前らと同じ一年でアイシャ・マーヴェラスと言う名だ。」


メレンの能力は二つ。未来を見通す能力ともう1つは啓示で相手の本質と行く末を言葉に現す能力である。啓示の能力であのノーマル種が何者か分かるんじゃないかとベローゼはふと思った。


「さあ、私があのノーマル種が何者か判断できません。しかしアイシャ・マーヴェラスのマーヴェラス家という名は教会内では聞いております。」

「ほう、教会内で····。」


教会で名の知れた騎竜乗りの家系ということか。ベローゼは正直にそう思った。


「申し訳ありません。マーヴェラス家に関しては教会では一切秘匿なので。」

「話せないと?。」

「はい。」


メレンが頷き素顔が無表情に固まる。

なるほど。アイシャ・マーヴェラスのマーヴェラス家は教会内では特別な位置らしい。これ以上の詮索は野暮か。

ベローゼはマーヴェラス家に関しての詮索を止めた。ベローゼにとって貴族のゴタゴタに興味はない。寧ろ貴族のいざこざなど避けたい事案である。


「で、そのアイシャ・マーヴェラスの騎竜であるあのノーマル種は何者か解らなくても啓示は見えたのだろう?。お前の能力は因果の流れを読みとき。その人物の未来と本質を見抜いて言葉にすんだっけか?。」


確かメレンの啓示はそんな能力らしい。


「そうですね···。私があのノーマル種を見て感じ浮かんだ言葉は。」


メレンは少し顔をあげスッとベローゼに全てを見透かすような瞳を向ける。


「言葉は?」


メレンの見透かした瞳が細目にかわり。唇は静かに開かれる。


「神足る竜の因縁を断ち切る者·····。」


················

一瞬雪原積もった山頂が静まりかえる。隣のミャルナも目が点になるほど豆鉄砲喰らった表情をしている。


『神足る竜の因縁を断ち切る者とは大きくでたな。ふははっ、こりゃあ面白い!。』


雪にはまったまま身動きとれぬ我怒羅は有頂天に嗤う。


「神足る竜の因縁を断ち切る者ねえ······。それは教会としてどうなんだ?。かなりまずいんじゃないのか?。」


神足る竜の伝説は子供の時から知っている。救世の騎竜乗りの相棒であり。世界を救った竜(ドラゴン)である。神竜聖導教の信仰対象でもある。


「はい、確実に危険視されるでしょうね····。」


メレンは静かに言葉を吐く。


「そうか。くく。あのノーマル種が神足る竜の因縁を断ち切る者か。なら、もしかしたらあのいけすかねえ無情さえもぶっ倒してくれるかもなあ。」

『そりゃあ、いい。奴に一泡ふかせれるなら俺としては本望だがなあ。』


ベローゼは何かを企むようにニヤリと不適な笑みを浮かべる。


「メレン、ミャルナ。ノーマル種の能力に関して伏せておけ。大学にも報せるな。教会に関してはお前達の立場もあるから何とも言えんが。」



ベローゼは六騎特待生の先輩ではあるが。教会関係者の二人の信徒に口だす立場でもない。


「もとより報せるつもりもありませんよ。今の教会はあまりよいものではありせんし。己の保身しか頭にない。神竜聖導教の創設者であらせられる加護竜、聖法皇竜ローマシア様の教えさえ今はないがしろにする始末ですし。」


神竜聖導教会の神童ともいわれるメレンははあっと深いため息を吐き。何げに教会の内輪揉めのようなことに愚痴をこぼしていた。


「そ、そうか······。」


貴族社会も面倒臭いがどうやら教会社会も色々面倒のようである。


「ミャルナはどうだ?。」


もう一人の教会関係者でレースの当事者であるミャルナにベローゼは問いかける。


「話しませんよ!。話したところでノーマル種が神足る竜の因縁を断ち切る者なんて誰も信じませんから!。」


メレンの啓示にミャルナは正直納得していなかった。


「それもそうだな···。ハハッ。」


ベローゼは高笑いする。


「でもバザルニス神竜大学に関してはどうしますか?。風車杯は実質敗北となりました。レース結果の黒星になったことを報告する義務がありますけど。」


メレンの言葉にあっと思い出した感じでベローゼはしかめっ面をしながらばつの悪そうに頭に流れるボサボサ髪をかきむしる。


「そういや、そうだった!。よわったな。虚言しても嘘感知の魔法で引っ掛かるだろうし。糞、どうすっか·····。」


黙って別の大陸に渡ってレースをしたことも問題だが。敗けて帰ったことがより問題である。バザルニス神竜帝国大学はレースに敗北に関して厳しい。バザルニス神竜帝国大学代表でもある六騎特待生なら尚更である。


「致し方ありません。私によい考えがあります。」


メレンは進言するかのように話を切り出す。


「ほう、何か考えがあるのか?。」


ベローゼは後輩メレンの提案に興味津々に耳をかたむける。

教会の有力者の一人であるメレン・ミラソースが口添えをしてくれるなら罰も少しは軽くなるかもしれないとベローゼはそんな淡い期待を寄せる。


メレンは内心思っていた。

本来なら彼女をダシにすることは教会内では不貞なのですけれど。致し方ありません。私も見定めたいのです。新たな救世の騎竜乗りと神足る竜の運命を変える可能性のあるノーマル種の行く末を·····。


メレンの何もかも見透かした瞳は雲がかからぬアルプス山頂の青空を見据えている。



わーーーーーー!。 わーーーーーーー!。


パチパチパチパチパチパチパチパチ


紙吹雪が舞い。レース会場の観客席から歓声と拍手の喝采がわく。

ゴール地点に到着した黄緑の羽毛を纏う鳥のような竜と茶色の鱗にに覆われた大きな巨体の竜と平凡な緑の鱗に覆われた竜とその背に乗る三人の騎竜乗りを皆は歓迎され称賛する。風車杯のレース会場に紙吹雪が舞う。


『今宵、風車杯優勝を勝ちとったのは風姫チームでした。いやあ、色々ありすぎで何処から説明すればよいか迷いますねえ。』


放送席の実況ハマナスは風姫達のゴール到着に苦笑いする。


『風姫!。貴女ならやると私は思っていたわ!。あんな風の龍を出す大技を隠し持っていただなんて、もう、最後まで冷や冷やさせるんだから!。』


放送席で解説のエエチチは風姫を誉めちぎって絶賛する。


「何だがあの龍のこと。私の手柄になっているんだけど······。」


誉めちぎるほど絶賛の放送が流され。セランは困った顔で複雑そうに眉を寄せる。


ギャアラギャガアギャラギャアガギャ

(いいじゃないですか。チームレースですし。)


「そう····なのかしら。」


セランお嬢様は何だが納得いかなそうに不満げな顔をあらわにする。


うつらうつら

ぐ~ぐ~

「モルス。もう少しの辛抱だからまだ寝ないで。」


アイシャお嬢様は寝そうになる地土竜モルスを何とか起こそうとする。


『ひゃっほーーーーーー!。』


びゅうーーーーーーーーーん!


疾風竜のウィンミーは優勝したのがあまりにも嬉しいようで。思わずレース会場の観客席前を旋回するように飛び回る。


びゅうーーーーーーーーーっ!!。


ブワァサッ!バサバサッ!!


「「「きゃああああーーーーー!。」」」


観客席でスカートをはいてきていた女性の観客達が疾風竜ウィンミーの飛び回って巻き起こす風のせいで全員スカートが捲れる。


「きゃあああーーーーーー!。」


放送席に座るウィンドヒルの村長エエチチも一緒に民族衣装のドレスのスカートが捲れる。


『ウッひょおおーーーー!。これは凄い!。風の悪戯、疾風竜ウィンミー。正に風の悪戯を巻き起こしてくれました!。いやぁ!。凄かったですね。エエチチさん。』


女性観客のスカートが次々捲れる場景をみてハマナスは思わず歓喜して。隣に同じくスカートが捲れてしまった解説のエエチチに同意を求める。エエチチはうつむいたまま捲れたスカートを手で抑え。ふるふると怒りでうち震える


『あの疾風竜!ぶちのめす!!。』

『ちょ、落ち着いて下さい!。エエチチさん!。』


スカート捲れてぶちギレたエエチチは席から競りだそうとするが。ハマナスはそれを抑え宥めようとする。


「ウィン····み~·······。」


セランの冷たい圧の視線がウィンミーの羽毛の背中に突き刺さる。


『ご、ごめんちゃい·····。』



ボロボロになった姿でポーカー家の姉達はレース会場の広場で末の妹であるクラブ・ポーカーの前に立っていた。姉の後ろには申し訳なはそうに黒竜三兄弟が首を低くして項垂れている。


「ごめんね。クラブ。最後の別れに貴女に私達の活躍を見せたかったのだけど。」

「不甲斐ない姉ですまない」

「姉としてみっともなかったわ。」


三人暗い顔をする姉達を横目にポーカー家の末の妹はニッコリと微笑む。


「そんなことはありません!。お姉様達の勇姿をしかと目に焼き付けました。お姉様の戦いを教訓とし。ポーカー家の立派な当主として頑張ります!。」

「クラブ·····。」


ダイヤ、スペード、ハート、姉三人は末妹の言葉に目を潤ませ感涙する。


『流石です!。クラブお嬢様。』

『クラブお嬢様。俺は最後までついていきやす。』

『クラブ。私もあんちゃんと一緒にポーカー家を支えるよ。』

「ありがとう。スム。それとダイヤお姉様、スペードお姉さま、ハートお姉さま。私、入学する学園決めました。」


三人の姉は不思議そうに顔を見合わせ妹に聞き返す。


「そうなの?、何処かしら。」

「アルビナス騎竜女学園です。」


末妹クラブのきっぱりとした志望校の発言に上の三姉妹は妹の将来の決断に安堵する。


「そう、あそこの学園は田舎だけど実力のある騎竜乗りが在籍しているわ。学園長もかの有名な狂姫ですもの。きっとクラブの成長を後押ししてくれるわ。」

「はい!お姉さま。」


クラブ・ポーカーはニッコリと上の姉達に屈託のない微笑み笑顔でかえしていたが。誠実で純粋な妹に見えていたけど。内心は·····。


ふふふ、見たわ!あのノーマル種。龍を出していたわ。あんな龍も出せてしかも炎やら水やら土やら風を全て操れるノーマル種なんて他にいないわ。是非とも手にいれたい!。騎竜乗りの風貌からしてアルビナス騎竜女学園に間違いないし。絶対に手に入れてみせるわ。ふふふ。


純な少女のような性格振る舞いをしていたが。彼女は内心はそんなことを考えていた。彼女は姉に対して世間に対していい子ちゃんぶることに長けていた。

健気な姿を演じている影でどす黒いほど野心を抱いている。


クラブ・ポーカーは猫かぶりで世渡り上手な野心家である。最もポーカー家の中でポーカーフェイスが上手い令嬢でもあった。(ポーカー家だけに)


『くっ、敗けてしまった······。』

『風神竜様の敵(かたき)とれなんだか。』

『ぐぬぬ、あのたわけドクサレガキのウィンミーに敗けるなど····。』


ボロボロの風竜族三匹は力なく吐露する。


「シリウス様·····。」

「フウライ様····。」

「シレン様········。」


そんな落胆する風竜族三匹の姿を目にして風の民であるサーレン、マレル、カナンは心配そうに見つめている。


『このままではすまさぬ。必ず落とし前をつけせる!。風の里に帰り。風神竜様にこのことを報せねば。』

『そうだ。あのたわけガキに絶対にこらしめる!。』

『諦めぬぞ!。ウィンミー!。』


扇風竜、天風竜、烈風竜はそんな決意を胸にとぼとぼと風の里に帰っていく。

再び風竜族とライナ達に一悶着あるのはまた別の話。


「はあ、最悪だわ。」

「全くね。あの戦闘狂の野蛮な騎竜乗りと騎竜に敗けたと思ったら。そいつら風姫に敗けてんじゃないの。」

「本当あり得な~い。全くあり得ないわよ!。」


夜叉と鬼竜にコテンパンにけちょんけちょんにされたチームKY 三人組は口々に悪態愚痴を吐きまくる。


「もう、騎竜乗り引退しようかしら?。」

「今度はモデルなんていいんじゃない?。」

「そうね。私達のルックスならいけるわよ。」


そんなKY三人は勝手なことを口々に言い張る。


『『『いい加減にしろーーーー!。』』』


それを横目で見ていた三ぴきの気象竜は揃って激昂しKY 三人組に怒鳴りつける。


「ちょ、何よ····。」

「い、いきなりびっくりするじゃない。」

「もう少し空気読みなさいよ。」


いきなり三人の相棒である気象竜三ぴきの怒りに満ちた怒鳴り声にKY三人組は思わずびくついてしまう。


『何がモデルですか!。何が引退ですか!いい加減にしなさい!』

『周囲に迷惑掛けまくったあげく。一回の敗北で引退?。ふざけるんじゃありません!。』

『我々は貴女方の親御様に色々頼まれ任されていましたが。この機に改めさせて頂きます!。』

「なっ、私達は主人よ!。何勝手なことを!。」

「そうよ!そうよ!。」

「横暴だわ!。」


三人組のKY は強く反論する。


『黙らっしゃい!。』

『我々これよりスパルタでいきます!。覚悟しなさい!。』

『我々はこれより鬼となり修羅となります!。』


「「「ひぃ~~~!。」」」


三匹の気象竜のあまりにも剣幕と高圧交じりの気迫に圧されチームKY の三人組は怯えたじろぐ。

チームKYの三人三匹の主人と騎竜の立場が逆転した日であった。


風車杯の表彰式を無事に終え。セランお嬢様とアイシャお嬢様とアーニャお嬢様は俺含め三匹の騎竜は帰路ににつく支度をする。


「優勝おめでとう。セラン。」

「ありがとう。シャルローゼ。」


シャルローゼ一行が優勝のお祝いにきた。


「しかし、ライナ。龍まで出してしまうとわ。本当に常識が通じぬ竜(ドラゴン)よ。」

ギャギャあ·····

(ど、どうも····)


カイギスに誉められた?ようだ。


「一体絶対どのようにして龍が出せるのですか!。風の精霊で構築された龍のようですし。黄色の光の粒子あれは何ですか!?。是非説明を!。解説を!詳細を!。て言うか調べさせて体の隅々まで!。」

ギャギャアギャギャ

(近い近い近いです!。)


弩王竜ハウドの童顔が俺の竜顔数ミリまで接近してくる。


「ハウド。今はライナはレースで疲れているんだなら今は抑えて。」

「むう~。」


ずり

主人であるカリスは小柄なハウドはつまみ上げ俺から引き離す。


ふぅ~~助かった。

俺は深く安堵する。

トトトトトト

ん?


「凄いです!。私、最後まで見ていましたよ!。貴女のノーマル種が風車の丘の風車から龍を出したところ一部始終!。本当に凄いです!。」


突如アッポールをお裾分けしてくれた村娘のハイジーがアイシャお嬢様に目を輝かせて駆け寄る。


「ど、どうも·····。」


あまりにも迫力にアイシャお嬢様は思わず一歩退いてしまう。


「このノーマル種の竜(ドラゴン)。何が好きなんですか?。私ファンになっちゃいました!。」


風の谷ウィンドヒルの村娘ハイジーはアイシャに俺の好みを聞いてくる。


おっ!それなら我が竜の背中に貴女様のLL サイズの見事なAPooを!。


俺は翼をぴろっと広げ背中をみせるアピールする。


「あっ!?それなら。」


アイシャお嬢様は俺の仕草に気付いたのか。笑顔で村娘のハイジーに提案する。


「ライナの背中に抱きくといいです。ライナは背中に抱きつかれるととても喜ぶんですよ。」

「へえ~。そうなんですか。本当に変わった竜(ドラゴン)ですね。」


村娘のハイジーは何も疑いもせずに俺の翼を広げた背中に思っきりダイブする。


「えい!。」


むにゅう♥️


おおーーーー!。これは·······。

アンデス風のドレスから伝わるLLサイズの見事なAPoo が俺の背中に押し付けられ。柔らかな弾力と感触が余すことなく伝わる。


これこそ正に『アップルパ~イ!。』


俺はレース後のご褒美に歓喜し思わず竜の長首を上げる。


あっぽぉーーーーーー!。

あっぽぉーーーーーー!。


俺は歓喜の気持ちを表した竜の雄叫びを上げた。


「本当このノーマル種、凄いんだが凄くないだか解らないわね。」

「ふふっ。」


そんな奇声の雄叫びを発するライナの姿をセランは呆れ顔で冷めた視線を送る。アイシャは歓喜の雄叫びを上げ続ける自分最愛の騎竜を微笑ましげに眺める。


グ~ グ~

「モルス。お疲れ様····。」


アーニャの横で人化して器用に立ったまま眠りにつく相棒のモルスを優しく労う。


その日、風の谷ウィンドヒルのアルプス山脈に奇妙な鳴き声の山びこが山脈一帯に轟いたという。



【あっ ぽぉーーーーーーーーーーーーっ!】


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る