第10話 世間知らずの白銀竜

ギャハッ パチッ


あれ?ここは·····。


俺の竜の瞼が開き。目覚めると草むらに寝ていた。沼近くの草むらだ。

沼で溺れ死んだ思っていた。死因は銀髪の真っ裸の少女の背中の重量オーバーによる溺死。何とも情けない死に方である。裸の柔らかな二つの生の膨らみを背中に味わって死ねるならある意味本望だったかもしれない。だが重量を耐えることに精一杯で背中の生乳(なまちち)の感触を味わうことができなかったのである。味わったとすれば背中をせり上げた時に一瞬の刹那に感じた乳首の感触だけである。

はあ~勿体無い。

竜は深くため息を吐く。

折角生のおっぱいの感触を味わう機会だったのに機会を逃した。


少女の身体を背負うこともできないなんて男として不甲斐ない。これは根本的に鍛える必要性がある。

来たるべき裸の女性の胸の膨らみをこの竜の背中で味わう為に身体を鍛えるぞ!。特に背中と足腰!。



沼の森から少し離れた平原に裸の銀髪の少女が森から現れる。沼の水が乾いた銀色の髪を靡かせ。肌白の二つの胸の膨らみを揺らし。美しい肢体をさらけ出す。銀髪の少女は裸でありながら特に恥じらいもなく無表情で現れる。

目の前には少女を待ちわびたように甲冑を着た少女が立っていた。

少女は真っ裸の銀髪の少女の裸を一瞥すると深いため息を吐く。


「はあ~、貴女ねえ、人化しているのだから、服がどうにかなるでしょうに。真っ裸で出歩くなんてただの露出狂の変態よ。」

「私は特に気にしない···。」

「私が気にするのよ!。」


豪華な装飾を施された甲冑を着た少女はまた深いため息を吐く。


「で、水浴びは満足したの?。」

「うん、とても気持ちよかった。」

「そう、それにしても変わってるわねえ。人間の姿で水浴びしたいって。」

「竜とか違う不思議な感覚。とても興味をひく。」


銀髪の少女は真っ裸で無表情で返答する。


「プラリス、それよりも早く元の姿に戻って次のレースに行くわよ。」

「解った。」


ぽおお

プラリスと言われた銀髪の少女は輝きだす。光に包まれた少女の美しい肢体が美しく白みを帯びた銀色に輝く竜へと変貌する。

甲冑の少女はそのまま白銀色の鱗に覆われた輝く竜に飛び乗る。


甲冑の少女は小手型のドルグネスグローブを白銀色の背中に充てる。

白銀色の竜は翼を広げ羽ばたく。

バァサッバァサッ

白銀色の竜はそのまま森の上空へと舞い上がった。

沼がある森が小さく見える程の上空で銀色の竜は平行飛行して進む。


『シーア、沼で変わった竜がいた。』

「変わった竜?。他にも森の沼に竜がいたの?。貴女が変わった竜と言うのだから相当変わった竜なのでしょうねえ。」


シーアの白騎竜であるプラリスナーチは上位種で最強種にして幻の竜、白銀竜。性格はとても変わりものである。他の竜とは違い特殊な思考している。人間で言えば天然とも言える。


『私に背中に抱きついて欲しいと言われた。』

「はっ?。」

···············

シーアは白銀竜プラリスの一言に一瞬思考が停止する。

プラリスが何を言っているのか理解できなかった。


「上位種であり最強種である貴女に?」

『うん。』

「その沼にいたドラゴンが貴女に背中に抱きついて欲しいと?。」

『そう。』

「···········。」


シーアは頭を抱える。

何故こんなに悩んでいるかはプラリスが普通の騎竜ではなく上位種の最強種だからである。生まれつき竜の頂点に位置づけられた存在であり。本来なら白銀竜をみた他の騎竜は敬意を込めて畏まるのである。

背中に抱きついて欲しいってどんな田舎もんの竜よ。

普通の竜は最強の上位種であるレア種の白銀竜の背中に抱きついて欲しいといわない。本能的に自分達の生態系の頂点にいると察知し。普通は萎縮し畏まるのである。レーススタートの時も白銀竜のプラリスナーチを観た騎竜は平伏すように身を退いていた。

普通の竜が生態系頂点に位置する白銀竜(一倍除く)を背中に抱きついて欲しいなどとそんな粗相丸出しな行為をするわけがないのだ。


「信じられないわ。」

『私が人の姿だったから私の正体分からなかったのかも?。』

「それでも竜は本能的に貴女を上位の竜だと認識するはずなのよ。普通の竜が貴女を背中に乗せたいとは絶対に考えないわ。それで、貴女はその竜の申し出を受けたの?。当然断ったんでしょ。」


人間の姿だったとはいえ最強種であり高貴な竜が身分が解らない竜の背中に抱きつくなど前代未聞である。貴族として大恥欠きかねない。


『?、普通に承諾したよ。』

「何ですって!?。」


プラリスナーチはあっけらかんな竜顔でこたえ。

それはシーアは言葉を詰まらせ絶句させる。プラリスナーチは生まれたばかりで世間知らずであり。少しいやかなり天然入っているけどここまで常識知らずだと思わなかった。


「貴女ねえ。自分の身分というものを考えなさい!。」

『駄目なの?。』

「駄目に決まっているでしょうが!。」


シーアは激しく激昂する。

最強種に幻のレア種が竜の背中に抱きつくなど一般的に許される行為ではない。そもそもドラゴンが背中に抱きつくなどプライド高い特に竜のメスはしないのである


「いい今度から背中に抱きつく行為は禁止よ。」

『ええ~私、緑の鱗の背中に抱きつくとお日さまみたいにぽかぽかして気持ち良かったのに。』

「ちょっと、待って!?。今さっき聞き捨てならない言葉が出たんだけど。もしかして緑の鱗といった!!。」


シーアは緑色の鱗をした竜と聞いて嫌な予感したよ。


『うん、そうだよ。』

「もしかして貴女が背中に抱きついた竜って······。」

『うん、ノーマル種だよ。』


シーアは再び頭を抱える。頭痛までしてくる気がした。まだそんな歳でもなく年若い少女である筈なのにだ。

よりにもよってノーマル種にこの最強の竜種が背中に抱きついたのだ。


「貴女ねえ。よりにもよってノーマル種に抱きつくなんて。」

『駄目なの?。』

「駄目に決まっているでしょうが!。何処に最強の種であり上位種で幻の竜が普通の一般のノーマル種の背中に抱きつくのがいますか!?。」

『ここにいるよ···。』

「口答えしない!!。」


ビシっとシーアは激しく叱咤する。

シュン

プラリスは深く落ち込む。


「いい、プラリス。貴女は最強の種で竜の頂点に位置にいるの。人間で言えば貴女は王族のようなものなの。王女が一般人の男性の背中に抱きついたりしないでしょう?。」

『しないの?。』

「するわけないの!。だからもうノーマル種の竜の背中に抱きついたりしないで。最強の種である白銀竜がノーマル種に抱きついたとなれば貴族の嗤い者よ。」

『そうなの?。』

「そうなんです!。だから金輪際ノーマル種の背中に抱きつかない。解った!。」

『解った····。』


プラリスは反省したかのように竜のくちばしが頷く。


「それでそのノーマル種はどうなったの?。」


ノーマル種の竜に興味はないが。プラリスの汚点がもれるのは避けたい。


『私の重さに耐えられなかったみたいでそのまま沼の底に沈でったよ。』

「······。」


シーアは眉を寄せ。顔をしかめ。心の底からこう想った(そのノーマル種、阿保じゃないの?)と。


「で、死んだってこと?。」

『ううん、沼から引き上げて草むらに放置した。まだ生きてる。』

「そう···。」


そのまま口封じで死んでくれれば良かったのにとふと少し脳裏に過ったが。貴族と関係ないノーマル種など二度と自分達に逢う機会などないので放置しても問題ないだろう。


「いい、プラリス貴女は貴族の竜として最強の種として最上位の竜としてもっと威厳と誇りを持ちなさい。」

『解った····。』


プラリスは銀色のくちばしが深く頷く。

バァサッ

そして最強の騎竜乗りと最強の騎竜は次のレースへと向かう。





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