第76話 三つ子
「お嬢、こんな所にいましたか。」
現れたのは侍のような格好した角と無精髭を生やす武人のような男と胸の谷間をみせるほど露出度の高いドレスを着た角を生やした魅惑的な美女であった。
二本の竜の角を生やしているところからイーリスお嬢様とセシリアお嬢様の騎竜だと推察する。
角を生やす侍のような格好した武人の男は俺の竜の姿を捉えると顎をさすりまるで品定めするかのように見据える。
「ふむ、あの時のノーマル種か。確かにただなるぬ気配がするな。どうやら俺の祖国の似たような力を扱えるようだ。離れていても感じるぞ。」
東洋の雰囲気を醸し出す男はそう呟く。
ただ俺の方は何で竜が侍の格好しているのだろうという疑問のほうが多かった。
「あら、確かに良いオスね♥️。」
谷間を露出するほどのドレス着た角を生やした美女は此方に誘うような流し目を送る
「紹介しますね。ドレスを着た女性の方は私の騎竜レア種、魅華竜ソリティア。そして男の方はイーリスの騎竜、エンペラー種剣帝竜ロゾンよ。」
「宜しくね♥️。」
「宜しく。」
2頭の人化している騎竜は挨拶を交わす。
ギャアガアギャアラギャアギャアガアギャアギャアラギャアガアギャアラギャアガアギャアアラギャアガアギャア
「俺はアイシャ・マーヴェラスの騎竜をしております。ノーマル種のライナです。先輩方今後ともどうぞ宜しくお願い致します。」
俺は上の先輩を敬意を込めて挨拶をする。
「そんな社交辞令などいらぬ。騎竜にとって一年二年三年の先輩後輩など関係ない。あるとすれば力による上下関係だけよ。二年生も三年生もいずれは一年生と同じレースに出場するかもしれぬ。一年の差だろうと何れライバル関係にもなるやもしれぬのだから。」
武人の格好した騎竜ロゾンはそう説く。
ガギャア·····
「そうですか······。」
イーリスお嬢様の騎竜ロゾンは武人のような格好からして武芸者のような考え方をしているようだ。
ただ何故騎竜が侍の格好しているのかは全然理解ができないが····。
「さて、お嬢もセシリアのお嬢も既に野外授業の休憩は終わっております。急いで戻りましょう。」
「あら、もうそんな時間なのですか?。折角アイシャ・マーヴェラス嬢の騎竜とお知り合いお近づきになったのに残念ねえ。」
セシリアはそっとにこやかな笑顔で俺に近づき。手のひらを竜のくちばしの顎したに添え優しく撫でる。
「妹のキリネと仲良くしているみたいだから。もう少し仲良くなりたかったのだけどね。残念。でもまたお逢いしましょう。ライナ。」
キリネの姉であるセシリアという令嬢は俺の頬と顎したを優しく撫でる。それはまるで男のツボを知りつくし。色香漂わす魔性の女如くゆっくり速めず一定のペースで撫で回した。
俺はそれを呆けるように成すがままにされていた。
セシリアお嬢様とイーリスお嬢様と二匹の騎竜が去り俺ははっと我に返る。
それにしてもキリネの姉であるあのセシリア・サウザンドという令嬢、別の意味で危うかった。
頬や顎下を撫で回す手癖が手慣れていたからだ。あれは男を手玉にとる作法を知り尽くしている感じだ。絶対!!。
キリネも将来姉のように色香を漂わす令嬢になってしまうのだろうか?。
俺はふとそうな想いが過る。
そんなキリネの様子を想像してみた。
もわもわ
男装したキリネは頬を染め上目遣いをする。貴族の男装の胸の部分がはだけ。胸の谷間が垣間見える。
「ライナ~♥️。」
憂いと熱を帯びたなまめかしい虚ろな視線を俺に向けてくる。
うわっと!あぶねえ~。
パッと俺は竜瞳を開け正気を取り戻す。
男装した令嬢の色香は色々と男のツボに入りすぎるわ!。新たな世界に目覚めそう。これ。
俺は新しい世界に入りそうになった。
俺は竜の長首を動かし頭を振りまくる
俺は背中を胸押し付け一筋なのだ。他のフェチにうつつ抜かす訳にはいかぬ。
俺は正気を取り戻し。
野花畑が咲く森を後にした。
◇◇◇◇◇◇◇
次の日再び反対側の右塀の抜けた森を散歩していた。今度はアイシャお嬢様達が帰りのホームルーム終えた後だ。学生寮で友人達と女子だけのお茶会を開くらしい。俺は当然オスなので入れる訳がなく。つうか元々建物事態入れないのでお留守番である。
ドシドシドシ
ルぅ~
ん?この声は·····。
微かにルゥの鳴き声が聞こえた。確かルゥの騎竜で保護者の緑森竜ロロさんはリスさんの森で森の精気を吸収中だった筈。何でこんな反対側の森にいるのだろう?。
俺は竜の長首を曲げ。ルゥの声が聞こえた方向へと向かう。
ルゥ~。
ルゥの声は何処か弱々しく哀しげな声である。何かあったのか?。俺は胸騒ぎがして森の伸びた草をかき分け急いで進む。
そこに確かにルゥはいた。が、それと一緒に見知らぬ三人組の少年がルゥを取り囲んでいた。
「ルゥ~。」
ルゥは白い獣耳の両耳を閉じ。哀しげに俯いている。
「ねえ、解っているのか?。この学園は君みたいなシャービト族が来るところじゃないんだよ。」
「そうそう、さっさと森に帰るべきだ。獣は獣らしくね。」
「全くです。高貴なる貴族の学園に獣臭い獣人がいるべきではないのです。早々に帰省すべきです。」
取り囲む三人組の少年は皆同じ顔で三つ子のようだった。容姿がかなりの美形美少年で皆同じ服装で小間使いのような服装している。貴族かと思ったが三人組の青髪には二本の小さな竜の角を生やしていた。
どうやらあの三つ子の美少年はどっかの令嬢の騎竜らしい。
「ルゥ~。」
ルゥは瞳を潤ませ今にも泣きそうになっていた。
これはどう見ても虐めだよなあ~。
気品と社交性の兼ね備えたお嬢様学校でも虐めがあるのだなと俺は少しショックを受ける。
だがそれよりも今は·····
ドシドシ
俺はルゥを虐めている三人組の騎竜に近づく。
ギャアガアギャアギャ?
「何をしているんだ?。」
「ルゥ~あっ!ライナ!。」
ぴょん
ルゥは俺の姿を捉えると嬉しそうにぴょんと飛び跳ね。俺の背中に抱き付きしがみつく。
「わっ!、何だお前は!?ってノーマル種?。何でノーマル種がこの学園に?。」
三つ子のリーダー格と思われる美少年は俺の姿に驚く。
「カシル兄さん、ほらあの噂の一年令嬢のノーマル種だよ。」
「そういえば一年にノーマル種を騎竜にしている令嬢がいると聞いたことがあったな。何でもエレメント種、エンペラー種、レア種の騎竜を倒す程の実力を持つ騎竜だとか。」
「悪魔で噂ですよ。ヒレフ兄さん。」
三つ子の美少年は互いに口々に俺のことを話す。
ギャアガアギャアギャア~ギャアギャアラギャアガアギャアガアギャアラギャアガアギャアギャ?
「あんたら虐めは良くないよ~。それ以前に虐めなんかしたら主人に迷惑懸けると考えないのか?。」
「貴方には関係ないことです!。これは私達とそのシャービト族の問題です。」
「早々部外者は引っ込みな。痛い目見たくなかったら。」
「これ以上部外者が口だすなら穏便にはすまなくなりますよ。」
三つ子の騎竜の美少年は瞳の瞳孔が開き。手の爪が研ぎ澄まし臨戦態勢をとる。
どう見ても話し合いで解決するつもりはないようだ。
ルゥ~
ルゥは俺の背中で怯え震えている。
ここは一先ず·······
俺はくるりと方向転換する。
ギャアア!!
「トンズラだっ!!。」
ドドドドドドドド!!
俺は猛ダッシュに森を駆け抜ける。
··················
··················
··················
「あっ!?。待て!。」
その後を三つ子の美少年騎竜が追う。
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