251話 こんにちは!こんにちはっ!異世界中の国々から~♪おいでませっ!ウエルカムっ!ようこそっ!ジャパンアイランドっ!! 17

  アースティア暦 1000年・西暦2030年・8月3日・午前10時05分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・日本列島・日本国・北日本地方・北海道・石狩支庁・札幌市・NR北海道・札幌駅・北海道・東北新幹線駅ホーム内にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 アースティア暦 1000年・西暦2030年・5月28日。 


 ラクロアナ王国のフランシェスカ・アブヒム・ラクロアナ王女は、外務大臣のエマリー・ロズリーを伴って、港町であるニュウヤーク市より、日本の海上保安庁の大型巡視船に乗り込んで、日本国・北海道の小樽港から密かに来日して来て居た。


 その目的は、父であり国王であるレビル・アブヒム・ラクロアナ王の見舞いである。


 ラクロアナ王国内には、東京サミットの開催が発表されまでの間だけ、地方視察に1月ほど向うと発表されて居た。


 この時点では、東京サミットの開催と言うのは、未だ正式には決まっては居らず、その開催の是非と言うのは、ダバ派遣艦隊の動向次第と成って居る為、東京サミットの開催や反帝国同盟諸国と中立地域諸国らの国家元首と外交使節団等が、日本国へと向かうかも知れないとの大っぴらな情報公開をする訳にも行かなかった。



 本来なら国交開設に向けて、外交交渉に向うのが、当然の事だと思うが、未だ日本政府の準備が整って居ないとの返答が出されて居た。


 それは建前で、本当は主だった諸国の元首や大臣を集めて、国際会議をしようとダバード・ロード王国のアーヤ・シュチュ―ド女王が呼び掛けてお陰で、今はそのスケジュール調整の真っ最中でも有るのだ。



 ラクロアナ王国は、その要請が来る前に、国交開設の交渉を申し込んだが、アーヤの国際会議の招集と重なった為に、それに合わせた形での先送りと成って居たのである。




 フラン王女とエマリー外務大臣の二人が、日本国へと入国する為にも、日本の厳しい防疫検査と一ヶ月に亘る健康診断の結果、入国しても問題無しとの連絡を受けると直ぐに、日本への入国申請を出したのだった。



 しかしながら、彼女達の入国申請は思いの外、簡単に通ってしまう。


 入るのに厳しい審査だったが、身元素性がハッキリして居る事と健康上の問題が無ければ、日本と言う国は、結構あっさりとして居る物だと、二人は感じてしまうのだった。




 日本国へとやって来た二人は、小樽港のフェリー乗り場に着いた大型巡視船に架かった桟橋から降り立ったフランとエマリーの二人は、事前に日本側が用意して置いた洋服に着替えて船を降りて行く。


 東京サミットの開催が決まるまでのフラン王女とエマリー外務大臣達二人の表向きの身分証は、サンクトペテルブルク市から日本国へと旅行にやって来たロシア人の友人同士で、不幸な事に転移災害に巻き込まれてしまった結果。


 帰国する事が叶わず、今後の身の振り方を決めて居ない為、北海道への帰化かウラジオストク市へと移住するかの二択を日本国とロシア共和国から如何したいのかを聞かれて居ると言う設定の人物とする事に成って居た。


 これなら何所から見たとしても転移に巻き込まれた地球系外国人と言い張れる様に成っているし、パスポートもロシア連邦・・・現ロシア共和国の国籍扱いに成って居るし、日本国とロシア共和国の両政府の示し合わせた偽造パスポートで、何か有れば直ぐに身柄を受け取る手筈に成って居る。



 そんな転移災害に巻き込まれてしまったウラジオストク市を首都とするロシア共和国。


 その国土には、ウラジオストク地方州・カムチャッカ半島地方州・サハリン州の他に、同地域の更に北側には無人島群が数多点在して居り、其処を新たな国土するべく、新たに隣国と成ったラクロアナ王国の了承の下で、領有権を得て居た。



 その序でに北海道の産業視察を行って居り、現北海道知事である鈴代直道自ら案内役を買って出たと言う。


 北海道滞在中は札幌市を拠点に、東京サミット中は宇都宮市を拠点として居る。



 フラン王女とエマリー外務大臣の二人は、札幌市で別れると、フラン王女は父親であるレビル国王の見舞いに向かい、エマリー外務大臣は、新幹線を乗り継いで、福岡市に在る異世界国家交流総合支援省こと、通称・交援省へと赴く。


 エマリーは、アセリナ王国・アルガス公国・ラクロナ王国・ダバード・ロード王国の4カ国から、日本との国交交渉及び安全保障条約交渉が始まるまでの間、パイプ・ライン大河の航路上で、ローラーナ帝国との紛争または戦争に突入した場合の安全保障に関する臨時協定交渉の委任状を持って、日本の福岡市に在る異世界国家交流総合支援省を訪れていた。



 この4カ国の各政府は、警備上の理由から大臣クラスの要人を直ぐには、大勢送り出す余裕は無い為、日本から地理的に近いラクロナ王国外務大臣であるエマリーを各国らは、推挙をして派遣を決めたのであった。


 この世界の今の状況下では、妄りに国の要人が会議の為に他国へ行くと言う情報を流すと、ローラーナ帝国が何をして来るのが分からないので、事を進めるのには慎重を期す必要が有ったのだった。



 エマリーは35歳で、ショートカットの金髪で大人の雰囲気を出しているが、実はドジっ子と言う女性では在るが、けれど、仕事はキッチリこなす才女だった。



 日本国政府は、日本国・アメリカ合衆国・ロシア共和国・台湾共和国・欧州諸島連合国・アセアン諸国等を含む地球海洋諸国連合同盟とシベリナ地方王国連合同盟との間に、ダバード・ロード王国派遣艦隊・略称名・ダバ派遣艦隊が、ダバード・ロード王国へと向かう途上で、ローラーナ帝国軍と紛争又は侵攻を受けた場合は、共同で迎え撃つ事が在ると定めた協定条約にサインする。


 これが後に、シベリナ地方王国連合同盟・地球海洋諸国連合同盟相互臨時防護安全保障問題協定条約。


 又はシベ・アスエリアガードルール相互パートナー条約とも言われるが、略称名にはシベ・アス相互臨時防協定条約と略されて居も、まだ長いが略称され過ぎても意味が分からない為、報道や公式発表の場での呼び名は、シベ・アス相互臨時防協定条約と成って居る。


 このシベ・アス相互臨時防協定条約が発行された数日後には、第二次龍雲海沖海戦が勃発し、その直ぐ後にブラキュリオス湖紛争が、起こってしまうのである。


 日本は寸での所で安全保障協定が発効されて、起こった事に対して、事態をスムーズに対処が出来る事と成ったのは、皮肉な出来事であると、後の歴史家達からは、酷評されて居たりして居る。





 さて、日本国へとやって来たフラン王女は、5月29日に父であるレビル国王のお見舞いを済ませると、翌日の5月30日から北海道各地の視察旅行へと出掛けて居る。


 これは父親であるレビル国王からの薦めも、有っての視察旅行でもあった。


 そんな北海道は、食糧基地を自称するほど農業が栄えており、全国の約12%に当たる約1兆579億円の農業産出がある。


 麦や芋などの畑作も全国平均と比べて比率が高く、テンサイやジャガイモ、小麦など、生産量が日本一の品目が多い。


 中でも道内農業産出額の約37%を占めるのは乳用牛であり[46]、生乳生産量は全国の約54%を占める。


 また、日高地方を中心に競走馬なんかのサラブレッドなどの軽種馬の生産も盛んである。




 他には気候が耕作には適して居ない地域では、亜寒帯湿潤気候を利用した酪農が盛んである。


 釧路や根室と言った地域では、農家1戸当たり耕地面積は、約60.3ヘクタールにも達し、宗谷地方に至っては99%が牧草地である。


 大規模経営のため農家の所得水準は高く、北海道の農家1戸あたり農業所得は約580万円であると聞く。


 これらの地域を含めた北海道各地の牧場や農場試験場、それに農業大学酪農施設では、乳牛の生産だけで無く、他には肉牛・豚・羊なんかも生産もして居ると言う。



 稲作は主に空知・上川地方などで行われて居るが、代表銘柄として「ゆきひかり」・「きらら397」・「ほしのゆめ」・「ななつぼし」・「ふっくりんこ」・「おぼろづき」・「ゆめぴりか」。



 特に上川中部(旭川市周辺)のコメは、一等米比率が高く、品質の良さで知られて居る。



 稲作のほか野菜の生産が盛んで、タマネギ・ジャガイモ・ニンジン・トウモロコシ・アスパラガス・キャベツ・ダイコン・キノコなどの生産量が多い。


 また、大豆・大麦・蕎麦・小豆・テンサイなども生産されて居る事は全国的にも有名では在るが、砂糖の原料であるテンサイの名は、一般の人々からすれば、サトウキビの名前が有名なせいか、余り馴染み少ない農産物の一つで、テレビニュースやバラエティー番組で紹介されて初めて知ったと言う視聴者達を多い筈である。


 その他にも名寄市はアスパラガスの、和寒町はカボチャのそれぞれ生産量日本一であるが、コメの生産量も多い事でも知られているのが北海道の農業であると言えるだろう。


 北海道と言えば多くの水産物が取れる地域として知られて居る。


 明治時代までは日本海沿岸でニシン漁が栄えて居る事は良く知られて居り、その後カムチャツカ半島沖、ベーリング海沖での北洋漁業が飛躍的に伸び、太平洋沿岸で水産業が発達。


 また同時に発展した水産加工業は北海道の工業の基盤とも成った事は今日に措ける我々も知る所である。


 サケとホタテガイが道内生産額のそれぞれ23%、19%を占める。


 サケは全国生産量の7割、スケトウダラ、コンブは8割以上、ホッケは97パーセントを占めて居る


 その他にはウニやカニと言った海産物が、全国各地に出荷されて居る事も知らて居る事は、観光客や旅行雑誌や専門サイト等を通じて多くの人々に認知されて居る。


 製造業は、食料品生産の割合が高く、製造品出荷額の約3割を占める。


 その他には石油・石炭製品、鉄鋼製品、パルプ・紙製品が多い。


 道内6圏域の中では道央圏が出荷額の6割、事業所数・従業員数の5割を占めると言う。


 市町村別では道央圏の室蘭市と苫小牧市の2市で計35%を占め、続いて札幌市が7.9% を占める。


 第4位の釧路市が4.1%と、札幌市の半分強を占めて居ると言う。


 そんな北海道の各地をフラン王女は、旅行客の振りをしながら二か月間を掛けて回り、ラクロアナ王国の国政改革に役立てる様と必死に勉強をして回る。


 一時期は各地域の有力者達にお願いをして、農業大学の農場や講義を受けたり、手を汚しながらも水産加工場で実地研修をさせて貰ったり、はたまた漁協組合に頼み込んで、漁に出掛けて行く漁船に乗り込み、大の男でも厳しい漁業を体験したり、更にはお菓子工房で菓子作りを学んだりと忙しい毎日を送って居た。



 そんなフラン王女は、東京サミットの開催が近付くに当たって、二月もの間に滞在をして居た札幌市を後にしようとして居た。


 フラン王女は今日、NR北海道の札幌駅・北海道・東北新幹線駅ホームに現れ、東京サミット期間中の滞在先である宇都宮市へと出発する。


 現北海道知事である鈴代直道は、公務の合間を縫ってフラン王女を含めたラクロアナ王国の使節団の北海道産業視察の案内を自ら案内役をしてくれた。


 鈴代知事の口利きで、各地域の視察先の有力者達の対応も問題なく進み、フラン王女の真剣な意気込みに感銘を受けたと言う。


「それでは鈴代さん。そして、北海道各地域の皆様には大変お世話に成りました。」


「いえいえ此方こそ、我々もラクロアナ王国と言う新たな隣人との交流が図られた事は、この上ない喜びです。」


「それにラクロアナ王国の発展は、我が北海道の発展にも繋がると信じて居ります。」


「また、何か在れば、いいえ、それ以外でも、如何か我が北海道へと遊びに来て下さい。」


「はいっ!!是非とも来たいです。」とフラン王女は締め括る。


『間も無く、北海道・東北新幹線・東京駅行きが出発を致しまーす。』と言う構内アナウンスが流れた所で、フラン王女やラクロアナ王国使節団らは新幹線へと乗り込んで行く。


 

 札幌駅・北海道・東北新幹線駅ホーム内では、フラン王女と縁を得た関係者が、居並ぶ中の大観衆が別れを惜しみながらも、彼女達の事を見送ったのであった。



 後にフラン王女の北海道旅行記と題したドキュメンタリー映画や小説、それにドラマ映画が制作され、そのおっとりとして居て、とても物静でお淑やかな王女の人物像は、多くの人々を魅了したと言う。



 だがしかし、直にむ接した人達からの回想録では、とても度胸と肝が据わったお嬢様で、男でも大変な力仕事を手伝う姿は好感が持てたと語って居る。



 東京サミットの開催を切っ掛けに始まった、ラクロアナ王国と北海道との交流は、王都・アデニューム市と札幌市を含めた、各都市同士の姉妹都市提携だけで無く、文化経済交流を盛んにして行く事に成るのであった。 

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