第125話 とある竜の日常
私の名はリリシャと申します。マーヴェラス家のメイドを務めております。マーヴェラス家の邸では久しぶりにお嬢様とライナが学園から帰って参りました。ドラゴンウィーク(竜の骨休め)と呼ばれる7日間の長期連休に入ったからだそうです。久しぶりにライナの竜舎の掃除を致しました。同じメイドのカーラはライナのおんぼろであった竜舎を何処で手に入れたのか。大金をはたいて瞬く間にライナの竜舎を改装してしまいました。ライナの竜舎が木造製ではなく鋼鉄製なってしまいました。ライナは新しくなって改装された自分の竜舎を垣間見て。竜の口をあんぐりと開けたまま青ざめておりました。どうやらあんまり嬉しくないようです。
家のノーマル種であるライナの日課は毎朝トレーニングから始まります。
ギャッホ ギャッホ ギャッホ
ドドドドドド!!
ライナは広い牧場を竜の脚を使い駆け回り。時には寝っ転がって仰向けで上半身だけを起き上がらせる不思議な運動しております。地面に手をつき腕を上げ下げしたりしています。あのライナの師であるレッドモンドとかいう名の変な筋肉竜に教えられたトレーニング方法だと思います。
アイシャお嬢様は食事をとり。いつものようにライナと一緒に飛行するのではなく。ブーメランの練習をしております。何でも騎竜乗りの実戦経験を積むためだそうです。騎竜乗り同士の戦闘を想定しての訓練だそうです。旦那様は心配そうに遠くの物陰からお嬢様を見守っております。
ライナのトレーニングを終えると私が朝食を用意します。
朝食は食事のバランスを考え。野菜と肉の盛り合わせです。調理して出しております。
昔は交代制でライナの食事当番をしておりました。同僚のカーラの関しては用意した食事をライナにたいして特別なあげかたをしておりました。まずは最初にカーラは竜舎内にて用意したライナの食事を目の前にだします。ライナは物欲しそうな瞳をしますが。カーラは待て!と強く発言します。
ピタッ
暫くライナをじっと礼儀正しく待ちます。暫く互いに長い沈黙が続きますが。カーラが良し!と一言発するととライナが目の前の用意された食事を勢いよくパクパク食べ始めます。
ハグハグ ウマウマ
その時ライナが食事をほおばる姿を観察していたカーラの顔は何か清々しほどドヤ顔を決めておりました。少し気持ち悪いです。
明朝のトレーニングを終え朝食をすませるとライナは竜舎の藁の寝床に寝ておりました。折角の休みなので羽目を外したいのでしょう。私がマーヴェラス領の村まで買い出し行くのを誘ったら素直に着いてきました。
ライナは領民達からとても慕われております。ライナが領民の村に着くと村人達はライナの元に集まります。どうやら風の噂でライナが出場したレースの戦績が伝わっていたようで。皆ライナのレースの活躍を称賛祝福していました。
「ライナ!行くよ!。えい!」
むにゅう♥️
ウっホーー!
「私も行くね。えい!」
むにゅう♥️
うッヒょーー!
「私も!。えい!」
むにゅう♥️
うッヒャヒャ
ええわ♥️ええわ♥️
ぶんぶん
ライナは嬉しそうに緑の尻尾が激しくふっておりました。
ライナは相変わらず背中に抱きつかれるの好きなようです。
領民の娘達から背中を抱き着かれてとても悦んでおります。
「おお、ライナが帰ってきたのか?。」
ドシドシ
ムキムキ
村の一軒家から筋肉が引き締まった半裸の男が出てきました。マーヴェラス領で村一番の鍛冶師を営むセルゲイさんです。セルゲイさんもノーマル種のライナのことが大好きです。
「ああ、セルゲイさん。ライナが帰ってきたんだよ。」
「おおそうか!。久しぶりにライナとスキンシップをするか!。」
セルゲイはムキムキの筋肉を引き締ませ。ライナ目掛けて突進してくる。
ドスドスドスドス
ギャア~~来るな~~!!。
ライナは悲鳴を挙げ。逃げるように竜背を向けて走りだします。しかしセルゲイさんは駆け抜けるライナのスピードをものともせずに直ぐに追いついてしまいます
「ふん!。」
ドっ シーン‼️
ムキムキの筋肉の身体がライナの背に重量ともにおもいっきり背中に乗しかかります。
ズうーーーーーーン
ライナの脚が止まり。尻尾が弱々しく垂れ下がり。竜首が力無く低く項垂れ。ライナの竜顔が真っ青な苦悶の表情を浮かべておりました。
「ふははは!嬉しそうだな。」
「········。」
セルゲイさんに背中に抱き着かれたライナはとても絶望にうちひしがれたような悲壮感漂わす竜顔に変わっておりました。
相変わらずライナは男性に抱き着かれるのが苦手のようです。
昼食をすませたライナは外でまたトレーニングを始めました。不思議な力を使い遠くから岩を壊します。しかし私が見ないうちにライナは炎をだしたり。水を操ったり、風を起こしたり、地面に岩をつきだしたりといつの間にかバリエーションが増えておりました。将来マジシャンになるのでしょうか?。
その後、夕食までライナは広い牧場を懐かしむようにまわっていました。
夕食をすませたライナはまた新しい鋼鉄製の藁の寝床でスヤスヤと眠りにつきます。
七日間しか邸にお嬢様とライナは滞在致しませんが。私はライナとお嬢様には献身的にご奉仕致したいと思います。
余談ですが。メイドのカーラは馬車の檻の前で何やらぶつぶつと呟きながら何か思考を巡らし画策しているようでしあ。あまりにもその姿が不気味などで近寄らないようにしておりました。
これからも私メイドリリシャはマーヴェラス家最後までに尽くしたいと思います。
◇◇◇◇◇◇◇◇
マーヴェラス領の牧場に夜寝静まった頃一人の女性が足を踏み入れる。
女性の頭部には結晶化したような透き通るような灰銀色の角を左右に二本生やしていた。
服装はベールを上から下に垂れ流すような格好をしている。
「久しぶりマーヴェラス領に来ました。ここの牧場だけは本当に変わらないですね。」
結晶化した二本の灰銀色の角を生やす女性は何かを懐かしむように月光に照らす夜の牧場を眺める。
「さて、プロスペリテに逢えますかね。逢えなければ残念ですが。最期に一目逢えればよいのですが···。」
ベールに流れた服装と結晶化した灰銀色の角を生やす女性は静かにマーヴェラス領の広大な牧場の地で歩みをすすめる。
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