227話 日勝軒会談に集う旧知の英雄たちの選択っ!!田舎町での秘密会談?! 4

 アースティア暦 1000年・西暦2030年・7月15日・午後11時45分頃・アースティア世界・ユーラシナ大陸東側地方・西太平洋地域・地球海洋諸国連合同盟勢力圏・日本列島・日本国・本州島・関東地方・北関東地域・群馬県・群馬県南西部地方・甘楽郡・下仁田町・洋食堂・日勝軒にて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 福岡駅でドジを踏んだ事で、そのまま転げ乗り込んでしまった新幹線で行方不明と成って居たマーヤ・リリロッカ・ヨシカーナは、群馬県・下仁田町の洋食堂である日勝軒にて、この日に成ってから、ようやく発見されると言う、笑える珍事と成って居た。


 しかしながら、そんな事は、本当に如何でも良い事では在る物の。


 竜史と紅葉を含めた昔馴染み達は、日勝軒の二階席で、ヴァロニカと対談を始めた。


 このヴァロニカとの対談は、安元総理も承知の上での事で、ドラグナー皇国のと仲介を竜史と紅葉達に頼んであるが、これに付いては期待はしないで欲しいとも、過度な寝返り工作を持ち掛けても、ヴァロニカだけでは、何も出来ないだろうと紅葉は付け加えて答えて居る。


「最初に言って置く。」


「この私に多くを期待するな。」と開口一番に、寝返りを断るヴァロニカ。


 まぁ、当然の反応だろうと竜史達は予想されて居た通りだと思って、寝返りの答えに付いては、余り良い意味での期待はして居なかった。


 その理由として、彼女の祖国は、ローラーナ帝国とその第三方面軍・帝国東方制圧軍の統制下に置かれた従属同盟国で在るからだった。


 今回の対談は、安元総理と日本国政府も承知の上での非公式会談である。


 ドラグナー皇国と第一王女ヴァロニカとは旧知の仲であるコヨミ皇国の第一皇女たる紅葉を仲介者とする事で、何らかの協力を得ようと言うのが、日本国政府と紅葉を含めたコヨミ皇国政府らが非公式に話し合いを求めた、主な目的である。


 その為に日本国政府は、ヴァロニカが日本とシベリナ連合各国との取り引きに応じ易い様にと、先の第一次龍雲海沖海戦で捕虜と成った者達を返還を条件とする事にして居た。


 これで日本国としても、捕虜達の面倒から解放されると言うメリットが有るので、決して損の無い取り引きでもあるのだった。


「ええ、分かって居ます。」と返事を言う竜史も、ヴァロニカの立場を重々理解して居る。


「この私を味方に付けたいと思うの為らば、この世界の勢力図を盤上からひっくり返すくらいの事をして見せろっ!」


「如何に、この二ホンを含めた異世界国家群が強大で在ろうとも、戦のやり様は幾通りも在る物だ。」


「だから簡単には、寝返りは有り得んと思えっ!!」


「だから貴様らと異世界国家群らが、この私を寝返せたいと言うのならばっ!!」


「ローラーナ帝国に対抗し、尚且つ、いとも簡単に討ち滅ぼせると言い切るくらいの大ぼらを吹いて見せろっ!!!」


「でないと、私やドラグナー皇国、延いてはローラーナ帝国に渋々従って居る属国や中立国家ども説得する事は叶わんし、交渉話のテーブルに着く事にすら成らんぞっ!小僧っ!!!」


 キリッと竜史の事を睨み付け、言い放つヴァロニカ。


 竜史も第二次龍雲海沖海戦に措いて、ヴァロニカの姫将軍としての強さをまざまざと見せ付けられた光景を決して、忘れた訳では無い。  


 あの戦いでは、泡やヴァロニカ一人に、海上自衛隊の主力空母たる航空護衛艦あかぎを真っ二つにされそうに成ったからだ。


 ヴァロニカは、自軍が武装・兵器類で劣って居て、その敵に敵わないならば、工夫すれば良いと言い放つが、これはこのアースティア世界に措ける特有な戦力たる特殊能力持ちが居てこその発想でも在るのだ。


 だが、日本国を始めとする地球系転移国家群には、ヴァロニカの様な存在に対処する対抗手段が少ないと言わざるを得ない。


 二人は互いの勢力図と手札をある程度知りつつ、どう手を取り合うのかを探る腹の探り合いをして居るのであった。


「それが出来たら、こちら側のお味方に成ってくれると?」


「それは断言は出来んっ!」


「その前に貴様の祖国と味方供の足場を如何にかしろっ!!」


「出ないと、絵に描いたような焼き菓子に過ぎんっ!絵空事だっ!」


「御尤もです。」と一番に痛い所を付かれた竜史。


 民主主義国家に措いて、意見と思想がバラバラなのは当たり前だが、それを国是として居るので、強引な手段に出れない事を日本国内を見聞きしたヴァロニカは、日本国内事情を良く理解をして居ると言ってると言えた。


「ふっ!言って置くが、アースティアの反帝国同盟諸国を相手取ると成ると、一筋縄では行かんぞっ!!」


「それぞれには立場と利益、そして・・・・守るべき物が余りにも違い過ぎる上に、別々の主義主張が多すぎる。」


「それらを纏め上げるのは、容易では無いと言う事だっ!!」


 その反対に封建制社会を中心としたアースティア世界でも、色々としがらみと自国優先主義又は、同思想に措ける勢力圏の維持を目的として居ると言い放つヴァロニカ。


 面倒くさいなぁ・・・・と竜史は理解して居るが、その事に付いての手立てか無い訳では無い。


 竜史は、東京サミットでの焦点は、大方の予想が付いて居るからだ。


 要はどの勢力圏に属するか、与するか。


 又はどう纏まるかで、国際会議の中は、揉める揉めるであろうと言う事である。


 ヴァロニカは、その事を指摘しつつ、東京サミットは失敗に終わる可能性すらも示唆して居るのであった。


 今・・・交援省と内閣府と外務省で進めて居る極秘提案プロジェクトが、密かに作業部会を作って進められ居た。


 これは外務省自身が進めて居る東京サミットでの対応とは別の政策であった。

 

 その事に付いての話は、今は控えて置きつつ、ヴァロニカの話は、尚も続く。


「かつては我が祖国であるドラグナー皇国も、聖龍の加護を過信して居た。そして、この私の慢心が敗戦に繋がってしまったのだっ!」


「ローラーナ帝国は、一人の力では勝てないし、一カ国や数カ国でも倒せんっ!!」


「況してや、点でバラバラの連合同盟軍を結成しても、何処かに隙が産まれ兼ねんっ!!!」



 ヴァロニカが此処までの事を言うのには、祖国と自身の苦い失敗体験談から来て居るからに他ならない。 


 祖国たるドラグナー皇国は、10年前にローラーナ帝国軍の大軍を前にして、次々と都市や要塞を落とされ、更には王都の王城を奇襲攻撃に遭って敗戦に陥って居たからだ。


 前線で一騎当千の強さと働きを見せていたヴァロニカは、その戦でも大軍相手に大立ち回りをして居た。


 だが、その戦だけは、何時もの様に攻め来るローラーナ帝国軍の大軍攻勢主義戦術とは違って居たのである。


 ローラーナ帝国・第三方面軍・帝国東方制圧軍・第三方面軍総司令官・ゾイザル・セイダル・ローラーナ。


 彼が17歳当時に、指揮を執った大作戦。


 シベリナ連合の一画で在ったドラグナー皇国を100万人以上の兵を送り込んで、たったの5ヶ月で、首都である王都・ロートレア市まで迫り降伏させて見せたのである。


 最前線で全戦全勝を勝ち誇ったヴァロニカは、今は旧王都であるロートレア市からやって来た急報を聞いて驚愕する。


 祖国たる首都の王都・ロートレア市の陥落。


 それは無敵を誇ったアイアン・ブラッド・プリンセス・・・・・血染めの鋼鉄姫将軍と呼ばれて居たヴァロニカが、戦争に措いて戦略的敗北を味あわされた、初めての敗北であった。


 シベリナ王国連合内でも、一目を置かれる一騎当千の若き姫将軍が、負けたと言う情報は、アースティア諸国に激震が走る一大事。


 溺愛して居る妹と両親が人質にとられ、兄であるミリアルからの降伏の伝令が来ると、ヴァロニカは泣く泣くローラーナ帝国に降伏したのである。


 それ以来、一騎当千のヴァロニカと聖龍を扱う騎士団の実力を扱き使い続けて居るローラーナ帝国。


迂闊な行動は、祖国の滅亡を意味して居た。



「日本に来て以来、良く我が国の事を調べていらっしゃるようですね。」


「ふんっ!!国内であんな連中が居る中で、良くもまぁ、数千年もの時代を独立を続けて来られた物だな。」と評するヴァロニカ。



 彼女が言いたい、あんな連中の事とは?反戦平和活動団体の事を指して居る。



 故国が危機に瀕して居ると言うのに、日本と言う国は、余りにも吞気で在り過ぎると・・・・・・・そう言いたいらしい。


「お恥ずかしい限りです。」


「我が日本国は、90年前の大戦争・・・・・第二次世界大戦・太平洋戦争を通じて300万人以上もの犠牲者を出して居ます。」


「その事が、その後の時代を生きる人々に取って、大きなトラウマと成り、未だに新たな戦争・紛争へと突入する事を恐れて居るのです。」


「しかも面倒な事に、紛争での領海防衛や内戦まじかの法人救出ですら、やっては行けないと言う始末。」


「離島防衛は憲法違反に当たるかも知れないからと、自衛隊の出動を見送り、離島(竹島)を隣国にまんまと分取られると言う苦い経験も在ります。」


「内戦国から逃げる場合は自己責任で、他国への援助を頼み込んだと書かれた紹介状を出す事や近隣地域に迎えは寄越すからと言って、自分達では殆んど何もしない事にも成って居ます。」


「これでは自衛隊と言う組織を作っても、その能力を発揮するのに法律が邪魔をし過ぎて居ては、本末転倒とも言えます。」


「平和主義・非戦主義・対話主義も、大変に結構な信念に基づく思想と言えますが、それは世界中が泰平の世の中である場合呑みなのです。」


「残念ながらどんな世界で在ろうとも、争いごとは絶えず、隣国と遠き国々らは、何所かしらでドンパチをするか、グレーで姑息な手段を用いたやり口で、国境変更をしようと虎視眈々と他国の事を狙って居る。」


「況してや、このアースティア世界は、世界大戦の真っ只中の戦国時代と言えます。」


「寧ろ、状況的には、前世界たる地球世界よりも性質が悪い。」


「地球世界では国際連合か、他国への多国間有志連合により制裁権を発動させれば、ある程度は、無法国家や覇権主義国家の動きを封じる事が、可能と成って居ました。」


「この世界は酷いっ!酷すぎると言っても過言では無いでしょう。」


「ローラーナ帝国に由る一強覇権時代に突入したこの状態では、日本が平和主義を訴え、平和主義主張を掲げ上げ続けたとしても。」


「平和ボケ、弱者の戯言と言われ、無力な愚か者供であると切って捨てられる事でしょう。」


「そんな中で自国すら守らず、平和教を掲げて、平和と反戦と言うお題目のお経と説法を解き続けるのは、最早、トラウマから逃げて居る現実逃避者か、又は夢想家の弱者とでしか、言わざるを得ません。」


「戦争準備と戦時体制を取るのが悪では無いのです。独裁者政権による私欲とそれに群がる既得権益者達と見て見ぬふりをする国民または、有権者が居るから悪いのであって、国防と治安維持には絶対に武装組織と言うのは、それを扱う人間次第であって、必要不可欠な存在なのです。」


「僕としては、日本国をせめて、キチンとした自主独立権を守れる、それが当たり前と言える有権者が居る国家・・・・そう、何所にもでも在る様な普通の国くらいにはしたいと思って居ます。」


「その為のローラーナ帝国との戦争問題に関わる法案も、その他の取り決めもが、何もかもこれから事に成るのです。」


「それを小僧、貴様がやると言うのか?」


「いいえいいえ、やるのは我が国の優秀な大人の方々ですよ。」


「僕がやるのは、その平和へのお手伝いに過ぎません。」と・・・にこやかな笑顔で、謙虚に答える竜史。


「・・・・・・ふっ!面白いのを捕まえたな紅葉。」


「自分自身が弱く出来損ないである事や己の分を弁え、出来る事探して、それを実行する愚か者か・・・くくくくくっ!!面白い。」


「その辺に居る官僚や軍人、為政者共と言った連中が、見栄の為に。」


「言い難い、やり難いで在ろう事を平然と言ってのける。」


「こう言うのは、只の市井のバカでないと言えん愚か者だ。」


「玉虫色とも言いますが?」と己が言動と態度を皮肉った竜史。


「玉虫色?」


「こちらの世界に居るかは分かりませんが、我が国では昔から、その背が七色に輝く空飛ぶ甲虫を工芸品に用いて居ます。」


「その七色の輝くさまは、どの意見にも成り得るなんて事から来て居ます。」


「七色か・・・・食えない奴だ。」と竜史の毒舌ジョークが、とても可笑しく、にやける程に面白かったらしいヴァロニカ。


「コイツが、そうなのか?」とヴァロニカは聞く。


 その理由は、彼女もコヨミ皇国の星読みの巫女、その星読みのお告げの秘密染みた能力を知って居る一人であり、その事は帝国にも黙って居る義理も通して居たからだった。


 アースティアの国々や一般の国民には、星読みのお告げと呼ばれて居る能力の事は、謎に包まれた能力とされて居る。


 その実態は、公にはされて居ないが、漏れ聞こえる噂くらいには、コヨミ皇国の星読みの巫女の預言は良く当たると言われ、恐れられて居た。


 ヴァロニカは竜史の素性をテレビニュースで流れて居る程度の事を知って居るし、紅葉と一緒に居る姿の映像も見て居た。


 それで竜史が国政に関わって居る理由が、紅葉の謀略である事やコヨミ皇国の星読みの巫女の力では無いかと、察して居たのであった。


 そんなヴァロニカからの問いに紅葉の答えは・・・・・・・・・・・・・・


「はい。」と静かに返事を告げた紅葉。


「貴様の星読みの巫女、その星読みのお告げの導き出す答え、その確率は?」



「私個人の見解ですが・・・・・・・約8割と見て居ます。」


「そうか・・・・」と呟く。


 星読みの御告げで得た答えか、それが本当ならば、時が満ちたと言う事かと思ったヴァロニカ。


 その答えが、目の前に居る年若い青年の行動に掛かって居る。


 ヴァロニカは、その事実が堪らなく面白いと思えたのであった。


「分かった。此処での寝返りの話は、聞かなかった事にして置く。」


「ヴァロニカ姉ぇっ!」と言うリナ。


其処にシェスカが、抑えてと手で遮る。


「相変わらず賢いな、シェスカは・・・」


「・・・・・・・・・・・・」


「分かりました。此処に居る全員で、ありとあらゆる手段を用いて上で、全力を以てして、お相手をさせて頂きます。ヴァロニカ姉さん。」


「ちょっと、シェスカちゃんっ!」とアリスは、あわあわとして居た顔付きで、折角の説得する機会をお流れにしてしまう事に、慌ててしまう。


「冗談だろう?」とクリスは青ざめていた。


 それはアイアン・ブラッド・プリンセス・・・・・血染めの鋼鉄姫将軍と呼ばれて居たヴァロニカと真正面から、各々が得意とするやり方で、戦うと言う事を恐れて居るからだった。


「この世界を在るべき静かな姿へと戻すには、生半可な事では達成する事は出来んっ!」


「それに、この私が手を貸そうと言うのは、野暮と言う物。」


「一度は、あの二人とやろうと決めて居た事が、結局は何も出来ずに失敗したからな。」と己が親友達を思って言った。


 危険な事は年上の仕事と称して、かつてはローラーナ帝国打倒を言って居たヴァロニカ・レナ・マーヤの三人は、それぞれの立場と不幸な境遇から、何も出来ないまま、今日に至って居た。


 それを後輩である義妹達が、やろうとして居るのだ。


 味方には付いてはやりたいが、それでは義妹達の為にも、祖国の為にも、アースティア世界の為にも成らないとの考えに至ったらしい。


「それに白龍大帝・エリノア・ドラグリアの三強弟子とアースティア世界的に謳われる一人、マーヤがお前の側に居るのだ。」


「十分なハンデが有る言えるぞっ!」とヴァロニカ言う。


だがしかし、リリィを覗いた紅葉達は、こう思って居た。


(それって、最弱弟子が、こっちに居るだけで、とても不安でしかない)


 白龍大帝・エリノア・ドラグリアの三強弟子とアースティア世界的に謳われるヴァロニカ・レナ・マーヤの3人。



だがしかし、在る事でも有名であった。


閃光の聖騎士マーヤと呼ばれる彼女には、もう一つだけ不名誉な別名があった。


 うっかりマーヤと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 何処かの天下の副将軍様のお供をして居るうっかりさん見たいな渾名を持って居る事が、途轍もなく不安な要素である事を不安視して居る紅葉達であった。

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