第72話 学園のプリンセスマドンナ


わいわい がやがや


「何の騒ぎかなあ?。」

ギャア?

「さあ?」


中庭で昼食すませ。俺とアイシャお嬢様は学園の中庭で散歩していた。


「キャあーー!!。学園のプリンセスマドンナのシャルローゼ様と風紀委員長のセラン様が校庭グランドで競争するそうよ!。」

「本当ですの?。観に行きしましょう!。」


中庭でおしゃべりをしていた令嬢生徒達も会話を一時中断し。あわただしく校庭目指して一斉に駆け出す。


「プリンセスマドンナ?。」


アイシャお嬢様はキョトンした顔で不思議そうに首を傾げる。


ざわざわ

ざわざわ


騒ぎを聞きつけ校庭では令嬢生徒達が学園校庭に集まっていた。

俺とアイシャお嬢様と一緒にプリンセスマドンナという令嬢生徒の競争を見学しにきた。


「あっ、アイシャも来たのね?。」


校庭ではスカーレット赤髪短髪靡かせたレインと深紅の角に燃えるような赤髪と真っ赤なタンゴドレスを着飾る炎竜ガーネットが既に競争を観戦しにきていた。


「プリンセスマドンナっていう人の競争を観にきたんだけど。プリンセスマドンナってそんなに凄いの?。」


アイシャお嬢様は親友のレインに問いかける。


「ええ、アイシャは知らないのね。プリンセスマドンナ、名はシャルローゼ・シャンゼリゼ。この学園の三学年の騎竜乗りのホープよ。実質彼女がこの学園最強と言っても過言ではないわ。レースではどの杯にも出場して全て連勝しているそうよ。実績を積んだ実力のある騎竜乗りの一人ね。その美しさと強さと気品を兼ね備えた彼女ことをこの学園では敬意を称してプリンセスマドンナって呼んでいるの。そして相棒の騎竜がエンペラー種の絶帝竜カイギス。竜種でも最強の一角とされているわ。」

「へえ~そうなんだ。」


アイシャお嬢様は納得したように頷く。

シャンゼリゼ····。確か師であるレッドモンドさんが教えられた強豪の竜がいるという家名がシャンゼリゼだったなあ。

て言うか二つ名をプリンセスかマドンナかどちらかにして欲しいのですけど····。

俺は微妙な竜顔を浮かべる。


わーー わーー

校庭のグランド周りでは令嬢生徒達が歓声をあげたまり場になっていた。

巨大な校庭グランドのスタートラインには二人の令嬢と人化解いた騎竜が立っている。


「セランと二人で競争するの久しぶりね。」

「そうね。でも親友だからって手は抜きませんよ。」


互いにドラグネスグローブを嵌め。眼鏡をかけた水色の髪に髪止めした令嬢と鮮やかなアイシャお嬢様よりは少し薄めの背中まである長い金髪の令嬢が互いの健闘を称え。相棒である騎竜に飛び乗る。

鮮やかな金髪を靡かせる令嬢の騎竜は身の丈あるほどの巨大な竜だった。硬そうな鱗に覆われた巨大な竜は年季が入ったようにいたるところに鱗の巨体に生傷があった。

多分あれはエンペラー種なのだろう。エンペラー種はほぼ巨体の騎竜である。その隣にはあの水色の髪に髪止めした眼鏡をかけた令嬢がドラゴンというよりは巨大な鳥に股がっていた。

サイズは俺と同じ位の普通サイズで白緑色の羽毛を持ち。頭部に鶏冠のような見事な角ではない流れるような長い毛(アホ毛?)がついている。左右の耳の部分には何故か片翼ようなものがついていて哀楽でパタパタと開いたりとじたりしていた。


『カイギスのおっちゃん。今日の競争は絶対勝つからね。』


パタパタ

耳部分にある二つの片翼が感情を表すように激しく開閉する。


『ふふ、まだまだ若いもんには敗けんよ。』


カイギスの巨体の年季の入った竜の口許がゆるやかに緩む。


「それでは位置についてください。」


スターター役の令嬢生徒が競走開始の合図をする。

二人の令嬢を乗せた騎竜はスタートラインに脚をつける。

スターター役の令嬢生徒はぴんと両手を高く上げる。


さて、今度はどんなスタートの合図かなあ?。ドラGoー!!でもドラパルティール!!でも俺は驚かないぞ。


「ヨーイ····。」


スターターの令嬢はスタートのかけ声をする。

ジャシ

二匹の令嬢を乗せた騎竜は身を低く翼を水平に降ろす。

鉤爪の脚を地面に食い込ませる。



「ドンっ!!。」


スターター役の令嬢生徒は両手を一気に下に降ろす。

バサバサバサァッ

二匹の翼がばたつき広大な校庭グランド上空へと翔ぶ。


普通じゃねえかああああーー!!


俺の心の奥底でそう激しく突っこむ。


びゅうーーーーーーーーーん‼️


先に先頭をきったのは鳥のような姿をした騎竜であった。まるで風に纏っているかというよりは風そのものになったような飛行である。


「ウィンミー!、出し惜しみできる相手じゃありませんよ。一気に行きます。」

『アイアイサー。』


ウィンミーは即座に白緑色の羽毛の翼を折り畳む。

ん?一体何をやっているんだ?。

鳥のような姿をした竜が先頭でいきなり飛行することに重要な翼を折り畳んだことに俺は大いに困惑する。


「さあ、やりなさい!ウィンミー!。」

『アイアイ サー!。風技 竜巻旋風!!』


ぐるぐるぐるぐるびゅルルルルルルルルン!!ゴォオオオオオオオーーーーー!!。


なっ!?

俺は竜のくちばしを半開きなって絶句する。

鳥の姿をした騎竜は身体を捻らせ回転スピンさせ。そのまま竜巻のようではなくトルネードそのものになって校庭グランドのコース突き進んだのだ。


「あれが騎竜としてスピードに長けたエレメント種疾風竜の力だ。風を利用した飛行方法を得意とする。私の獄炎噴の翼と互角いやそれ以上の飛行速度を持つ。」


炎竜ガーネットは鳥の姿をした騎竜を坦々と説明する。


ギャアギャガア····

「あれが疾風竜····。」


騎竜の中で唯一エレメント種でありながら脅威のスピード飛行能力持つドラゴン。あの疾風竜と俺のBoin走行はどちらが速いのだろうか?。俺のBoin走行ははっきり言って騎乗する騎竜乗りによって効果が変わる。明確にはその騎竜乗りのBoin度大きさによってスピードが大きく変わってしまうのだ。アイシャお嬢様に問い詰められるほど質問責めされたけど。未だ真実をまだ教えてはいない。真実を知ったらアイシャお嬢様が自分を責めるかもしれない。これは俺の特性の問題であり。もしあの疾風竜に俺のBoin走行が通用しないのなら改善の余地があるのかもしれない。


「流石はセランの騎竜、エレメント種の疾風竜ウィンミーですね。もう遠くまで離されてしまいました。」

『どう致しますか?。お嬢様?。』

「では、カイギス魔法を使って下さい。」

『畏まりましたお嬢様。』


巨体のカイギスは詠唱を初める。


『我、深きもの、我、長きもの、我、硬きもの、完全たるその身に絶対たる力を求めん。我は絶対者、我は絶帝者、我は完全拒絶者。万物の理を用いて無限なる拒絶を求めん。無限拒絶解離魔法、メビウスアルマ(無限改絶)。』


カッ

なっ何か?あの巨体のエンペラー種の騎竜の周りに沢山の魔法陣が展開されているんだが。景色埋め尽くさんばかりの魔法陣だが。派手なだけではないと理解できる。それ以上に俺のノーマル種の竜の鱗の肌にとてつもないプレッシャーを感じた。


ブンブンブンブン

幾つもの魔法陣が絶帝竜カイギス周りに現れそしてカイギスと言う巨体のエンペラー種は忽然と一緒にしてそのグランドから姿を消した。




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