アースティア大戦史・歴史紀行・第31回
後にブラキュリオス湖紛争と言う戦いの前に、日本国と海上自衛隊の動きと其処で起きた出来事を語って置きたい。
紛争の数日前に有った事で、航空護衛艦あかぎを旗艦とする艦隊が、龍雲海と東シナ海の境界線にて、今や帝国の属国に身を堕としてしまったドラグナー皇国おうこくと日本国との戦い。
そして、日本国に取って戦後初めてと成る空母機動部隊が活躍した紛争の記録でも有る。
話の始まりは、数日前に遡る。
ダバ派遣艦隊がブラキュリオス湖に入る数日前の6月3日の出来事である。
龍雲海では海上自衛隊の連合派遣艦隊が、帝国に対しての警戒をしつつ、この世界での戦闘を想定した演習を兼ねて、日本も異世界各国等が国境と勝手に解釈して居るこの海域に来ていた。
航空護衛艦あかぎを中心とした海自艦隊は、暁の水平線を東から昇ってきた朝日を拝みながら領海の境界線と言われる地点を進んでいた。
マストには朝日旗たる海上自衛隊旗と日本国旗、信号旗等が海風を受けてパタパタと音を発てて靡いている。
遥か遠くでは、12隻の海上保安庁が定期的な警備行動して居る。
海保は帝国軍を発見したら即座に撤退を命令を出されて居る。
何せ多数向って来る竜騎士に対しての対空火器が無いに等しいからだ。
一様、保険として機関銃が備え付けられて居たが、ワイバーンの口から放たれる火炎弾がとても危険なので、牽制でしかない装備と言えた。
竜史からの警告で、海保が異世界の軍に沈められたり、敵兵に巡視船に乗り込まれ、保安官が全滅すると言う創作物の話が有ると、海保と政府に意見書を提出して居た。
それ以来、海保は領海の外側に近い位置から離れる処置を取って、代わりに海自が帝国領近い領海外の海域の定期警戒をして居るのであった。
そして、帝国領から離れた地域の水域では、今まで通りの業務が成されて居たが、変わった事や見慣れない事が有れば、直ちに本庁と交援省に報せ、日本政府と共に対策を講じる事に成って居た。
航空護衛艦あかぎを指揮して居るのは、あかぎの艦長でもある南雲忠二一佐。
その補佐を務めるのは、副艦長の藤田沙希2佐である。
海自艦隊は、空母を運用する上でお約束の輪形陣を組んで艦隊編制をし、しょうほう型軽航空護衛艦しょうほう・ほうしょう。
護衛艦のこんごう・あたご・しらね・むらさめ・きりさめ・さわぎり・うみぎり。
そうりゅう型潜水艦そうりゅう・うんりゅう・はくりゅう・ずいりゅう。
おやしお型潜水艦みちしお・うずしお・まきしお・いそしお等が、海上と海中からローラーナ帝国海軍の動きを遠巻きにしながら、警戒監視を続けて居た。
いざと成れば、海中から敵戦艦に向けて魚雷をぶち込み、ハープーン対艦誘導弾で空挺戦艦が察知されない地点から不意打ちを喰らわせ、悪さしようとする輩どもに、一泡吹かせる積りであった。
後の歴史書に措いて、その戦いが名付けられた名は、民間フェリー船であるあさくら号襲撃事件と似たような海域で発生した事から、第二次龍雲海沖海戦と名付けられた戦いが始まろうとして居た。
その第二次龍雲海沖海戦を戦う事に成ってしまったのが、日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊の中核たる空母機動部隊。
その護衛艦隊は、後にマスコミや日本国政府の間に措いて、ローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を迎撃した、日本国海上自衛隊・護衛隊群連合艦隊の司令長官である南雲忠二(ちゅうじ)一佐の名を取って、『南雲護衛隊群』と呼称されてしまいます。
その中心と成る護衛艦の航空護衛艦あかぎとしょうほう・ほうしょうらは、あかぎを中心に据え、しょうほう・ほうしょうらが左右に分かれる形で艦隊陣形を組んで居たと言います。
日本海上自衛隊艦隊アメリカ海軍艦隊による連合艦隊とシドウ・ギワザンが率いるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊を中心としたドラグナー皇国軍・レッドブラッドアイゼン聖龍騎士団空挺艦隊と連合をした帝国艦隊は、日米両政府軍によるレーダー網に引っ掛かり、初手である在日アメリカ軍艦隊によるミサイル攻撃作戦による飽和攻撃を受けて、開戦。
戦いの真っ最中と成って居ました。
その中で、南雲護衛隊群所属の航空護衛艦へと出向して居る空自航空隊は、F―2A支援戦闘機を先手として、ローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊へと先制攻撃を仕掛けようとして、真っ黒な低気圧の下を突き進んで居たのでした。
それも・・・・雨も振り付けている海の上では、波も時化で荒れて居る中をです。
この時の日本政府は、紅葉からアースティア世界に関する色々な情報を聞いて居たそうですね。
その中には、この世界の海軍の運用常識として、荒れた海では、滅多に戦をしないらしいとの事でした。
しかも有力な情報の一つには、ローラーナ帝国海軍・空母機動の要でもある飛竜は雨や雷を本能的に嫌がるらしいと言う情報も有りました。
体格の良い竜種は気にしないらしいのですが、大量に戦艦と飛竜を投入するローラーナ帝国海軍を始めとする海軍や水軍らは、自然災害等で荒れて居る場所へと、わざわざ突っ込んだ行った上に、無理をして戦って自滅するのを特に避ける傾向が有ると言うのだった。
そんな事情を踏まえた作戦を防衛省は考えて、気象庁の気象予報を巧みに利用した作戦を立てたのです。
予め龍雲海の変わり易い天候の動きを予測して、今回の作戦に対応する等と言う方法が有るとは、この異世界の誰もが思い付かない作戦と言えるでしょう。
この異世界では、天候と精霊の動きは、天界と自然の采配のみぞ知るとも言うくらい天候の動きは読み辛い事なのでした。
地表監視衛星・防空監視レーダー・気象衛星・気象観測レーダー・・・・・何れも、我が国のお家芸的な技術力の結晶です。
それに対して、ローラーナ帝国軍の目と耳に鼻が全く使えない中で、日本と戦わなければならず、日本国政府は、彼らの全く気付かれない方法で、翻弄して見せようとして居たのでした。
幾らローラーナ帝国の精強で、その味方に一騎当千とも言うべき武の達人や優れた魔導師が居たとしても、遥か天空の彼方とも言える宇宙空間に在る人工衛星や地平線の彼方に在る陸自監視基地には、気付きもしないし、攻撃の手すらも出せない筈でした。
空自航空隊で、第一航空隊を指揮して居る森川知之一佐のF―2A隊は、あかぎから間も無く嵐を抜けると通信が入ります。
森川知之一佐は、航空自衛隊から第一航空隊として航空護衛艦あかぎに派遣されている空自隊員で、乗機はF―2A。
アースティア大戦では、分が悪い戦い方を好んでおり、その戦法は尽く敵を撃ち貫いて行く事に成った腕前でした。
俺の愛機は凶暴と豪語し、戦いの駆け引きに優れたパイロットとして知られ、分が悪い方に賭けると、何故か勝ててしまうと言う豪運を持って居ると言われて居ました。
彼の視線の彼方の水平線の約3キロ先には、青々としている澄んだ空が広がり、黒い塊に見えるローラーナ帝国海軍・イースト・ウッド・ブリヂストン第一外征艦隊が見えて居ました。
F―2AやF―15Jに搭載されて居るミサイルを持ってすれば、かなり遠くから狙い撃ちが可能なのですが、今回はローラーナ帝国艦隊の戦艦の数が大過ぎる為に、奇襲による混乱を狙った連続攻撃が主眼だった為、ギリギリまで自衛隊側の攻撃を知られる訳には、行きません。
彼は攻撃地点へち到達するまで、流行る気持ちを抑えます。
「目標地点に到達したっ!!各機に告ぐっ!!攻撃開始っ!!」
「了解っ!!攻撃開始っ!!」
「第一航空隊・森川よりあかぎへっ!!我ら第一航空隊は、敵本隊艦隊の奇襲に成功せりっ!!繰り返す、我ら航空隊は奇襲に成功せりっ!!」
「「「FOX1っ!!!」」」
そのシーンとは正にっ!!旧大日本帝国海軍による真珠湾攻撃の如く、トラトラと無電を打つと言うべきシーンであったと言います。
森川一佐は、敵艦隊へと突入すると同時に、あかぎに通信を入れる。
突入の報せを終えると、彼は部下と共に一斉に第一外征艦隊へと、対艦ミサイルを撃ち放ちました。
初弾攻撃は、F―2Aの対艦ミサイル30発による攻撃でした。
「ゴオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーッ!!」と言う轟音を響かせて飛び立つミサイルは、ロックオンされて居る目標へと飛んで行きます。
F―2Aがミサイルを放った攻撃が炸裂すると、これまで無敵を誇って居たローラーナ帝国軍が体験した事も無い爆発が周囲に響き渡ります。
更にミサイルを撃ち尽くしたF―2Aは、第一外征艦隊へと再突撃し、20ミリバルカン砲を撃ち、無誘導爆弾を次々と落として行ったのです。
この奇襲を受けた第一外征艦隊は、無残にも墜落か沈没をするしか無かったのでした。
この時、司令官長官であったギワザンは、乗船して居る艦隊旗艦である空挺戦艦ザージェント・ギワザンの艦橋の目の前を我が物で、擦れ違う青い物体を彼はその目で見て居たとの回顧録が残って居ます。
ギワザンは、F―2Aの事を「真っ青な機体に、赤丸が描き塗られて居る蒼鷲の如き飛行物体である。」との報告書書き記して居たそうです。
「こちら森川。敵の海上空母、空中空母70撃沈。一時補給の為、帰投する。」
「了解。引継ぎは、第二波航空隊が行う。」
森川一佐が率いるF―2A隊は、通信を終えると、燃料弾薬等の補給の為に、母艦たる航空護衛艦へと帰投して行ったのでした。
この戦いの引継ぎは、辻村耕次一佐が率いるF―15J隊が行いました。
辻村耕次一佐は、航空自衛隊から第二航空隊として航空護衛艦あかぎに派遣されている空自隊員で、乗機はF―15Jでした。
操縦テクニックに優れたパイロットとして知られ、彼と相対したパイロット達らは、丸で分身攻撃を仕掛けて来るかのように素早く背後を取って来ると言う凄腕の持ち主でした。
アースティア大戦でも、その持ち前の丸で分身攻撃を仕掛けて来るかのように素早く背後を取って来ると言う凄腕を活かして、敵機を次から次へと撃墜して行ったそうです。
他にも沖縄の空自第9航空団、那覇基地所属の101小隊、202小隊、303小隊、404小隊、505小隊、606小隊などF‐15J戦闘機30機。
その後に続くのは、F‐2戦闘機隊20機が出撃を開始して行きます。
更にこの隊には、空中給油機を3機を付けて居たそうです。
防衛省は、徹底的に敵空母を叩いて、それらを母艦として居る飛竜航空隊を空母に帰えれない様にすると言う、実に意地の悪い事をするのでした。
ギワザンとローラーナ帝国海軍・第一外征艦隊からすれば、まさか、絶対無敵の空母を真っ先に潰す等と言う、この世界でも非常識な戦術を取って来たのです。
有り得ないと頭を抱えて居たのに違いない事でしょう。
この戦術は、先の大戦での失敗の経験と体験談から来る戦術なのですが、敵に取っては、青天の霹靂と言うべき事態だった事でしょう。
この第二次龍雲海沖海鮮に措いて、ギワザンを始めとする帝国将校等は・・・・・今、神出鬼没の自衛隊からの攻撃のせいで、大混乱の中に陥ってしまう事に成り、その結果は日本国への威力偵察侵攻作戦が失敗した瞬間と成ったのです。
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