第7話 洗礼式
魔法の練習を始めてから、すごく面白いものだとわかってしまった。
魔法を組み合わせたり、魔力量を調節してみたりして自己流をつくれるのはもちろん、その利用法について考えるのは面白さがある。
研究者気質?だったため、徐々にのめりこんでいた。
そしてもう、洗礼式の日となってしまった。
隠蔽魔法はファラウザーにも確認してもらったし、大丈夫なはずである。
ただ、自分の目からはどうなってるのかまだ見えないため若干の心配は残るが。
洗礼式は、町に一つある教会に集まって行うという。
家からはそこそこに近く、何回もその前を通ったことがある。
基本保護者は教会の前までしか付添えないことになっていて、かーさまは半泣きだ。
「ど、どうして入れないの…。エレナちゃんの洗礼が見たいのにぃ~」
かーさま、あにさまとあねさまたちの時に入れないことは知っていましたよね!?
軽くうざいくらいの母親の愛であるが、前世に放っておかれすぎたこともあってか少しうれしいのもまた事実である。
洗礼式は大イベントであるため、我が家もお祝いムード。帰ってきたらごちそうが待っている。
「いってまいります!」
かーさまと手をつないで街に出る。町もお祝いムードだ。楽しげな町の人たちを見ながら歩いていると7分ほどで到着した。
中はなんというか、すごく神々しい。
そして、神父さんの語りだした神話にはなんと、ファラウザーさんが出てきた。めちゃくちゃすごい人になっていた。
ミスばっかりして上司の神様を恐れている姿とはかけ離れている。
私の普段話す神様って、こんな風にあがめられているの!?
驚きである。
10分ほどの神話だったが、慣れない長い話のためか、コックリコックリしている人もちらほら。
ようやく能力測定のお時間だ。眠りかけていた子供たちも、
「それでは、魔能力測定を開始します。10人の神官の前に並んでください」
という声で完全にお目覚めのご様子。針で血を抜き取って測定するらしい。
え゛痛いのかなぁ…
私の番だ。細い針で親指を刺される。
ちゅ、注射よりは痛くないよ!
抜き取られた血は神官さんが水晶のようなものにたらすと吸い込まれていった。それが徐々に色に変わりひかり出す。
赤-黄色―青―緑―透明
あ、あれ?今、5つの色に光ったような気が……。き、気のせいだよね?
動揺する私に終了のお知らせ。
「お、おめでとうございます。火・光・水・緑・無、以上5つの魔属性をお持ちです。5つ持っているというのは素晴らしいことなのですよ。」
ぬわーー。目立った?目立ったよね?これさ、隠蔽不十分じゃないの?
ファラウザーさんや、話が違うのではないか?
と、その時、
「おめでとうございます。水・地・緑・風、以上4つの魔属性をお持ちです。4つ持っていらっしゃる方はとてもすばらしいのですよ。」
という声が聞こえた。そして、測定されたその子は
「おーーーーー!よっしゃ!おれ4属性だ!大魔法使いになってやる!」
と、めちゃくちゃ騒いだ。
当然子供達や神官はその子に注目する。私は声を出さなかったおかげで測定してくれた神官さん以外には、まだ知られていないはず。
ナイス、少年。
たぶん、大丈夫。
そのままそそくさと退散した。
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